東日本大学選手権・5日目(3位決定戦・決勝戦)
前日に10時第1試合開始のアナウンス。
第1試合として男女3位決定戦を同時に行い,3位表彰→特設コート設営→女子決勝戦→男子決勝戦→表彰式・閉会式の順。
関東主管(東京開催)のときは男子3決→女子3決→女子決勝→男子決勝だったとばかり思っていたが,2017年以降この方式が続いているようだ。各チームの帰路を考えればやむを得まい。今年は表彰式・閉会式が1645ごろからだった。観客にとっては焦る必要はないけどゆっくりする時間はないぐらいだったので,最後までいたチームやスタッフはそれなりに時間を気にすることになったのではないかしらん。
そういえば,決勝戦は北海道学連(?)がyoutubeでライブ配信をしていたようなのだが,あまり事前に周知されていなかったようなのが残念。
男子3位決定戦 中央大学3-1明治大学(26-24 29-27 15-25 26-24)
明治:2鎌田 23安井 9池田 1小松 15三輪 13上林 L14瀧田/21鳴尾
中央:16伊藤 15鍬田 4水野 1牧山 23佐藤 8平井 L13土岐
中大,セッター牧山,OP伊藤。のうえでの,S4スタート。前日伊藤セッターはS1スタートだったのに,紛らわしい。
その伊藤が弾けた。中野とは違うタイプのOPで,力強いサーブと,高さとスピードと強さのあるスパイクで,圧倒した。でも,受ける印象はごりごりパワフルヒッターではなく,どことなく朴訥なのか飄々なのかクールでクレバーなのか天然なのかわからない,ちょっとふしぎな感じ。
そして初スタメンだったのかなー。わからないけど,1年生の佐藤(from市立船橋)が,すっごく良かった。特に序盤。次第にスタミナが切れてきたのか明治が対策してきたのかサーブやスパイクの精度が下ってはいったが,ポジション5を勤め上げた。背番号23ってだけでわくわくするのに,そのわくわくがさらに増す活躍だった。第1セット最後の2本連続のサービスエースは圧巻だった。
中大のサーブは博打要素が高く(つまりミス率が高く),それが準決勝対青学戦の敗因の一つでもあったが,3位決定戦ではサーブが武器となり試合を制した。第1セットは佐藤の2連続,第2セットは水野。最後はいずれもサービスエースだった。セットの途中も,サーブで崩し,明治おスパイク精度を下げさせて繋いだボールを,伊藤なり鍬田なりが決める。春リーグとは異なるスタメンで,選手層の厚さを感じさせた試合でもあった。東日本インカレは,春リーグとは違う布陣や選手が見られるのが楽しみの一つであるが,中大の,とくに伊藤と佐藤は強く印象に残った。
試合前に,山岸がいない状況でもスタメンじゃないって気持ちの上でどうなんだろうなんて話をしていたのだが,3位決定戦は牧山がスタメンだった。途中(おそらく大差で落とした第3セット。途中で全員スイッチがオフになった)バックアタックへのトスが短いのか前なのかで踏んだりふかしたりが続いたこともあったが立て直したし,終始高さのある攻撃ができていて,ちくしょう強いじゃねーか,と唸った。
敗れた明治は,4セット中3セットデュースというタフな試合のデュース3つを全部取り切れなかった。試合への入りが悪かったなりに第1セット17-21から追い上げ,23-23からブレイクして先に24-23としたが,サイドアウト後の佐藤のサーブにやられた。2本とも小松と鳴尾の間を狙い,2本目は飛びついたけれど弾き飛ばされた。
第2セットも序盤ビハインドで17点で追いつき20点で逆転したが,チャンスにミスを連発し自滅に近い落とし方をした。池田のサーブで22-20と2点差をつけて中大タイムアウトのあと,なんかミス(メモに全く読めない殴り書きがあり,なにやら怒りを感じたらしいことしか伝わらない)。24-23で松本ピンサが効いて自コートに返ってきたボール,つまり決めれば取れるところでダブコン。そして,25-24でもディグが高く上がったブレイクチャンスで,お見合いで落とした。
うわー,書き出してみると酷いなー。そんで鍬田サーブまで回って中大がブレイクしてアドバンテージ,27-28から水野のノータッチエース。だった。
第4セットも以下同文で,やはり後半に明治が追い上げてもつれてデュース,平井サーブで崩して最後は鍬田が決めた。ここはミスで落としたという感じではないので,後味は悪くないものの,とはいえ追いついて一度は23-22と一瞬リードも取った。フルセットいけるかも,の期待をしただけに,悔やまれる。
終盤の粘りの良さを覚えていられれば良いのものを,取れそうだったものを落とした風に記憶がすり替わって残っちゃうからしんどい。
