個人用覚書:単の季節の装い

呉服業界界隈(?)でしばしば登場する謎ワードのひとつに「ちょっとしたお出かけ」がある。そして、その一派に「友人との食事」というのもある。
普段の自分の生活や行動には該当するイベントの心当たりがさっぱりないアレである。ところが、この度、珍しく、「友人との食事」に該当するだろうイベントが出来したので、これがチャンスとばかりに、十五年ぐらい前に買ったきり一度も袖を通していなかったちりめんの単の小紋を着た。
つまり、平たく言うと、新宿御苑沿いの路面店で5000円ぐらいするお高いランチコースを食べた。堀を挟んだ向かいが新宿御苑という緑の多いロケーション、ちょうど歩道沿いの紫陽花が見頃だった。
食事後は場所を変えてカフェでお茶とケーキ、そのあと、御苑(入場料500円)内を軽く散策。わたしは用があったので御苑を通り抜けるだけで先に失礼したが、新宿のど真ん中なのにゆったりした贅沢な時間と空間だった。帰りは新宿駅まで歩いた。

天気と時刻

晴れ。気温は忘れた。陽射しはえらく強かったが湿度は低かった。
12時前から16時半ごろまで

着たもの

綿の肌襦袢(省略したかもしれない)
綿の裾よけ 
補整にタオル
長襦袢:麻
半襟:絽(ポリエステルなのでつけたまま洗濯してる)
帯:博多織八寸
帯揚げ:絽ちりめん(おそらく化繊)
帯締め:夏用レースの帯締め(たしか。忘れた)
足袋:麻
草履:いつものカフェぞうり
晴雨兼用傘
シルクストール

感想

お店は駅から近くてよかった。散歩のときも暑くてしんどいということはなかった。
着付けのあら隠し兼首筋の日よけでシルクの大判ストールを持参したが、間違いなく暑いので、もう少し薄手の風通しの良いストールのほうが良かったと思った。
帰宅後は汗びっしょり。
秋冬カラーの草履が少々アンマッチだった。まだ6月前半だからと迷ってやめにしたが、もう夏草履でもよかったかもしれない。
でも、たくさん歩いたので結果的にカフェぞうりで正解。
今のカフェぞうりはすげ替えできるタイプだけれど、もう一足、底が完全に塞がっているタイプのを春夏向けの色味で買ってもいいかもしれないと思った。そうしたら、小雨ぐらいなら気にせず履ける。
とはいえ、草履は、好きな鼻緒を選ぶ、という行為が楽しいんだよなあ。それに、足小さめだから、Sが合えばいいけど、試し履きしないとわからない。

雨が降ったらどうしよう、という不安がつきまとい、数日前から当日帰宅するまで、妙な緊張があった。六月も九月も雨の多い時季なので、ちりめんは難しい。染みも黄ばみもたくさんあるので、結構着用されていたようで、すごいなーと思う。

このときの緊張に耐えかねて、その後、紗の雨コートを買った。
とはいえ、「降るかもしれないから念のために持っていこう」とぽいっと小さい鞄に入れられるような小さい荷物ではないし、履き物のこともあるので、結局洋服を着るだろうと思うんだけど、装備がないせいで出番がないままになるよりは装備を増やしたほうがいい、と、思うようになった。備えあれば憂いなし。まあ、少しずつね。