昨日(今日未明)採り上げた人名漢字,


何も言わないと書いたけれど,やっぱり言いたいので前言撤回。参戦します。


きのうのNHKニュース10の内容に拠れば,戸籍法23条により,子の名前を付ける際には「常用平易」な字を用いるべし,という規定がなされてなされているそうだ。そして,今回追加されようとしている漢字は,その通り「常用されていること」を基準にセレクトしたのだそうだ。


きっといろいろとめんどくさいことがあるからそうなんだろうとは思うけれど,それは,人名漢字を増やすのではなく常用漢字を増やすべきではないか?


人名漢字は現行のものも今回追加されようとしているものも,つまり全て「常用外」漢字である(常用漢字は全て名前に用いることができる)。「常用外」漢字の中で「常用平易」な字を探し敢えて追加するこの矛盾。


それはATOKの力に因るところが大きいことは疑うべくもないが,常用漢字を定めた当時よりも漢字の使用は増えているのだ(書けないけどね)。むやみに人名漢字として人名にのみ使用可という制限付きの漢字を増やすのは,小手先っぽいし,本末転倒というか主客転倒というか,そんな感じもする。


一方で,常用漢字など最早守られていないという現状もある。(もともと,守らなければならないものではない。それが使用の可不可が確固たる人名漢字との違いではある)。新聞が,常用外漢字のルビ付使用OKとしたのは,例の北朝鮮ら致問題が盛り上がるよりも前だっただろうか(たぶん前だよね)。


誰も守っていないし気にもしていないんだから常用漢字についてはこの際そんなものはなかったことにしよう(増やすと中学校卒業までにその字を習わなければならなくなりますし),しかし可不可の確固たる人名漢字については漢字使用の現状に合わせて変更しよう,という流れなのかな? (浅はかな見解ですが)


だけど,義務教育で習わない漢字をそんなにどさどさ人名に使用することにも,なんだかズレを感じる。いくら手書きが少なくなった昨今とは言え,やはり誰でも正しく書ける漢字,ということで戸籍法23条があるのだろうし,今回も「誰でも読み書きできるだろう漢字」が追加されているのだろうけど,だったら学校教育ってなんなんだろうという話になって,いやはや,何万字と存在する漢字は学校で教えられて習得するものではない,という考え方の方が正しくもありそうだし,うぅむ。


ま,息子の名前を追加分漢字からつけようとしているわたくしに口を挟む資格はないのかもしれませんが。


人名漢字を全部常用漢字につっこめ,というのは極論にすぎるし,わたし自身そうは考えていない。人名漢字には,常用漢字異体字も多い。常用漢字異体字がずらずらと並ぶのはあまり好ましいものではないと思う。字体はできるだけ統一されるべきだろう。一方で,その固有性を出すために人名には異体字を使いたいという考え方も,上記考えとは矛盾するが気持ちの部分で共感を覚える。


なので,「おかしいな」と感じるのは,異体字ではなく人名漢字として存在している「常用平易」な「常用外」漢字だ。


現行の制度や戸籍自体は変えないとした場合の,人名に使える漢字の理想は,常用漢字+人名には使用できる常用漢字異体字を定める,という姿ではないかと思う。


ところで,上記わたくしの理論に乗っ取って今回の異体字以外の字は常用漢字になるとなったらば,「死体」は「屍体」に戻るかしら。一度馴染んだものは元には戻らないかな。


お腹が空いた。図書館に行ってついでに何か食べてこようかしら。って言ってる間に野球が始まるのでは疑惑。(17:21)