C205文庫:マンガ篇

みなみけ」(桜場コハル)1。どこかでタイトルだけは知っていたので手に取る。三女のチアキさんの小学生離れした語彙がツボ。同じ作者の「今日の5の2」も読んだけれど、こちらは小学生の社会生活を描き出した点におもしろみはあるけれど個人的な好みでいえばそこまででもなく(でも保険委員萌え)。OB会の席で「みなみけ」についてえ○氏とかたい握手をかわしたところ、翌日え○夫人氏に「ああいうの好き?」だったか「おもしろい?」だったかと訊かれた(違っていたらごめんなさい)。おもいっきり「うん!」と返事したら、なぜだか無言だった。
美女が野獣」(マツモトトモ)1〜3。“おぉ「キス」の人だ”と思ってぱらぱら。現メンバーのC205に新作の少女マンガ(?)があることに少し驚き(白泉社マンガであれば「動物のお医者さん」もありますが)、かなまるに「あんたが買ってるの?」と訪ねたら、「うん」。ひょっとして、あの棚のマンガは全て(百鬼夜行抄とかも)彼が購入したものなのだろうか。なんだかジャンルが多岐にわたっておるのだが。
簡単に言えば名門私立高校の寮(男子寮と女子寮)を舞台に繰り広げられる日常生活と学園生活と恋愛模様を描いたマンガになるのだろうか。寮話だから買っているんだそうなかなまる、リアル寮でドリーム寮話を読むおかしみ。
ドリーム寮話と言っても、作者のマツモトトモ氏自身高校(女子校)3年間を寮で過ごしたとのことなので、女子寮の日常については実体験に基づいていよう。実態を知っていてマンガ用に加工してある為に生じる妙なリアル感と描写の厚みがたまらない。出色は女子寮内でしばしば麻雀大会が開催されていること。洗面器・どてらに麻雀。高校の女子寮とは縁のなかったわたしにはそれが実態なんだかぶっとばしているんだかわかりゃしないが、某独立行政法人K大学K野寮とは相通ずる部分も多く(麻雀やってるところは見たことないけれど)「うそくせぇ、こんなのありえねぇ」とつっこむ部分と「うんうん、ありそうありそう」とうなずける部分の両方を有しているためにたいそう楽しめてしまう。
そんなK野寮的女子寮に対して、男子寮の設定は、新しくきれいで各部屋バストイレ付きといった建物設定に加え各種設備も充実、おまけに住まう寮生のほとんどは学校側が進学実績を上げるために全国からかき集めた授業料免除の特待生(なのでわりに他人に無関心な個人主義野郎が多く一致団結などはしない)という超ドリーム寮だ。まさにきらめく少女マンガの男子寮なのだが、この男子寮にしても、端々にちらちらとリアルっぽく見える小汚さを(さすがにこちらは想像の範疇だろうが)描き込んでいるのが良い感じだ。
そこがこのマンガの寮話部分のおもしろさで、ぱっと見(なり描写の多く)はあくまであこがれの対象にすらなりうる寮生活が描かれていて、こういうのいいな〜、ってうっかり夢見てしまう「つくられた」青春なり高校生活なり寮生活なりだ。それはK野寮的古びた女子寮でも同じこと。その上で、その大枠は崩さずに小汚さを見せている。逆に言えばその厚みがよけいに夢とあこがれをかき立ててしまうんじゃないかと思うんだが。

主人公のエイミは高校2年進級時に親の転勤に伴って寮生になりそこからこのマンガは始まるのだが、女子寮がどんなとこかも入るまで知らなかったようだ。同室になる女子生徒とも同学年なのに初対面(顔も名前も知らない)だったようで、そのあたり少し不自然ではないかと思っていたけれど、同学年で初対面はともかく、寮の実態なんて身近に寮生がいてそれもよほど親しくない限り、知らないものなんだろうな。だって、今日の今の今まで、うちの高校にも寮らしきものがあったことをわたしはすっかり忘れていたくらいだから。同じクラスに下宿生(女子)やその寮らしきものに住んでいた男子もいたけれど、どんなところでどんな暮らしをしているのか、知らなかったものなぁ。

ところで、単行本の欄外(雑誌掲載時に「前回までのあらすじ」や広告が入っていたスペース)に載っている読者からのおたよりの1つに、息子が大学の寮暮らしで20歳の男4人部屋を想像しただけで……という母親からの手紙があって、たいそうおもしろかった。
これを読んでわたしは、またもや某独立行政法人K大学K野寮のC棟2階東端の部屋を思い浮かべたわけだ(思い浮かべたもなにもそこで読んでいたんだけど)。かの部屋と読者の息子の住まう寮とがどれぐらい近いのか離れているかはわからないけど。
某K野寮はある種の曰く言い難い雰囲気を宿しているが、これが当寮特有であり「大学の寄宿舎」として極端な例なのか、それともどこの寮でもこんなもんなのかは、わたしはほかの寮を知らないので判断できない。
ここから香り立つ風情がその歴史と伝統(つまり築○十年のコンクリート建造物の古さや、廊下等に置かれた積年の埃もうずたかい代々の寮生の遺物等)から来るものなのかそれとも中に住んでいる平成の若者が発しているものなのかも判然としないが、ガワについても、どこでも古いのかK野寮だけなのか知らないし(しかし今時新しく学生寮をつくるという話もなさそうなので、寮ってのはどこでもたいがい古いんじゃないだろうか)、中身はなおさら、K大生だからなのか世の大学生は似たようなものなのか知るよしもない。(寮生でも下宿生でも大差ないことは知っている。ただし、自宅生については、自宅生の例をほりぃというごくごく特殊な個体しか知らないので判断しかねる)。

マンガ自体は寮生活だけを描いているわけではなく、本題(?)の恋愛模様は3巻にもなるとだんだん切ない感じになってくる。4巻が既に出ているそうなので、今日買ってこよう。白泉社の「LaLa」誌上で連載中。
さて、なんだかんだ書いているうちに3時を回ってしまった。なんかばらばらしているけれどもう時間がない。着替えて顔洗って出かけねば。なにやら急がないとまずいのでは。