You are my shining stars.


東レアローズ大山加奈が,現役引退を発表したそうだ。


期待され,期待され,期待され,その名がまたたく間に広まり,期待され,怪我に苦しみ,期待に応えられなかったことを非難され,それでもまだ期待され,怪我に苦しんだ選手。ちょっと離れたところから見た彼女の高校卒業後の選手生活は,そんな風にうつる。


折しも昨日の深夜,上の記事を書いた直後に,スポナビにて東海大学八子大輔を取り上げた長文記事が掲載されていることを教えていただいた。


先のパンパシ*1を舞台にしたその記事は,その場でその試合を見ていたわたしには,凄まじく作り物めいて見えた。


パンパシのタイ戦の八子が悪かった,活躍していなかった,と言いたいのではない。たしかにその場で試合を見てはいたのだが,わたしには良かったとも悪かったともわからない。今大会は,バレーボール生観戦11年目にして初めて,試合中の記録をつけることを試みた。結果,ボールの行方とそのボールに触った人の背番号のみを注視することになり,会場の雰囲気や,試合の流れ,個々人の調子の善し悪しなどが,一切認識できなかった。


ただ,なんというか,たとえ結果がどうであれ,ほぼ同じような内容の記事が同じタイミングで掲載されたのではないか,と,そんなうがった見方をしてしまうぐらいに,お話ができすぎている。そんな違和感。何者かによる強い「八子推し」の意志を感じてしまうのは,斜に構えすぎだろうか。


その翌日に,大山加奈引退の報。


しばしば「スターシステム」と呼ばれるそれは,必ずしも成功をうむばかりとは限らない。


コートの上にはたった6人。リベロを入れても7人。ベンチ入り総計でも12人ないし14人。そんな少人数の団体競技なのに,なぜかそこからさらに人数を絞って,2人か3人のみをクローズアップするのが代表チームの国際大会を取り上げる際の通例になっている。クローズアップは大会前から大会期間にかけて行われ,ピックアップ対象の選手は期間を通して固定されている。そして,対象選手がある程度恒常的な活躍を見せ始めると,複数年にわたってそのほんの数名の選手に全てを追わせてしまう。


ほんの趣味程度の人から本気で取り組んでいる人まで,競技人口はけして少なくはない。トップレベルを目指して研鑽を積む多くの選手のほとんどは途中で夢破れ,ほんの一握りの成功者だけが,トップレベルのチームでトップレベルの競技を続けることができる。


その大会で代表チームに呼ばれる選手は,そのほんの一握りのそのまた一握り。彼らは,皆,とてつもなく強くて巧くて素晴らしい選手ばかりのはずだ。


とてつもなく強くて巧くて素晴らしい選手は,たくさんいたほうがいいじゃないか。みんなが少しずつでも彼ら自身の課題をクリアして,レベルを上げて,上を目指して,周りはそれをサポートすればいいじゃないか。


大会が始まる前は選ばれた選手全員の注目ポイントやチームで期待される役割を紹介してほしい。大会が進めば,その試合ごとに調子が良かった選手をクローズアップすればいい。


最初から本田一押しだったわけじゃないでしょ? だからって本田蚊帳の外だったわけでもないでしょ?


そこにあるお星様がもっと綺麗に輝けるように。そして,その輝きがより多くの人に届くように。まわりができることって,しなきゃいけないことって,そっちじゃないのかな。

*1:アジア太平洋カップ福岡国際男子バレーボール大会