團菊祭五月大歌舞伎第3部

歌舞伎座
書いているのは8月12日です。お盆時分の飛び石の中日なので、振休。
年末に日付が分からなくなるのがわかっているので書いてから捨てようと半券を取っておいたのだけれど、書き物机の上にずーっと置き去りにしているのもそろそろ限界。
平日なので、仕事を少し早めに終わらせてダッシュ歌舞伎座へ。開演直前に3階Aの後ろの方に滑り込んだ。当然洋服で。
それにしても、もう何も覚えていない。

市原野のだんまり

平井保昌:梅玉 鬼童丸:莟玉 袴垂保輔:隼人

顔がいい。
顔がいいに尽きるだんまりだった。だんまり経験値が低すぎるので良く分からないのだけれど、所作事ぽい感じ。美しい月夜の書き割りに、鈍く光る衣装、古典的なおっとりした動き。お衣装もお顔も動きも絵も美的で整っていて、ただただ美しかった。
短い演目でそのあとすぐ35分の幕間だったので、観る前は平日早退ダッシュの恨めしさがちょっぴりあったのだけれど、良いものを観た。

全くの余談だけれど、これを観た数日後に、某所で、“莟玉のことを内輪でこっそり「こけだま」と呼んでいる”という話を聞いて、初めて「莟」が「苔」とは違う漢字であることに気づきました。「こけだま」だと思っていたわけではないけれど。

弁天娘女男白浪 浜松屋見世先の場/稲瀬川勢揃いの場

弁天小僧菊之助尾上右近 南郷力丸:巳之助 忠信利平:隼人 赤星十三郎:米吉 鳶頭清次:橋之助 浜松屋倅宗之助:中村福之助 丁稚長松:亀三郎 番頭与九郎:橘太郎 日本駄右衛門:彦三郎 浜松屋幸兵衛:東蔵

主目的はこちら。
端的に、席選びは失敗した。玄関入ったところの土間がちょうど死角になっていて、長松が土間に控えてお茶の支度やらしているのにまったく気づかなかった。本筋とはかかわらないので、いいんだけど、せっかくだったのにもったいないなあと。初めて観た演目でもなし。

こちらももう記憶にないんだけど、菊之助が右近というのがめずらしい感じ。さすが右近、幼いころからろくな目にあってなくて稚児(だっけ?)から悪いほうに転がって、女装して悪事を働いてる顔の良い若いちんぴらというビジュアル説得力がすごかった。
そして、悪い巳之助がめちゃめちゃかっこよかった。ガラが悪い、目つきが悪い、態度が悪い、喋り方も悪い。人の店で因縁つけて、バレてからは開き直ってお茶がどうこう言いながら煙管すぱすぱやってて、感じ悪いがすぎる。ぜったい関わりたくない。
この菊之助とこの力丸だといろいろはかどるねえ……しみじみ……(という乱暴な感想で締めるのもどうなの