レギュラーラウンド無責任雑感
勝点制・3試合総当たりで行われたレギュラーラウンドの結果は以下となった。Vリーグで初めて取り入れられた勝点制,つまり勝率よりも勝点を優先するこの制度が従来方式とどのような違いをもたらしたのかは好事家が検証してくれることであろう。
- JTサンダーズ 47pt 15勝6敗
- サントリーサンバーズ 45pt 16勝5敗
- 豊田合成トレフェルサ 37pt 13勝8敗
- パナソニックパンサーズ 36pt 13勝8敗
- 堺ブレイザーズ 27pt 8勝13敗
- ジェイテクトスティングス 25pt 9勝12敗
- 東レアローズ 25pt 8勝13
- FC東京 10pt 2勝19敗
わたし自身は,たまの現地観戦,たまのニコ生視聴,たまのテレビ視聴をそれぞれ断片的に楽しむだけで,順位やらなにやらは気にかけていない。
リーグにも特定チームにも強い関心がないので無責任極まりないが,たとえ無責任さをハンマーで殴られようが,消化試合が1試合もなかったように見えたのは確かだ。レギュラーR順位に応じてファイナル6用のポイントが加算されるので,早々にファイナル6進出が決まったチームでもできるだけ上位での決着を目指していた様子がうかがえた。育成や休養観点での是非はともかく,お金を払って観ている観客に真剣勝負を提供するという目的には合致した施策だったと思われる。
一方で,レギュレーションとは関係なく上位4チームと下位4チームとの勝数の差が早々に開いたのは意外だった。結果的に勝点制に救われた恰好になったが*1,従来方式だったら早々に消化試合月間になりかねない。昇格2シーズン目のジェイテクトはともかく*2,東レにしても堺にしても,昨季と比べて戦力に大きな違いはなく個々の戦力がダウンしたわけでもなさそうなのにこういう展開になったのは,(各々のチームのファンには)想定外だし不納得だろう。堺は最終的に5位に滑り込んだので,ぱっと見昨季までと大差ない順位に見えるが,20日目を終えてなお6位との間にポイント差がある7位で,入れ替え戦が背後にべったり迫っていた。ファイナルRはこれからだが,このようなレギュラーRだった事実をなかったことにしてはいかん。それが上記のエントリを残そうとした動機である。
もちろん堺は部長を筆頭に監督・コーチ等のスタッフが一新されたのが何よりの大きな変化だったし,東レもリーグ中に所属選手が起こした不祥事の影響でスタッフが変わったわけではあるが,プレーしてるのは選手だからなあ。堺は一試合しか見ていないのでなんとも言えないが*3,東レは試合そのものは競っているのに勝ちきれない感じを受けた。もっとも,東レは去年もレギュラーRはいまひとつで最後に滑り込みで上位4チームに残った経緯がある。今季戦力に大きな変化がなかったことはけして良いことではなく,今季7位になったのも,3レグでは立て直すに足りなかったということかもしれない。
東レの入れ替え戦出場は第10回(2003/04)リーグ以来と記憶している。入れ替え戦そのものよりも,翌第11回リーグでシーズン開幕から怒涛の連勝を果たし,圧倒的な強さで優勝まで駆け抜けた記憶のほうが強い。あのとき東レの選手たちはことあるごとに,前年の入れ替え戦でどん底を見て,二度とあんな思いはしたくないと奮起したというようなことを言っていた。そこまで言うかと思ったのでよく覚えている。今の若い選手達が同じように奮起できるのか楽しみでもあるが,まずは1か月後に控えた入れ替え戦である。1か月は中途半端に長くてメンタルしんどいな。まあ,とりあえずはいったん身体と心を休めろ。と,言ってみる。
帳尻合わせができていた東レとは逆に毎年序盤に調子が良くてじりじりと落ちていく(前季も最後に東レにかわされた)豊田合成については,3位決着となった。しかしこちらは3レグで落ちきらずに持ちこたえたからと結論づけるのは不適当だろう。途中,案の定の怒濤の逆噴射が起きてずるずると順位を下げ,「またか」とファンを震撼させたが,今年は持ちこたえただけでなく再び上向きとなって3位まで戻した。序盤からフルセット試合ばかりしていたために勝点が伸びず,上位2チームとの勝点差はかなり大きくなってしまったが,3位は記憶にある限りでレギュラーR最高順位だろう*4。
