2021天皇杯ファイナルラウンドをひとことで・5日目(決勝戦)

本日の副題:パッションを文字に起こせない

@高崎アリーナ
NHKBS1で生中継されていました。解説は福澤達哉氏。
TwitterのTLに流れてきたテレビ組の感想によるとかなりよさそうなので、録画を観る前に書きます。観たら何も書けなくなる。
例年通り、決勝戦のみ男女別チケットの完全入れ替え。女子が11時開始、男子が16時開始でした。

堺ブレイザーズ - ウルフドッグス名古屋(22-25 29-27 18-25 25-21 17-19)

<第1セット>
名古屋:6近(5前田) 3クレク 26山崎 11傳田(23勝岡) 21永露 22高梨 L24小川
堺:4高野 1松本(8佐川) 13バーノン 2樋口 7出耒田(5堀江) 17深津 L20山本
<第2セット>
堺:17深津 4高野(9迫田) 1松本(8佐川) 13バーノン 2樋口 7出耒田(5堀江) L20山本
名古屋:22高梨 6近(5前田) 3クレク 26山崎 11傳田(23勝岡) 21永露 L24小川
<第3セット>
名古屋:21永露 22高梨 6近 3クレク 26山崎 11傳田(23勝岡) L24小川
堺:9迫田 1松本 13バーノン(14山口) 2樋口(4高野) 7出耒田 17深津(10千々木) L20山本
<第4セット>
堺:17深津 9迫田 1松本(5堀江) 13バーノン 2樋口(4高野) 7出耒田(8佐川) L20山本
名古屋:11傳田(23勝岡) 21永露 22高梨 6近(5前田) 3クレク 26山崎 L24小川
<第5セット>
堺:17深津 9迫田 1松本 13バーノン 2樋口(4高野) 7出耒田(8佐川) L20山本
名古屋:26山崎 11傳田(23勝岡) 21永露 22高梨 6近(4伏見) 3クレク L24小川

代表リベロ智大対決。
第1セット22−24の場面で、山崎の渾身のクロスを山本があげたときには、場内がすごく沸いた。

ファーストサーバーの近がふにょふにょと高野にサーブを取らせ、傳田(たぶん)がバーノン(たぶん)をシャットして始まった試合。名古屋のサーブは高野狙いが多めで胸の位置でしゃがみながらオーバーハンドで取らせ、良い形で攻撃に参加させない。そしてブロックの的を絞ってワンタッチにかけ、最後はクレクに託す。という戦い方。
第2セットは堺がリードする展開ではあったが、途中で高野が後衛に下がるところで、迫田に代えた。
これは効いたと思う。迫田のファーストプレイがサーブポイントというのも流れにブーストをかける面で大きかったし、以降名古屋はサーブの思惑をかえなければならなくなった。その後のセットでは、樋口の後衛ローテで高野を入れる方式にかえて、これも、樋口どうしても狙われるので、ディフェンス強化になってよかった。高野−樋口の対角に比べると迫田が入ることで攻撃の比率は偏りが出たと思うんだけど、チーム全体のバランスとしては整ったということなのかな。
MBの打数も多かったし。スタジアムDJ氏も何度か触れていたように、出耒田はスパイク決定率がすごく高かった。松本も良いところで決めていた。2人ともブロックも良かった。

名古屋は、アウトサイドの2人のバックアタックが多いのが楽しい。山崎は良いねえ。わくわくする。第2セットの名古屋の5点目、ラリー中にクレクがバックライトに展開できなかったときに、山崎がバックライトから打って決めた。そこに上げる永露も凄いし、入って跳んで打って決めた山崎も凄い。
この大会、永露と山崎の組合せの良さを感じた場面がいくつかあった。2人がいたころの東海大の記憶はおぼろげで、調べてみたら、永露4年で山崎3年のときにどうやら一緒に試合に出ていたようだ。
その程度なので、ずっと一緒にやっててコンビ完璧みたいなイメージはなかったのだけれど、ここに来て、永露の高いトスに山崎が後衛から軽々と走り込み軽々と跳びあがって高い打点からぶちのめす爽快感は、これも歳月の為せる技なのかなあと思ったんだった。東レの藤井-李みたいな、阿吽の呼吸から繰り出されるはやい攻撃とはまた違う味わい。

