「永遠の森 博物館惑星」(管浩江 ハヤカワ文庫JA)読了。

かなまるのみならず6.rarせんせもべた褒めなのですが,飛行機の中だとかうつらうつらの枕元だとかで細切れに読んだ感じでは,そこまでの作品とは思えず。普通におもしろかったのはおもしろかったけれど。SF作品に馴染みがない分,どうしても戸惑ってしまうからか。


細切れに読んでいた為になかなか作品世界に浸りきれなかったことが一番の原因とは思う。読み返せばはまりそう。


ほかのSF作品と比べることはできないけれど,全体を包むふわふわした雰囲気は心地いい。ふわふわきらきらした世界の中で,ささやかなそれでいて心の奥に響く事件が起こり,主人公を始めとする登場人物達がそれを解決していく短編連作。博物館苑という舞台設定,美と人との関係を考えさせる事件の数々。沈鬱にはならないけれど少し切なくてでも温かい。すっきり解決しきらず少し曖昧な部分の残る各短編の結末も,それ自体がSFめいていて悪くない。


登場人物が個性的にそして魅力的に描かれている点はエンタテイメント小説の(大塚氏言うところの<キャラクター小説>に)条件が満たされている。主人公の田代さんは女子受けしそうだ。


やはり次は織田みずほの「スチール」だな。図書館で予約するのが億劫だが。