TOKYO2020男子バレーボール雑感(試合の周辺のこと)

「総括」なんて大それたことは書けないのですが、目にする総括記事に「なるほど」と膝を打ちながらも、記憶が残っているうちに、間違っていてもいいから、自分が感じたことを書き留めておきたいと思いました。
目次なんて立派なものはありません。

無観客

決定前から無観客になるだろう(なるべき)と思っていたし、自宅で配信を観るメリットもたくさんあったけれど、始まってみると、チケット高くても席が遠くても、現地で観たかったという気持ちは、たびたびわきました。あのプレーをあの試合を、時の流れを、その場で感じたかった。

配信&英語実況

試合は、テレビ放送のある試合を除いて、NHKの配信サイトで英語実況で観ていました。観に行けなかったからこそ、全試合配信が有り難い。ロンドン大会ぐらいからでしたか。(でもリオデジャネイロ大会は、記憶にないの。時差かしら)。NHKは民放合同のgorin.jpよりも遅延気味だったのが難。
全試合見放題とは言ってもフルで気合い入れて観るほどではなくて、休日や夜はとりあえず流しておいて、ほかのことをしていたり。平日仕事中で見逃しているぶんも、見返してなくて、いつか観たいと思ってはいるものの、いつまで観られるのかしら。
英語実況は、ほとんどわからないなりに、実況さんの個性(肉声)が楽しい。固有名詞や得点、平易なフレーズは聞き取れるし、「すげえええ!!!!!!」的なニュアンスはすごく伝わる。何人で担当されていたのかわからなかったけれど、お1人(?)しょっちゅう笑う派手な人がいて、凄く面白かった。
途中から日本語のロボット実況も装備されて、精度もじゅうぶんだった様子。技術の進歩を感じつつも、臨場感では肉声に圧倒的軍配があがると思いました。

テレビ放送

男子は、日本戦は全試合テレビ放送(7/31昼のポーランド戦はEテレで、その日オフィス勤務だったので、録画し損ねましたべっこり。まだ観てない)、BSが予定変更で地上波に下りてくる奇跡も起きました。日本敗退後も、決勝戦はBSで放送がありました。すばらしい。
女子は、ほんとに時間があうときしか観(られ)なくて、日本戦をちょろっとと、3決は時間勘違いして見逃して、決勝戦と、ぐらい。
実況アナウンサーさんは交代で、番組表に名前が出ないんで、よくわからんかったのですが風の便りに聞くところ、男子は日本-イラン戦がフジの竹下アナで準々決勝の日本-ブラジル戦が西岡アナだったの、かな? ほかは不明(忘れた)。解説は男子は山本隆弘さん、女子は真鍋政義さんの固定。*1
自由度のない国際映像で、数限りない競技が行われ予定も頻繁にかわる中で、そして、かかる世情で事前取材もおそらくは十分にできなかっただろう中で、実況アナウンサーさんは、映像に足りない情報をすばやく補完してて、プロでした。すごかった。
個人的な好みでいえば、事前取材や選手周辺の取材ができなかったから、かえって、「オキモチ」的なネタが少なく、自分の好みにあったのかもしれないな、とは、バレーボールに限らず、さまざまな競技を見ていて、感じたところでした。(中継以外の番組は観ないように心がけていたので、もしかしたらそちらではいろいろあったのかもしれませんが、試合中継と他パートを分けるならそれもOKだし)。
イラン戦の最後やブラジル戦の敗色濃厚なあたりでは、ちらちら、エモーショナルな、その場で起きたことではないこと、その場にいない人のことを差し挟もうとされていて、そういう内容は嫌いではないけれど、今試合が忙しいんだから、それどころじゃないんだからあとにして! って思ったり。バレーボールって、ボールデッドの時間も多いのですがそのわりに、蕩々とエモに浸れるほどの尺はなく、なんだか忙しない競技だな、と、気づきました。
山本さんの解説も、幅広い人が観ているオリンピックで日本選手の試合の放送として、日本応援姿勢を出しつつ、わかりやすさ(ある程度割り切った単純化)を重視しつつ、聞いていて「へぇ」となる、聞き心地のよい解説だったと思います。
そのうえで、実況にしても解説にしても、改めて感じたのが「ハイキュー!!」の影響力の大きさ。
男子は前回・前々回出場していないので比較しづらいですが、数年前までの地上波放送とは明らかに違う。制作側に、オチャノマにお届けする実況解説としてこの実況解説が通る、と判断されたということで、それは「ハイキュー!!」によるんだろうと思いました。
「バレーボール」という競技に対する世間一般(という言い方も適切ではないのですが)の認識は、きっと、前世紀で時をとめているわたしが想像しているものとは、ずいぶん変わっているのでしょう。もしかしたら、バレーボールに関わっている人たちが想像しているものとも。

「トレンド」のなか。

一方で、テレビ放送の実況や解説と、いまここにあるバレーとの乖離の気配のようなものを感じた大会でもありました。実況解説がふるめ、というのもあるんでしょうけど、詳しい人たちのリアルタイムの感想に触れて、きっと、この大会の中でも、バレーボールが進化して変化しているんじゃろうなあ、なんてことを。
わたし自身は、VNLもテレビ放送しか観なかったし、欧州の各国リーグも欧州のナショナルチームの大会も観ないので、自分の浅学無知は当然あるのですが、戦術も技術も、はやりもすたりも、生きているものはつねに変化し続ける。今大会も、過去から今を経て未来へ流れている、流れの途中の一点である、ということなのだと思います。
世界のトップが、トレンドがまた新しい未来へ今まさに向かっている、その潮流のさなかに自分がいて、リアルタイムに観ることができている。そんな同時性が、嬉しくて楽しかったです。これがオリンピックなんだなあ、って。

*1:ビーチバレーもこのお2人なのは、なにかしらの事情があってのこととは思うものの、あんまりだった。