FIVBバレーボールネーションズリーグ男子東京大会

6/8,6/9 @武蔵野の森総合スポーツセンター


前身の「ワールドリーグ(WL)」時代を含めても,この男子大会の生観戦は今回が初めてでした。


女子は,8年ぐらい前に代々木第一体育館で当時のワールドグランプリ(WGP)を観た記憶がかすかにある。照明が明るくて視界が白くて眩しかった。そしてオランダのオレンジ色だった。そんなおぼろげすぎる記憶。8年ぐらい前というのは「ずいぶん前で覚えていない」程度の意味で,東日本大震災のその年だった,ということではない。けど,女子のWGPを観に行くってそういう,なにか,いつもと違うことがあった年じゃないかとも。


ともあれ。男子のネーションズリーグ(以下VNL)は2週目。1週目はテレビのダイジェストでちらっとだけ観ただけ,金曜日は仕事でぜんぜんだったので,なんの事前準備もなく予習もなく,飛田給に乗り込んだ。もたもたしていたので,ちょうど第1試合のアルゼンチン対イランのホイッスルが鳴ったころに,会場に到着した。第1試合は1510試合開始。


プレーが始まってもスタンドは暗く,コートだけが明るく照らされている。そして色とりどりの光線が時折行き交う。試合前の演出のようなそれが試合中も続く。1ラリー(ボールデッド)ごとに,新旧とりまぜた音楽が流れ,DJが時折煽る。音楽も光の演出もサーブのホイッスルが鳴っても止まない(ボールに触るころには止む)。


しばらく,4階の隅からのその光景に身体が慣れなかった。目がうるさい。耳もうるさい。まったく落ち着かなくて試合が頭に入ってこない。第1セットが終わったところで3階のスタンド指定席エリアに移動したところ(第1試合はアリーナ/スタンドのエリア内自由席だった)自席もそこそこの光量があるおかげか距離の近さゆえか,ようやく,ほんの少しだけ,息ができた。でも試合が終わるまでずっと上の空だった気がする。


国際大会だから場内アナウンスもMCも,英語→日本語の順。DJはオーストラリア人(たしか)と日本人のコンビ。第2試合の試合前のMC挨拶の様子では,場内演出も主催のFIVBによるもののようだった。たしかにVリーグともJVA主管の国内大会とも違っていたし,今まで観たことのある国際大会(つまり,オリンピック予選)とも趣が異なっていた。これはこれで,国や大陸をまたいだ,FIVBによる大きな興行なのだと感じた。(そうはいっても,場内の表示や掲示,物販等は日本独自のもののようだった。それに,手荷物検査もボディチェックもない)。


自分自身はこの大会との縁はたいへん薄い。ワールドカップをきっかけにバレーボールを観るようになったわりにすぐに興味の対象がVリーグにうつってしまい,代表戦への関心が持続しなかった。代表カレンダーでは6月からシーズンインだが,わたしにとっては黒鷲旗が終わると次の冬まで長いオフシーズン(プロ野球シーズンの本格化)である。今みたいにインターネットで公式にライブ配信される時代でもなく,情報を得たり観たりする手段も興味のある人に限られていた。WL終盤には公式チャンネルで動画が観られるようになり,ようやく,タイミングがあったときにリーグ終盤の上位国同士の対戦などをちょろちょろ観るというスタイルになっていた。


公式の動画配信はVNLになって有料化した。2000円ぐらいでライブで全試合観られるので状況は良くなってるんだろうけど,手続の一手間が障壁になって,今のところポチれていない。


だいたい日本の深夜に試合が行われるので,興味関心を持って大会を追うことが難しいのが正直なところ。それに如何せん日本が弱いので,「弱いって辛い」な話ばかり漏れ聞こえてくる。WL末期には来季は出られなさそうとか救済措置でやっぱり出られるようになったとか,他のチームが別の理由で落ちたために繰り上がって出られるようになったとか,参加チームが増えたかわりに2部(3部?)制にになって,日本はトップクラスのチームとは対戦機会が無いとか,毎年そんな感じだった。よくわかんないけど。


