続・第1レフトってどっちだっけ(言い訳エントリ)
前回→http://d.hatena.ne.jp/cana/20090125#p4
「最近ほにゃららな気がする」という根拠のない印象論は良くない。怪我人病人多発で正攻法が取れない今だから,かもしれない。たまたま「スーパーエース」タイプの人材がいないから,かもしれない。昔からどこのポジションであれ外国人選手が攻撃の中心になっているのかもしれない。
比較/検証の観点(思いつき)
- サイドアタッカーのチーム内アタック打数・決定数比とその新旧比較
- サイドアタッカーのチーム内サーブ受け数比較(レセプション免除者の洗い出し,第1レフトと第2レフト*1の役割分業)
- 第1レフトが外国人選手のときの,オポジット/第1レフトのアタック打数・決定数比(単なる外国人助っ人偏重かも疑惑の検証)
- 外国人選手のポジションが優先されて日本人オポジットの選手がレフトに回った事例
- 外国人選手をおかなかった富士フイルムと旭化成の布陣
ちなみに3ばんめと4ばんめの事例(思いつき)
・宮崎とイェルツェン・ヒド(1998-1999)/パスカル加入による宮崎レフト化(2000)
・山本とカントル(2003−),ソト(2006-),フェリペ(2007-)
・平野,直弘,内冨etcとサベリエフ(2000?-),ガードナー(2005),パンテレイ(2006),マリ(2007)
・柴田とアブラモフ(2004)/ニコロフ加入による柴田レフト化(2006)
以上を踏まえて,Vリーグ公式サイト「過去の記録」をみてみる
・第11回(2004/05)より前の個人技術集計が公式サイトに載っておらず,第11回より前は個人賞しかわからない。
・個人記録の取り方や個人賞の出し方が年によって変わる。
・第11回のチーム別全選手ランキングを見ようとしたらふぁいるのっとふぁうんど。(試合結果一覧はみられる)
・第12回の試合結果一覧(A,B)を見ようとしたらふぁいるのっとふぁうんど。(チーム別全選手ランキングは見られる)
・第14回(2007/08)のチーム別全選手技術集計表が壊れている(出場試合数8はどう考えてもおかしい)。
結論。ほとんど比較検証の材料たり得ない。
過去の試合については,自宅の棚をひっくり返せば自分の観戦メモや録画VHS(第11回の途中からHDD&DVD。どうやらそういう時代らしい)が出てくるが,網羅できていない。たまたまその試合だけ,という場合もあるので,できればシーズン通算成績を見たいもの。
参考1:Vリーグ男子歴代猛打賞受賞者 <Vリーグ公式サイト「過去の記録」調べ>
※1994-2000年度。
- 1994年度:宮崎謙彦(松下電器)
- 1995年度:張 翔(東レ)
- 1996年度:フィレイラ・アンドレ(NEC・HE)
- 1997年度:I・サベリエフ(住友金属)
- 1998年度:B・ジルソン(サントリー)
- 1999年度:B・ジルソン(サントリー)
- 2000年度:B・ジルソン(サントリー)
各位ポジションが分かりませんのでコメント不能。
参考2:Vリーグ男子歴代得点王受賞者 <Vリーグ公式サイト「過去の記録」調べ>
※1998年度以降。
- 1998年度:B・ジルソン(サントリー)
- 1999年度:B・ジルソン(サントリー)
- 2000年度:B・ジルソン(サントリー)
- 2001年度:B・ジルソン(サントリー)
- 2002年度:B・ジルソン(サントリー)
- 2003年度:R・アンデルソン(NEC)
- 2004年度:ゴメス,エルナルド(豊田合成)
- 2005年度:ガードナー,ガブリエル(JT)*
- 2006年度:マイヨ,フィリップ(大分三好)
- 2007年度:アラウジョ,レアンドロ(東レアローズ)
ジルソンがコピペミスに見える。
*2005年度のガードナーはレフトポジション。
参考3:各チームのアタック決定本数チーム最多選手と2番目選手 <Vリーグ公式サイト「過去の記録」調べ>
※2005年度・2006年度のみ。()内が決定本数。*はチーム1位がレフトポジション
■第12回(2005/06)
- JT:ガードナー(500)−直弘(284)*
- 堺:ロドリゴ(490)−千葉(288)
- 松下:山本(453)−カントル(345)
- サントリー:ジョエル(423)−越川(338)
- 東レ:ルイス(399)−越谷(283)
- 豊田合成:盛重(390)−五十嵐(239)※
- 旭化成:真鍋(313)−甲斐(252)
- NEC:大村(303)−ペレイラ(294)*
※豊田合成はトーマス・サムエルボを含めた3人のうち誰がセッター対角にいたか思い出せないわからない。サーブレシーブが多い順に五十嵐(563),盛重(356),トーマス(355),諸隈(321)。となっていて,サーブレシーブ免除者がいなかったことが窺える。つまりスーパーエース不在。
■第13回(2006/07)
- 大分三好:マイヨ(650)−小川(216)
- 東レ:ニコロフ(568)−今田(301)
- パナ:ソト(513)−山本(398)*
- 豊田合成:ビッタール(430)−川浦(240)
- サントリー:レオナルド(422)−越川(346)
- JT:直弘(413)−マリ(342)
- 堺:ロドリゴ(369)−西尾(310)
- NEC:大村(296)−ファイディ(268)*
川浦!
