「バレーボールが好きです。」


昨日まで松下のポパイじゃない方のジングル*1に時折豊田合成のジングル*2が混じりながらエンドレスで頭の中をぐるぐるしていたのだが,ようやく収まってきた。バックグラウンドの映像はもちろん,ブロック決めた直後の北川が両手をあげて手のひら広げてるところ。第11回大会の大阪市中央体育館セミファイナル(2005年3月)が松下で試合に出た最後だったからもう5年も前なのに,「いーぞーきたがわもーいっぽん」が耳に残ってて松下の青いユニフォーム姿も目に浮かぶのは何故なんだろう。合成のグレーユニも良かったなあ。でも今の(最後の)紺ユニがいちばんいいかなあ。


月曜日に同僚と昼ごはんを食べているときに(折しも全日本登録メンバーが発表されたところだったので,ちらちら気にしながら),週末をどう過ごしたかという話題になった。わたしが素直に「土曜は東海大学に関東大学リーグを観に行き,日曜日は東京体育館Vリーグの決勝を観に行った」旨を話したところ,バレーボールのどのへんが好きなの,というようなことを聞かれた,ような,気がする。バレーボール好きなんですね,だったかもしれない。よく覚えていない。


で,まあ,「惰性です」としか答えられなかったわけです,例によって。特段好きなわけでもないんだけど惰性でついつい観に行ってしまうんですよね,みたいな。


素直じゃないなあ。惰性で○○(適当な地名)までわざわざ出かけたりしませんよね。


照れくさいというのはある。これはもうずっと昔からの性格というか癖というか,自分の好きな物を自分から好きと言えない。好きな人・ものや身内感覚の人・ものを外の人の前でわざとけなしてしまう悪癖もなかなか治らない。自分自身に関しても卑下したり卑屈になったり,露悪がちなところある。


惰性なのも嘘ではないんだが,惰性でも続くからにはそれだけの魅力を感じているんだろうしそれだけ好きなんだろう。客観的に判断すると,そういうことになる。


この1年で,わたしをとりまくバレーボール*3の状況は大きく変化した。それこそ最大級に惰性の原動力になっていたおもりが外れて身軽になって,改めてというかようやくというか,どうやらわたしはバレーボール観戦が好きらしいと自覚した。恥ずかしくて人には言えないんだけど,それは思った。


たとえば,試合会場に入る瞬間の気分の高揚でそう感じる。たいてい遅刻するので着いたときにはすでに試合が行われている。すると,音が聞こえてくる。審判笛の音やボールの弾ける音やシューズが床できゅっとなる音や,それらに伴って発せられる歓声。会場の外に漏れ聞こえているときもあるし,建物の中に入った瞬間に聞こえてくるときもある。


それが耳に入るととたんに心拍数が上がり体温が上がる。ときに小走りになったりもする。そして視界にボールが入ってきて,選手が見えてネットが見えて床が見えて,「ああ,やってるな」と安心してほっと息をつき,得点掲示をさがす。


音を聞いて反応するのはその先に自分が会いたい(見たい)ものがあると知っているからで,つまりは,その先にあるものが好きなんだろう。それがなんなのかはやっぱりまだよくわからない。


いろいろ思うに,ひょんなことからバレーボールを見るようになってかれこれ10年経ちその間細々と見続けてはきているのだけれども,自分が楽しんでいる要素のうちでバレーボールでなくてはならない要素はちょっと思いつかない。惰性とか「たまたま」とか言っているのはそれが理由。


こういうことを書いてしまうとまた好きな物を無駄に腐していることになるのかもしれないが,わたしにとっては,幾つかある余暇の過ごし方や娯楽のひとつとしてスポーツ観戦という選択肢があって,その競技の一つがたまたまバレーボールだったと。


たぶん,大きな要素はふたつ。


どこかのチームを応援して試合の展開に一喜一憂し,予想外の出来事にはらはらどきどきし,少なくとも自分には備わってない並外れた能力や技術に感心し,勝てば喜び負ければがっかりする(が,「勝つ」喜びを得られる日を夢見て性懲りもなく次の試合も見てしまう)。勝ったときの嬉しさはもちろん,負け試合を含めた感情の起伏そのものを楽しむ。これは対戦型の他の競技でも同じ。


異性(たまに同性)の魅力を愛でる。自分の観戦動機はありていに言えばここに尽きてるんだなあと最近改めて思いなおしている。もちろん,これも他の競技でも同じ。さらにこの要素に関しては,スポーツ選手よりもタレントさんとか俳優さんとかアーティストさんとかの他の分野の人を対象にした方が色々と都合が良いし,より魅力的な人がたくさん揃っているとも思っている。それでも「スポーツ得意な男の人かっこいい」効果ってのが確かにあって,どうにも困ったことではある。


惰性が継続しているのがプロ野球とバレーボールぐらいと考えると,競技そのものの中にも惹き付ける力があるんだろうとは思う。そしてそれについてこれまで考えたこともあるけれど,結局,これという答えは見つけられない。だから,どこが好きかと問われても,何が魅力かと訊かれても,すっきりと答えられないでいる。いずれにしろわたしにとっては,競技そのものの魅力が占めている割合はあまり大きくないのではないかと。


消去法や付随している枝葉部分の要素ならたくさんある。たとえばバレーボールなら,国際大会や大きな大会はテレビ地上派放映されるぐらいにメジャな競技だから,BSやCSでたくさん中継されているから,ルールが分かるから,試合の日程や場所・時間等が自分にあっているから,屋内競技で天候を問わないから,選手の背が高くて比較的細いから,肌が若い(色白さんも多い)から,雲の上感がなく身近な感じがするから等々。


でもそれらは些細なことで,それらが総合して今の結果になっているのだとしても,結局「なんとなく,以下惰性」という安易な結論づけに陥ってしまう。


なんでバレーボールなんでしょうね。誰か教えてほしいです。


こんなんが偉そうな顔しててごめんなさい。


見出しは,ついったーのふぉろーいんぐな方のBioに書いてある一文で,これを目にして,シンプルさに息を呑んだ。それだけのことをそう認めるのがなんでか大変だったりむずかしく考えすぎたり取り繕ったりしてしまうんだ。

*1:♪ちゃららららんらんちゃららららんらん

*2:♪そーそーそそーそふぁそらそー

*3:ここではインドア6人制男子のこと,以下同