胃が痛い


首から上が熱っぽく,どうやら風邪をひきかけているらしい。年明けから続けていた手洗いうがいの励行を,先週になって油断してやめていたのが敗因か。一度ひきかけると止まらず頂点まで行ってしまう。まだ週が始まったばかりなのに。二日ほど前にできたにきびも日に日に大きくなっていく。これも一度できかけると止まらない。


先週末は京大交響楽団の創立90周年記念(第180回定期)演奏会を聴きに六本木のサントリーホールへ。ロッポンギに降り立つのも初めてならサントリーホールも初めて,そもそも交響楽団ライブコンサートがおそらく生まれて初めてと初めてづくし。隣の全日空ホテルで早めの晩ご飯を食べてから向かいました。


曲目は楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲ワーグナー)/組曲ペレアスとメリザンド」(フォーレ)/アルプス交響曲(R. シュトラウス)。


どれも聞いたことのないタイトルだったので不安でしたが「ニュルンベルクの(略)」は蓋を開けてみれば某アルトバイエルンのCM曲で,出だしの「ちゃ〜んちゃーちゃちゃー」で聞き覚えのあるフレーズが流れてきたときにはほっとしました。ワーグナーらしい(んだそうな)じゃかじゃかと賑やかで豪快な前奏曲の後は,きれいな小品4曲からなる組曲。3曲目の「シシリエンヌ」は元フルートふきの端くれ(の端くれ)として懐かしい一曲でした。


サントリーホールは音がいい(んだそうな)。全体的に棘のない角の取れたやわらか〜い音になっていて,最初のうちはテレビの安モノラルスピーカーでしか聞いたことのないフレーズのリアル音とのギャップに「生コンサートって案外音が小さくて迫力のないものなんだな」と意外に思ったけれど,慣れてくるにつれ,調和の取れた嫌味のない響き具合が心地よく感じられました。マイスタージンガーの最後のとこは充分に迫力もあって決まっていた。シンバルかっこいい。


しかしなにぶん初めてのオーケストラ生演奏。緊張するのしないのって。しわぶき一つ立てずに聴かねばという緊張感で筋肉がびしびし。組曲の1曲が終わるごとに場内あちこちから息継ぎの音が入るのはおもしろかったけど,いやもうほんと息もできないっちゅうか。


休憩を挟んでからは単一楽章からなる「アルプス交響曲」。1時間一切中断なしのぶっ通し。1時間ぶっ通しってどんなんやねんとかなり不安でしたが,厳しいアルプスの自然が目に思い浮かぶ素人にも大変わかりやすい曲で,シーンごとに曲想がころころ変わり(おそらくは調やら拍子やらもころころ変わり),印象的なソロが次から次へと繰り出され,イングリッシュホルンやらチェンバロやら日本一大きなパイプオルガンやら,さらにはカウベルやらサンダーマシーン(その名の通り雷鳴の音がする)やらウィンドマシン(その名の通り強風の音がする)やらのなんじゃそりゃな奇々怪々なレア楽器オンパレードで,聴衆を飽きさせない構成になっていました。なんか哲学的な終わり方でしたが。


もっとも,いくら飽きさせないと言っても1時間しわぶき一つ……は慣れない人間には苦行で,そりゃもうすべてのプログラムが終わったときには肩は凝る腰は張る。今も引きずっています。むー。


腹ばいが基本姿勢の人間の「椅子に1時間と座っていられない」苦労はそれとして,ばりばりと伝わってくる板の上の人たちの緊張感も含め,生演奏に足繁く通う某H氏の気持ちもわからんでもない,とは思ったものでした。願わくば次の機会(あれば)はプロの演奏を。2000円(S席)でサントリーホールの大ホールに入れるのはたいへん結構な話だが,敵が現役学生と思って臨むとどうもまるで自分がむこうがわの人間であるかのごとき必要以上の緊張感を覚えてしまってどうにもこうにも。特に管楽器に対して顕著だったので過去の記憶からくる条件反射か。最後に演奏してもう10年以上経つのにねえ。


さて日付が変わったので結婚記念日です。去年はインフルエンザでへろんへろんだった。今年もしっかり風邪ひきかけで胃が痛いってどういうこと。月曜の昼までは元気だったのに。