永露が、優勝インタビューにこたえていて、つまり優勝セッターですか、とおもうと、たいそう感慨深かった。
自分が遠目にしか観ていないからわからないだけで、今も近くで見たらきっとちょいちょいいろいろやってるんじゃないかと、特にアタッカーがプッシュで逃げたりどシャットじゃないはたき落としブロックを喰らったり、ブロック避けすぎてサイドライン割ってアウトになったりしたときには思うのだけれど(悪い意味での思い込みや色眼鏡から抜け出せていない)、例えば第5セットでレセプションが乱れて相手コートに返りそうになったボールをワンハンドで上げたところは、永露の面目躍如でそれはそれはかっこよかった。この場面、9−10で堺がリリーフサーバーで佐川を投入したところ、真ん中は高梨で、小川は「健太上、上!」と声をかけていた。上にはあげたがあわや相手コートに返らんとするところを永露が阻止して傳田のクイック。しくったら同点というけっこうなキーポイントだった。それから、10-13で堺の2度目のタイムアウト中に伏見が呼ばれ、ワンブロだろうと予想はしたけど、永露前衛なのに永露じゃなくて近にワンブロ出した。どういうことやねん。(その疑問は解消していない。永露がワンブロ不要セッターだとしても、そうなります???)。

名古屋のこの同期、永露、高梨、勝岡、小川。いま何年目だっけ。入団発表当時、4人も入ったことにも驚いたし、面白い線をつくラインナップ(有り体に言うと、微妙に謎いチョイス)と思ったけれど、今こうして天皇杯の決勝戦で4人全員コートに立って戦い優勝に貢献しているのだから、凄い。名古屋は伝統的に新卒新人の採用と育成があまり得意じゃない(中堅やベテランががんばって支えてる)イメージを持っているけれど、この代と次の山崎に対しては腹をくくって使い続けてるよね。

そんで、クレクのキャプテンシーも感じたり。クレクは以前JTに入る入らない問題があったので(本人の関与有無とは関係なく)、じゃっかん味噌がついた気分でいたのだけれど、この苛酷なVリーグの名古屋伝統芸の酷使に平然としている様子に舌を巻く。
ぽるすか人血の気が多いし、クレクも血の気が多そうなイメージあるしたいがい怖いんだけど、今日第5セットでコートチェンジしたあとさっと副審にサーブ順を確認していて、こんな試合でもやるべきことはきちんとして、派手なパフォーマンスはなくてもチームを鼓舞して客席を巻き込んで、表彰式のメダルかけでは、選手1人1人とハグをして、それが世界のトップクラスということなんじゃろうなあ、なんて。

名古屋の話ばかりになってしまった。
堺もまた、樋口がアウトサイド、で3年目? 4年目? 堪えて、という言い方も変だけど、堪えて、ここまで来てるのをみると、大学観てる勢としては、物思う冬でありますのことよ。

ここから追記--
リンクに気づいていなかったが、決勝戦のB帳票が出ていた。
https://www.jva.or.jp/domestic_convention/uploads/final_round/399/2021tk_final_men_b.pdf

きのう1度書いて消していたのは、堺が勝ちきれなかったのは、バーノンの調子が序盤に上がらなかったからかな、ということ。帳票を見たらアタック決定率が約35%で、むしろよくフルセットになったものだと思うくらい。序盤だけでなく、ワンタッチ取って切り返してというのを名古屋がずっとやっていた。ブロックの上から打てるぐらい調子が良ければいいのだろうけれども、決勝戦はそうではなかったのだろう。チームのバックアタック得点が1点というのも、言われてみればたしかにそうで、バーノンの調子が上がらないなかで両MBやアウトサイドをうまくやりくりしていたからけして単調ではなかったし、バックアタックがあることが良いとは限らないけれども(アタックラインの前からでも時間差でも位置差でもなんでもある)、これはもう「言われてみればそうだった」という感想だけ。
とはいえ、OPの豪快なバックアタックは見ていて楽しいものではあり、今大会が初見だったバーノンの凄さを目の当たりにするには不十分だったんだろうな、と。試合中に時々覗いていたTLで、堺ファンが時折トスが低いと指摘していた通り、バーノンに限らず、堺の打点があまり高くない試合ではあったのかなあ、と。
フルセットでデュースなので、結果論にすぎないのですけれど。
追記ここまで--
ここのところ表彰式とか簡略化されることが多かったので、表彰式閉会式があったのもうれしかった。
メダルはキャプテンがかける方式。これは、この2年の「禍」で編み出されたよき副産物。なぜかやたら低くして待っていた堀江がかわいかった。
優勝賞金1000万、準優勝賞金400万。MVP(クレク)賞金10万円。
副賞は、優勝が、日清製粉グループの青の洞窟スパゲティ2000食分と丸大食品の燻製屋と燻製屋ホワイト1000食分。そして開催地高崎の名産品、だるま。おおきなだるまで、背に日付とチーム名が入っていた。
準優勝の副賞はだるま。優勝だるまより二回りぐらい小さい。
どちらも、目が入ってなかったけれど、ぜひ、年明けなり今季なり来季なり。立派なだるまで縁起がよさそうで、集合写真でも映えて、すてきでした。

高崎アリーナありがとう!