杞憂ならば良いのだけれど,心配になるね。いろいろと。でもいろいろやるなら夏のうちで,夏にいろいろあっても冬に結実するなら,何もなくて実を結ばないより良いと思う。よ(所詮外野の気楽さ)
今大会ピンサで出た千葉のサーブがとっても良かった。トスで横回転をかけて左打ちのスパイクサーブがコートの外に曲がっていく。ちっこいので,まわりがわちゃわちゃいじる。すごくかわいい。しかし,唯一困ったことには神園と見間違える。どう見てもぜんぜん似ていないのに,いつも間違える。なぜ。たぶん美香保の旗係も見間違えた(27のパンツ穿くのはあんまりだ)。
女子決勝戦 青山学院大学3-0順天堂大学(25-22 25-6 25-23)
青学がぐいぐいと。第2セットは順大がはまってしまってびっくりする点差になってしまった。全体的には青学強いな,だったけど,順大が追いついて盛り上がったり。
順大のアップゾーンがかわいかった。得点すると,男子でお馴染みの「ちゃちゃちゃっ ヤー!」っぽいのを振り付き決めポーズ付きでみんなでするの。
男子決勝戦 青山学院大学1-3筑波大学(25-23 23-25 17-25 20-25)
筑波:13吉田 14坂下 8小澤 25西川 27垂水 20阿部 L12山口
青学:8望月 6中道 9中西 13小田島 18山田 1渡辺 L14長田
筑波大は準決勝と同じ,吉田・西川MB対角で小澤がOPに入るフロントオーダー。
第1セットを青学が取ったが,第2セットからはさすがの筑波。
第1セットの筑波は,レセプションが返っていないわけでもないのにMBのスパイク打数がほんとうに少なかった。西川も吉田もアタック得点1*1。西川は打数も1本か2本かという少なさだった。
青学のブロックが必ず2枚つき,ワンタッチボールを拾う。長田の守備力は抜群に高い。競った展開を,25-23で青学が取った。
しかし,第2セット以降,筑波は高さを出したスパイクを,青学のブロックの上から打ち込むようにかえていった。タッチアウトを狙っても青学は拾う。でも,青学,ブロックは良いチームだけれど,絶対的な高さは,さほどでもない。
大会ベストスコアラーを取った垂水のとんでもない高さよ。サイド主体と言っても,坂下小澤垂水の3人ともバックから打てる(助走に入る)。それらの時間差に惑わされることなくちくちくとブロックはがんばっていたが,高いところから余裕を持って打ち下ろすスパイクは容赦なかった。
筑波が第2セットを取ってタイスコアとし,第3セットにはMBの2人へのトスも上がるようになる。とくに試合後半に進むにつれて西川の打数が増えた。そして青学のブロックも1枚に。西川はスパイク賞を取り,(三輪の個人賞のチャンスがああああ)。
得点をあげた選手として垂水と西川の2人がとても目立った決勝戦だった。「1年生がのびのびやってるけど,のびのびやれてるのは上級生のおかげだよね」という状況は,まさに2年前2017年の秋,当時1年生の村山・宮浦がスタメンになって早稲田の連覇が始まったときに感じたことだった。1年生2人を活躍させてベストスコアラーとスパイク賞の個人賞を取らせ,優勝した筑波は秋以降どうだろう。ますます強くなる予感しかない。そして,その村山・宮浦と松井監督をユニバ代表で欠き,おそらく不本意極まりない結果になった早稲田との火花が早くも楽しみである。
2位の青学,第3セット以降は要所で筑波との地力の差を感じる展開にはなったが,見せ場は見せ場としてあり,とても面白い試合だった。チームの中心は東京がめっちゃ強かった時代の駿台+東亜OBだが,こちらも1年生の山田亜藍(from:高川学園)が力強く安定して計算できるアタッカーで,なるほど1部昇格の鍵は亜藍だったのかな,とも。旋風を巻き起こしたおかげで,秋リーグにビギナーズラックは使えない。長きに渡る「2部の門番」に終止符を打って1部に乗り込んでしまったからには,それでもやるしかない。やるしかないのよ。表彰式後にささっと私服に着替えていた青学めんずのスタンスはむしろ好き。入れ替え戦に勝てない1部にはなかなか勝てないって勝手に思い込んでいたけれど,コロンブスの卵は立った。
個人賞
男子最終結果
優勝:筑波大学(8年ぶり8回目)
準優勝:青山学院大学
第3位:中央大学
第4位:明治大学
男子筑波の東日本インカレ優勝は2011年以来の8年ぶり,全日本インカレを入れても2012以来の7年ぶり。タイトルは2016年春リーグ以来。
準優勝の青学は春終了時点では2部1位。第1シード第2シードが揃ってベスト8圏外という波乱の大会となった。
最終日雑感
北海道学連のみなさま運営お疲れ様でした&ありがとうございました。鹿と北海道シルエットがデザインされたスタッフポロシャツ,かっこよかったです。
