Vプレミアリーグ/ファイナル6(3日目)@大田区総合体育館


天皇杯ファイナル以来の大田区総合体育館。このところ,大阪中央体育館の次ぐらいに訪問頻度が高い気がする。実際は東京体育館のほうが多いだろうけれど。


木をふんだんに使った雰囲気も,LEDの明るい照明も,どの席からも見やすいこぢんまりしたつくりも,もちろん交通の利便性にも優れた良箱。しかし,昨秋のワールドカップで人気が出たおかげで今季のリーグ戦はチケットがたちまち完売し,手狭感も出てきた。もう少し広い手頃な体育館がないのが東京の難しいところ。一頃のブームは落ち着いたものの,3試合開催の土曜日はかなりの客入りでした。プレミアでこんなに客が入るなんて(感涙)


今季のファイナル6観戦は,幸い昨季みたいな驚天動地が(今のところ)起きていないので,この第2週・大田2日間のみの予定。そのぶんお席は奮発してアリーナ。というか,例によって行かなくなったという方から譲っていただいたわけでして(今季のぷれみあ絡みの試合のチケットはコレ方式ばかり),びっくりするぐらい良い席でびっくりしました。


ただ,大田のアリーナの木製ベンチシートはへこみもなければ背もたれもなし。この椅子で5セットマッチ3試合は腰がつらかった。たとえそのうちの2試合がストレートで決着しても。


試合前イベントで使ったとかで,フリースの膝掛けが配られていたのは,座布団的な意味でありがたかったです。奮発したなあ。賑わってるってうれしいなあ。


第1試合の豊田合成-堺は,ただただ合成の強さが際だった。ひとつひとつの得点とかプレーとかももちろんしっかりしているんだけど,なにより試合運びが強い。堺が勝てそうな要素が見えない,というと言い過ぎかもしれないけれど。


合成は見て面白いチーム,堺は応援したくなるチーム,という我々の結論。そう。これじゃ合成に勝つのは難しいだろうな,とは思うんだけど,コートの中のひたむきさは,応援したくはなる気持ちにはさせる。


第2試合の東レ−パナは,比較的淡々とした進行。両チーム,ものすごくすごいこともないし,けして悪くはない,という。合成と東レの2チームが頭一つ抜けている(土曜時点で3位以上が決まったんだったか)現在,東レの(他チームと比較しての)強さは何だろう,などと話しつつ見ていた。


いろいろな要素があるのだろうけれど,個人の技能でいえば,エンド側から見ていて,富松のブロックに舌を巻いた。わたしはもともとブロックへの意識が著しく低い。富松が出ている試合を今まで何試合見てきたかわからないが(1桁でおさまらないことだけは確かだ)視界には入っていても見てはいないとはまさにこういう現象をさすのだろう。「あ,とみー,うまい」と,突然腑に落ちたというか,意識がクリアになったというか。ほんとに急に。


ブロックに関しては(意識は低いくせに)「個人のキルブロック数よりも組織ディフェンスが優先される」教の信者のつもりなのだが,富松のプレーは,組織的なトータルディフェンスを邪魔しない優れた個人技の存在をわたしに知らしめるものだった。今季で何度目になるかわからないブロック賞は伊達でも酔狂でも偶然でもなく,また,ほかの何かの犠牲のうえに成り立っているものでもないのだと。


第3試合のジェイテクト-JTが,前2試合ストレートのチャージを使い果たすフルセット。最終セットも21-19までもつれる白熱の一戦だった。ファイナル3に進みたい両チームにとってどちらも納得のいく結果ではなかっただろうが,見ている分にはたいへん面白かった。


清野に尽きる。交替出場した清野の活躍は目覚ましかったし,ジェイテクトが勝っていればVOMは間違いなく清野だったし,負けたけど「この試合で最も活躍した選手」はやっぱり清野だと思った。


試合開始早々からジェイテクトがさっぱり回らず,途中4-17だったかのぷれみあ同士の対戦ではなかなかお目にかかりたくない点差にまで開いた。まずセッターを久保山にかえて,それから古田を清野にかえて,和人を浅野にかえて,セッターを慎治に戻した。第1セットは15-25の大差で決着したが,メンバーが交替してからの得点はジェイテクトJTを上回っている。


第2セットは僅差で落とし,3・4セット目を取ってフルセット。ジェイテクトらしい,ねばっこい嫌らしい守備だった。2枚ブロックがワンタッチを取り,クロスのコースのいちばん深いところにディガーがそなえる。相手がヴィソットであっても,けしてくじけず諦めず,しつこく繰り返し,次第に相手の心を折っていく。こういうチームだったよな,と,何年か前のとどろきアリーナの最終戦を思い出した。人はかわっても,クラウチングスタートをしなくなっても。


一方のJTはやはり今季はなかなか厳しい。昨季との違いなるものを,JTの試合をみるたびにぼんやりと考えているのだけれど,いまだに自分なりの結論は出ないまま。唐川は期待以上の働きだし,越川の途中離脱のせいだけとは思えない。そらまあ越川すげえなとは度々思わされるんだけども,それだけじゃなかろう。


昨季の優勝決定戦を戦った2チームが最後まで入れ替え戦回避争いをしていた。それだけ力が拮抗しているということでもあるのかな。シーズンごとに順位が上がったり下がったりするリーグは,特段の贔屓チームがないわたしにとってはたいへん面白い。しかし,すっかり日和見主義になってしまっているのは良いのか悪いのか。