そして,日本のホームの試合も,たいていどこか遠い大きな体育館で開催され,1試合だけ(?)なのにチケット代は国際大会価格でべらぼうにお高い(らしい)という,自分にとっては身近に感じられないものだった。


というのが例年のならい。今年は場所が飛田給,日程も週末。俄に現実味を帯びてきたところに,参集するのはアルゼンチンにイランにブラジルとなかなか魅力的な顔ぶれ。それでもまだ自分ごととは思っていなかったのだけれど,大変ありがたいことに,一緒にどうでしょうとお誘いをいただいた。この上なくありがたいことである。


例年この週末はデートなので,お誘いをいただいた旨のうかがいを立てたところ,どうぞ行って楽しんでおいで,と快く送り出してくれた。


序盤に書いたようにしばらく慣れなくて落ちつかなかったし,帰宅直後は目と耳が疲れて(腰も疲れて)かなりぐったりしていたのだが,2日目(大会3日目)の日曜日には演出にも慣れて,大会を大いに楽しめた。


土曜日の日本戦ではメンバーを落としていた(という書き方が適当かわからないが,自分が名前を知っている選手が軒並みベンチでコート内は「若手」主体だった)ブラジルが,日曜のアルゼンチン戦では,わたしでさえ知ってる選手がもりもり出てきて楽しかったし,フルセットになったのもよろしかった。途中ブラジルがちょとだれてるのかな,という感じも受けたのだが,アルゼンチンはアルゼンチンでコンテ様がコンテ様だったし。


アルゼンチンはメンバーが大きく替わっている印象を受けた。たぶん単純に何年も観ていないだけだろうが。ブラジルもブルーノが登録外だったので,セッターが若い。若いし185cmと低いけれど,うまかった。それに比べると,「イランのセッターってマルーフしか知らないっていうぐらいずっとマルーフ」なマルーフがいたイランは「いつめん」感はあった。それでも日曜の日本戦ではOPにガフールではなくヤリを起用し,前日最後にちょと足をひねってたっぽかった(記憶違いかもしれない)ムーサビ(シャツネーム的にはセイエド)も出場せず。


日本を応援していないかというとそうでもないし,日本代表にも日本国内チーム所属でない選手がいるのでその選手を観られる貴重な機会でもあるのだけれども,でもまあ,ブラジル楽しかったね,うまかったね,というね……それを観に行ってるようなものなので,その点ではたいへん満足。スタンドの遠いところからだったけど,レアルもルカレッリもほんとにかっこよかった。日本戦で出てたOPもかっこよかった。イランも,ガエミたんはアップゾーンでフリーダムなやんちゃベテランになってたけど,サイドで出てた7番の選手(人の名前を覚えられなくなってしまった)がたいへん素敵だったので楽しい。


だれも利き手と逆の手で打ったりしないしダブルコンタクトが頻発したりもしない。とかいう冗談はさておき。単純に,スゴイ人たちのスゴイプレーを観てスゴイスゴイって言いながら楽しむ,という,スポーツ観戦のほんわりライトな,でも,ほんわりとコアな部分を改めて感じた2日間だった。近隣住民招待券のおかげなのかなんなのか客入りも上々で客層もいろいろで,ほどほどに演出にのってほどほどに騒いで。勝てるわけないと思ってるので気楽でもあり。そこは「オリンピック出場がかかった負けられない戦い」みたいなんと違う,VNLの良さかな,とは。いや,あんまり負けてると良くないのかもしれないのですがそのへんはわからん。


ブラジルにもイランにもストレート負けで,得点も同じぐらいだったのだけれど,内容はブラジル戦のほうが良かったかな。イラン戦はどうもぴりっとしなかった。ひとつひとつみればいいところもあったけれど,プレーもベンチワークも今ひとつ。ブロックがねー……マルーフがうまいのか,そうなのか。身長(だけ)じゃないよねー……


大昔(5年ぐらい前)に「石川が守備よりのサイドができるぐらいになったら強くなるかな」と言っていたんだけど,ポジション2で出てたのを観ても,どうもしっくりと来ている感じはなかったような。さて……