閑話休題


今週の「an・an」誌の第2特集が「そろそろ着物」。そろそろ着物。全くだ。7月の半ば以降一度も着物に袖を通していない。おまけにハンガーにはなぜか浴衣がかかったままだ(ケチャップつけちゃったからね。でもクリーニングに出すとかなりいい値段なんで悩み中)。


今年は残暑が厳しかったしなんつっても旅行(とその準備)で9月の週末の殆どを費やしたので,9月は全く機会がなかった。単衣が着られなかったのが残念。母親のお下がりとおぼしき濃い赤色地に枝物っぽい植物の柄がびっちりの「どう考えても6月には暑苦しすぎるから9月にしか着られまい」紬というシロモノがあるのだが。どっちみち,古着屋で買った紬は着られても母親からのお下がりの絹物は(たとえ紬でも)勿体ないというか畏れ多くて着られないんですが。


このところ東京の週末は悪天候続きで,10月に入ってちらほら町中で着物姿の女性を見かけはしたけれど,今ひとつ着物日和とは言い難かった。今週末は颱風が来なければ好天に恵まれそうなので,そろそろ秋冬物のチェックをしようかね。そして苦手な針仕事が待っている(襟付けるだけだけど)。


話を元に戻して,「an・an」の特集の内容は,既製品の最新(?)着物のグラビア,初心者向けの「何揃えたらいいの?」ガイド,タイプ別コーディネート提案(含,小物紹介),などなど。着方にしろ小物の使い方にしろ,ごく一般の洋服的センスといえばいいのか,がちがちオーソドックスでもないし奇抜でもなくて,でもそれなりに目新しくはあって,(あまり期待していなかったけれど)なかなか面白かった。


わたしのアンテナに「若い女性の間で着物が局地的に流行っているらしい」というのが引っかかってから2年ぐらいかしらん,当初はファッションに一家言ありそうな強者達ばかりの感が強く,かつ,目利きと手間を要する古着しか選択肢が無かった為,わたしのような軟弱者には到底近寄り難い世界だったので,an・an誌上でプレタの着物写真が多数展開されるのを見るにつけ,ようやくここまで業界が追いついてきたかと感慨深い。写真を見る限りでは,デザインといい値段といい,じゅうぶん購入検討に値する。古着と違って雑誌掲載商品を購入することが可能だろうことも,悪くないんじゃないか。もっと着物や帯・小物が充実して楽に着られるツールが普及して着る人が増えればいいなあ。と,根が単純なのでほんわりと夢見がち。


興味深かったのは,というか,案の定というべきなのか,古着ではなくあくまで新品の既製品がベースであるところ。記事によれば,古着(それもアンティーク)は布地が弱っている物もあるしサイズも小さい物が多いから,着られる物を探さなければならず実は上級者向けとのこと。確かに,敷居が高い。


そしてそれ以上に引っかかったのは「(アンティークの)数が少なくなっている」そうで。


実際のところどうなのかわからないけど,状態が良くてサイズも良くて色柄のセンスも良くて自分の趣味に合うものがそんなに簡単には転がっていなくなっていることは想像できる。だって,古着は買われていく一方なのだ。持ち主が売るという形で随時供給はなされても,生産そのものは1枚たりともされないのが古着なので。一頃の若い女性の古着購入の様子は,いくら若い女性全体から見れば局地的とはいえ,半端じゃない(尋常でない,とも)感じがしていたもの。


だから,本当に手に入らない(入りにくい)かどうかはともかくとして,初心者の無闇な参入は牽制したい気持ちがあることは否定しない。an・anの記事に牽制の気持ちがあるという意味ではなく,わたしの気持ち。もとよりそんな権利はないんだけど。だいいち,わたし自身は古着買いの世界にはほとんど足を踏み入れていない(これから足を踏み入れるとしたら新参者扱いだ)し。


しかしわたしにとっては「仕立て上がりを試着してから買えるおまけにジャストサイズが見つかる」古着は非常に大切な存在なので,あの業界には,急激に売れるでもなく寂れるでもない,そこそこ・ほどほどの景気を持続していて欲しいなあと思うのだが。


古着じゃない既製品も,洋服のジャケットの袖丈詰めやパンツの裾あげと同じように,買うときにそのお店でさくっと裄丈と身丈の直しをお願いできれば,買うんだけどなぁ。ポリエステル素材の派手な柄も使いではあるし。なんとかならんのかなぁ。つって,ここ東京じゃん。そんなお店も探せば見つかるかも。


ついでに,「MORE」11月号の1Cページの連載記事初心者体験シリーズ(勝手に命名)も奇しくも着物。これはきくちいま氏が案内人で京都のお店へ。いいなぁ,木綿。


それよりも長襦袢が欲しいなあ(空耳)。


11月22日休み取りたいなあ(これは空耳じゃないよ)。


まるちちゃんキター。しかも育ってるー。ぎゃーす。エンディングの曲はちゃんと記憶にあった。すまん。ていうか,恐ろしい。どきどき。


……とっとと寝よう。