直近2年を並べても意味がないなあ。
まったくの余談だが,この3年間のNECのもっともよく打ったでしょうと2番目によく打ったでしょうの名前を眺めるにつけ,(07/08は決定率が前田→金子の順,打数はおそらく金子→前田)いろいろな意味で苦労が偲ばれてならない。
1番福澤……(V・プレミア男子が特殊カテゴリかもしれない偏見に満ちた雑感)
昨年関東一部男子の秋季リーグを数試合(+全日本インカレをほんのちょっとだけ)観戦して,大学男子でのセッター対角選手の色はプレミアのそれとはかなり異なるとは強く感じた。
レフト対角に隠れて印象が薄いか,3人いるサイドアタッカー(ウィングスパイカー)の誰がセッター対角かわからないか,のどちらかが多かった。もちろん,各選手・各チームに明るくない自分の事情もあるのだが,試合をみたときの印象(のもとになっているであろう打数・得点数)がレフト対角主体のチームが少なからずあったため,あえてセッター対角に注目するという見方をしなかった。
日体大は米山−高松のレフト対角(レギュラークラスの当該選手が故障していたととかありつつ),中央大は福澤−千々木のレフト対角。中大ライトの渋谷は,プレミアにおける第2レフト(守備レフト)的な,「打数は少ないけれどいいところでいい仕事」人っぽかった。東海こそ清水が有名人なので分かりやすいものの,ほかは順大の伊藤と法政の古田はレフトかライトかわからん感じ。
逆に言うと,国内でセッター対角=スーパーエースという手法が主流なのは,男子プレミアだけ,とも言えるわけで。その特徴ってなんなんだろうね,というのがずっと疑問。
呼称の問題1(レフトとライト)
なんとなくまわりがそう呼んでいるっぽいからという理由で自分もレフト/ライト(オポジット)と呼び分けてはいるが,ローテーションによって,サイドアタッカーの選手は3人とも,レフトから攻撃する機会もあればライトから攻撃する機会もある。
各ローテーションごとのポジションと攻撃のパターンを逐一観察すれば,レフトがレフト,ライトがライトと呼ばれる理由もわかるのかもしれないが,個人的にはいまだにその理由がまったく分かっていないというのが正直なところ。
呼称の問題2(言い換え現象)
現プレミアのチームで「オポジット」「MB」を使い始めた草分けはJTと東レかな。歴史って同時代に生きていると案外いつなにが起きたか分からないもので(言い逃れ),いつごろからどのような形で広まってきたのかわからないが,ここ数年で徐々にポジション名の言い換えが進んできている。
順序としてはスーパーエース→オポジットが先行し(ほぼ終了),次がセンター→MB(途中)。「レフト」はまだ「レフト」が優勢。
「スーパーエース」はすっかりなりを潜めた。
「センター」はまだかろうじて残っているけれど,それもチー顔とNHKバレーボール中継が「MB」になったからきっと風前の灯火。自分もMB呼びが増えてきた。アルファベット2文字で書きやすい。
「レフト」はもう少し時間がかかりそうだが,いずれ変わるかもしれない。
・代替呼称が,ウィングスパイカーかサイドアタッカーかアウトサイドヒッターか,いろいろばらけて絞り込まれていない。
・その3つはカタカナで書くとどれも長い。
・頭文字から考えるとWSが分かりやすいが(SAはサービスエースと混同される,OHはぱっと見OPと似ている),口答での「ウィングスパイカー」はまだちょっと馴染みもなくて言いづらい。略称もちょっと思いつかない。
・あえてオポジットと分けて呼ぶなら現レフトを限定する呼称になるべきであって,オポジットポジションも包括する呼称を現レフトに限定して使うのもおかしい。
