シーン別感想(というか……)


左之助が,今日に向かう道中お昼ごはんのお弁当(おにぎり)を食べていて,ふと自分の居る場所に気づいたシーン。「勝沼で負けたあとで軍議していた(永倉・原田が離脱した)建物に似てないか?」と思ったわたしはバカだよ。裏の壁に試衛館8人の名前(落書き)が書かれている。そういえばそんなシーンが40回近く前にあったんだ。だけどすぐには思い出せなかったし細かいことは今も思い出せない。確か沖田や左之助がはしゃいでいて,永倉もすぐに加わって,それを見ていた近藤も加わりたくてうずうずしていて,土方や山南さんが無言で引き止めている,けれど結局我慢できなくて落書き組に加わっちゃった,とか,そんなシーンだったはず。あの時って,全員書いたんだっけか。それとも別のシーン?


前々回(#47「再会」)を見て少し経ってから,ドラマ中では特に意識させるように描いてはいなかったけれど,あれは「この道はいつか来た道」だったのよな,と気づいてなんだか辛かった。意気揚々と京に向かった道を,甲陽鎮撫隊として行軍したときの気持ちはどんなだったろうと。


今回もまた,ここ数回と同様,回想シーンを使わない回想が多かった(最後に名場面集で本物の回想になったけど)。だからというのではないが,これまで隊士が死ぬことになったときにはみんなが必至で防ごうとしたことを思い出した。中にはそうでない人もたくさんいる(数としてはそうでない人の方が多い)が,山南さんもきーちゃんもへーすけも。だけどその時ほどに近藤を助けようとする人はいない。誰も彼を助けようとはしなかった。隊の内部での話じゃないから,話が大きくなりすぎているから,誰もどうにもできなかった。あきらめが悪かったのは捨助だけだ。


その捨助の最期は,思い描いていたのとは違っていた。ドラマが始まった頃から脚本家氏がぽろぽろっと,近藤が処刑された同じ日に処刑された人がいたことを知ってそれをどうにかこうにかと言っていたので,その「誰か」が捨助だろうとは前々から思っていた。これは或る程度情報収集をしていた人達にとっては重大な関心事(ネタばれタブー)の一つだったようにも窺えた。だからわたしは今回も「観柳斎,転落」の時と同じように,いつ捨がつかまるのかと思いながら見ていたし,最後にサノが声を掛けた場面では「じつは捨じゃなくて左之助だったのか!」とまで(左之助は口伝されている「その後」がちゃんとあるからサノなわけないのに)思ったぐらいだった。そして「観柳斎,転落」と同じように,見事に裏切られた。


どのような描き方にしてもドラマ最大の鍵としてもっと前面に出した感じにするかと予想していたのだが,三谷氏のそういった事前の話を読んだことのない人には特に意識することもない1シーンとして描かれたように見えた。「そうきたか!」という驚きと,ここまで(あれだけ言ってても)ストーリィのネタばれにはなっていなかったことへの感服はあるものの,少し消化不良(ワルクチ書かないんじゃなかったっけ)。


大きな話の流れとしては先週でケリがついているので,どうしても半分今年一年を振り返るような中途半端な感じになってしまう。全体振り返りは追々。


こんな無意味な長ったらしい文章を書いている内に浮遊していた魂が地上に戻れるのですよ。単純に「斎藤さんかっこえー」とか,書いてりゃいいのに。


と,いらん付け足しをした瞬間に,これ以上斎藤さんの新しいシーンは二度と出てこないことが急に腑に落ちてしまった。ぽっかり。