地味に不調に感じられたのがパナソニック。近年の王者パナソニックのイメージからすると早い段階から着実に黒星を増やしていた。パナソニックも監督が交代した。ただでさえ監督交代初年度は難しいもので,そこに頼れるベテランの引退が同時にやってきたため,試合中の厳しい局面でのふんばりがきかなかった印象は受けた。が,パナは,なんというか,怖い。一筋縄ではいかないというか,レギュラーRの順位による1ptや2ptの違いは想定の範囲内で虎視眈々とブランデージトロフィーを狙っているように見えるのはわたしの思い込みが強いからだろう。もっと言えば,世代交代という内部の敵に早めに戦いを挑んでいるように見える。なんとなくな。OPだけは心中気味だけども。
好調だったのがサントリー。昨季6位から一転した。ジルソン新監督になり,オーダーも昨季までと違うなどで立ち上がりこそ不安定だったが,(最後までぐるぐるしていた堺と比べて)1巡したあたりからうまく回り出したのだろう。12/21から2/7までの10連勝もあった。助っ人OPのエヴァンドロが助っ人的活躍をし,山村や鈴木のベテラン組が計算できるプレーで脇を(センターだけど)固める。豊富なサイドアタッカー陣は,良い意味での競争が働いていた。栗山のレフト起用はばくちに見えたが当たった。
JTは昨季に続いて好調のレギュラーRだった。ヴィソットは(実際にはそうとう打数が多いのだろうが)ひたすら打たされ続けるそれまでのJT助っ人外国人OPの雰囲気とは違っていた。もっと穏やかでもっとぬるくて,さりげなくうまい。ガラス製王子の八子が今季まともに動けているのが良かったし個人的にもうれしい。八子に無理をさせないためなのか(わたしはそう見ていた)小澤と併用していた。わたしが見た数試合では,土日の日替わりで,平たく言えば上位相手に八子,下位相手に小澤という起用が多かった。実際には単純な上位・下位でもないと思うし,相手によって分けていたかどうかさえも読み解いてないけど。その小澤はスパイク決定率3位。出場試合数も打数も多くないとはいえ,日本人サイドアタッカートップの成績は素晴らしい。わざといやな書き方をするならば「八子に無理をさせないためのサブ」の役割を充分に果たし,期待された以上の結果を残したのではないか。サブって書くと感じ良くないけれど,長いリーグ戦を「いつもの6人」にしないJTの起用はあらまほしいものだった。
早々と8位が決まっていたであろうFC東京に関してはノーコメントである。なかなか勝点が取れずにもがいていた。2勝しかしていないことには驚いたが,それだけジェイテクトに水をあけられたということか*5。東京は個々の選手は好きなんだけど,若くて身体が薄くて線が細いイメージが強い。手塚しかり橋本卓也しかり山本将平しかり。今季チャレンジは11月の開幕戦しか見ていないので比較できないが,それでもプレミアが強いとは思うけれど,東京の若い面々を見ていると,ちょっとした形勢の変化からがたっと行くのではないかしらんと危惧されなくもない。
ジェイテクトは,エルナンデス様々でしょう,とろくに見もしないで言う。実際試合を見ていた人から,とくに負け試合でエルナンデスに固執していたのが悪いといった見解が聞かれることも少なくなかったので,よくもわるくもエルナンデスという状態だったのかしらと推測する。ジェイテクトも選手起用は幅広く,終盤MBで辰巳がぼちぼち出ていたのは個人的にはファイナル6以降の楽しみ。9勝12敗は,勝率でいえば5位だった。FC東京も昇格3季目(2011/12)に5位に入ったな,とか。チームの雰囲気は清々しく華やいでいて,プレミアの中では「若い」チームが他のチームと互角に渡り合い上位を目指していく姿を応援したい気持ちはあるが,まだたった2シーズンなのにすっかり別のチームになっちゃったな,という寂しさもある。昇格/降格ってそういうことなんだよな。
余談になるが,セッターの高橋慎治は,彼のVリーグキャリアで初めて入れ替え戦に出ないこととなったようだ。第9回(2002/03)以来,震災で開催されなかった2011年を除いて毎年出ていたというのだから凄い。彼が凄いのは,単にチームに所属していたというだけでなく,おそらくほとんどの試合でトスを上げているところだ。Vリーグオフィシャルサイトの公式記録にチャレンジマッチの帳票が見当たらないんだけど。