そんなこんなでレフト呼び優勢のまま推移しているんじゃないかと思うのだけれど,一方でレフトはLと書けず(リベロなので)省略して書くには書きづらい。
少し話が逸れるが,スーパーエースという呼び方が急速に廃れていったのは,頭文字SAで紛らわしい上に略しようがなくて長ったらしく,おまけにどことなく気恥ずかしい,トリプルコンボを抱えていたからじゃないかと,これは私見。
呼称の問題3(気分の問題)
セッター対角がスーパーエース然としなくなってきたと感じるのは,ひょっとすると単に呼称の印象に左右されているだけかもしれない。
或いは,肩書きが人を作る。つまり,「スーパーエースというポジション名」が外れたことで,そのポジションに入る選手に科せられていた役割が少し自由化したのかもしれない。これも私見。
呼称の問題4(スーパーエースとオポジット)
この両者は事実上限りなく同義で言い換えられ,今は「オポジット」が主流となって使われている(自分も使っている)。しかし,個人的には定義嬢はスーパーエース≠オポジットと解釈している。
・「スーパーエース」は攻撃専任という「役割」についている呼称
・「オポジット」はセッター対角という「場所」についている呼称
なので,実際にはほぼ100%被るけれども定義としてのイコールではない(というあくまで個人的な見解)
(セッター対角という意味での)オポジットが自動的にレセプションを免除されるわけではないし,二段トスやセット終盤のトスが集中するわけでもない。実例として前述の合成の盛重・五十嵐・諸隈・コッピラインや今季NECの前田が挙げられる。
このようなシフトを「オポジットがいない」と表現されたこともあったようだ(直面した記憶があまりない)。この場合「オポジット」が意味しているのは「スーパーエース」と考えられる。
個人的には「オポジットがいない」という表現はすごくひっかかるんだが,
・もともとスーパーエースでないオポジットにはライトという呼び方がある。
・レフトとライトの役割に有意な差がないカテゴリでは,両者を区別せずにまとめてエースなりアウトサイドヒッターなりサイドアタッカーなりなんなり*2と呼んでいる。
ので,敢えて「オポジット」と呼んだ場合は旧スーパーエースを意味する(それ以外なら「オポジット」と呼ぶ必要があまりない)という使い分けの仕方も成り立つ。
一方で,スーパーエース的でなくてもセッター対角ならオポジットな用例も当然見られる。
用例1)使えないオポジットならいないほうがマシ
用例2)米山OPw
このへんあまり定まっていないな。
そもそも,なぜスーパーエースがセッター対角におかれがちなのか,という疑問もある。競技未経験者には想像・理解しづらい部分なんだろうなあ。
各選手に張り付いている担当ポジションの問題(サイドアタッカーの互換性)
「チームの顔」2008/09版は「OH」「OP」と区別している。Vリーグ公式サイトではポジション記載はなし。各チーム公式はチームごとにばらばら。
しかし,正オポジット不在のときにかわりに出場するのは必ずしも「OP」マークがついた選手のみではない,今季はむしろ(OP控えがいても)そうでないケースがしばしば見られる。このような状況では,チー顔に記載されているOHとOPの区分はそれほど意味をなしていない気がする。
レフトの選手が,正オポ不在時にオポで出るぐらいではコンバートとは考えない。オポジットメインの選手がレフトメインになる場合にはレフトコンバートという認識があるようなないような。センターとサイドとの間で変わる場合はコンバートと認識される。
サイドアタッカー(アウトサイドヒッター)3人でいいじゃん
結論はこれか? 呼び分ける理由ってあるのかな。