広い広いきたえーるの観客席に,表彰式まで残っている観客の数は少なかった。東日本インカレの表彰式はいつもそんな感じで,セレモニーの華々しさよりも「ああ,これで終わりだなあ」という最終日の寂しさが色濃い。
ただ,今年は,閑散とした中にも,穏やかで明るい雰囲気が漂っていた。優勝した2チームはもちろん,準優勝の2チームが,それぞれ,ちゃんと(という言い方は変だけど)喜べていたように見えたから。
トーナメントの表彰式は2位のチームにとっては負けた直後に表彰されることになる。銀メダルをかけられる表情に悔しさや不納得がにじみ出る。でも,今年は,自分の思い込みかもしれないが,少し,雰囲気が違った。
青学男子の準優勝は公式Twitterによると創部史上最高成績だったそうだ。これまでの最高位,確認してはいないが,自分が見て記憶にある範囲では東日本インカレのベスト8だろうか*2。直近は一昨年2017年,準々決勝で筑波にストレート負けだった。*3
女子準優勝の順天堂はこの春リーグは2位とのことで,けしてダークホースではなかっただろうが,男女同一会場開催の東日本インカレ/全日本インカレのベスト4では初めて名前を聞いた。フライト等の都合か,表彰式には8人しかいなかった。
準優勝,悔しくないと言ったら嘘だろう。でも,シーズン前半の大会で好成績を残せたことの喜びと後半への希望が開けた,そんな表彰式だった。
閉会式後順番にオフィシャルの集合写真を撮っていたのだが,青学は,ちょうど主将が後ろでテレビ(かな?)取材を受けている間に撮影されてしまった。あれはない。ない。許すまじ某テレビ。主将本人以外誰も気づかなかったのか,それとも,チームは気づいていたものの時間がなくてよしとしたのか。後者に違いないとむりくり自分をなだめる。
諸々終わり撤収が始まったフロアの隅で,筑波男子が学生19人だけで円陣を組んで「桐の葉」を斉唱した。金メダルを首から提げ,がっしりと両の肩を組む。「醒めて立て男子ぞ我等」,高等師範学校から続く歌詞は現代の価値観と必ずしも合うものではないけれど,その誇らしい光景はとても眩しかった。
「波乱」と総括してしまいそうにはなるが,男子は終わってみれば関東が8強総取りだった。ここ数年,関東1部内の実力差はさほど大きくない(リーグ戦の前半終わって全勝/全敗が少ない)し1部2部の入れ替わりも頻繁だが,他3学連との差は広がっているように見える。
わたしがぼちぼちだいがくばれーなるものを見始めたころは,関東も東北もほぼ一強で,そのかわり,と言うべきではないが,インカレでベスト8に入ることもあった。今年の東日本インカレで見た3チーム(東海札幌,東北学院,仙台大)は,組合せの妙もあったとはいえ,関東1部を倒して上位に食い込むイメージがわきづらかった。もちろん,絶対はないけど。
学連内で拮抗せずに1チーム独占になるのは絶対違う(望ましくない)と思っている。関東に集まりすぎなのかどうかはわからない。自分は関東に住んでいて関東を贔屓しているので,良い選手を関東で見たいし,関東最強でいてほしい。ただ,去年の全日本インカレの福山平成大のような,嬉しいんだか悔しいんだか,いや,めっっちゃ悔しかったわ。という,学連同士のぶつかり合いの楽しさをもっと見られるともっと楽しいのになあとは,とくに東日本インカレにおいて感じるところではある。
「西日本5学連」は今年も「without関東学連」で開催されるのかな。東西対抗をやらなくなったから,関東選抜でチームを組むことがなくなった。関東の選手たちが関東としてまとまって戦うところも,観てみたいんだけどなあ。どうせ9学連にとって関東は邪魔者なんだろうとか関東はチーム側もそんなつもりはなさそう,なんて,ひねくれてしまう。年代別代表はコンセプトが違うのでまたぜんぜん別の話。
札幌は,気候も良く食べ物も美味しく,町中も公共交通機関も便利だけどごちゃごちゃはしていなくて,過ごしやすかった。札幌から梅雨まっただ中の蒸し暑い東京に帰ってきて,楽しみだった旅行と大会が終わってしまって,次は何を楽しみに日々を過ごせばいいのだろう。今大会では第1シードも第2シードも,見られなかった。そんなつもりじゃなかったからトーナメントの最初の方は他を見ようとしてしまう。彼らを次に見る機会が秋リーグと思うと気が遠くなる。でも,秋は早く来て欲しくはない。秋が来たら冬が来て冬が来たら終わってしまうから。
*1:自分調べで見直してもいないのでものすごく不正確。以下同。
*2:同じくTwitterアカウントによると,少なくとも東日本インカレの最高位はベスト8らしい。全カレはわからん。
*3:この日は濃い1日だったようだ。 http://cana.hatenablog.jp/entry/20170624/p1