石垣島と竹富島に行ってきた・その3


どこまで書いたっけ。ええと,「鍵はついていません」のレンタサイクルを借りたところまでですね。


ちゃっちゃと進めます。


とにかく暑かった。暑いというより「熱い」が近い。気温はおそらくそんなに高くない。日陰は熱くない。日向が熱い。眩しい。


レンタ屋でくれた地図の推奨コースに従って,ちゃりちゃりと自転車を進める。所々珊瑚砂にハンドルを取られる。竹富小中学校を通りの角を曲がり,細い道路を集落の外へ,海の方へ。


島全体がこんもりしている(隆起珊瑚礁の島だから)し,外周に沿って森(?)になっているので,自転車を漕いでいる間は海は見えない。


道路から一段低いところに木(たぶんマメ科)が繁り,蝶々が飛び交っている。


舗装道路を横切ってさらに進み,森の中に自転車を止めて,木々の間をくぐり抜けると,浜に出た。カイジ浜。星砂で有名な浜だそうだけれど,採り尽くされているのか,ちょっと足元を探したぐらいでは見つからなかった。正面に見える島影は黒島か西表島か。


木陰


木陰でしばし休憩し,再び広い舗装道路に戻ってコンドイ浜へ。こちらは島唯一の遊泳可能なビーチで,遠浅の白い珊瑚砂が広がる。薄い灰色にも見える透明な水の中を,真っ白な魚が泳いでいた。波に乱反射する光の強さに惑わされて,魚の姿はなかなか見つからない。真っ白な海底にうつる黒い影を頼りに,魚を探す。


夏っぽい雲


なんで水着持ってこなかったのか。せめて短パン。さもなくば裾を捲り上げられるスカート。デニムでも,スキニーじゃなくてストレート。足首までしか付けられない。みんなもっとずっと沖の方(それでも膝下ぐらい)まで行っているのに。羨ましい。ほんとに羨ましい。


しかし日光を遮るものがほとんどない海。このころ,ちょうど12時45分。竹富島付近の太陽の南中時刻。海水浴場的設備の東屋以外に,日陰がない。


砂浜にちょこんと顔を出している緑の双葉が,某清涼飲料水のコマーシャルに使われていたと,写真を取ったりしながら,如何せん熱いので,ほどほどに切り上げた。東屋(屋根と椅子がある。なんと表現していいのか)でかき氷を食べながら涼を取る。陽射しさえ避ければ快適。そしてまた自転車を漕ぎ,集落に戻る。


コンドイ浜にて


少し遅めの昼ご飯は八重山そば。おいしい。ソーキは既に売り切れていたので骨付きじゃない肉のやつ。石垣のお土産物屋さんですっごく気になっていた島胡椒をたくさんかけて食べる。ほんのりシナモンっぽい香りがする。よし,買おう。


店内は冷房が効きすぎて具合が悪くなりそうなほどで,そんで,ごはん食べてたらもういい時間でもあった。戻りしな,あちこちで遊覧している水牛車とすれ違ったけれど,水牛と戯れる元気も残っていなかった。伝統的な家屋が連なる民家の外観を撮影させていただき,みんさーを展示している小さな建物(なんだろう。博物館と言うには小規模だし,なんたって,誰もいなかった)をちょっとだけ見学して,自転車返却。2時間だったかな。


レンタサイクル屋さんに,また,船着き場まで送ってもらう。売店で,八重山の古い象形文字が書かれているという手拭いを買った。


14時45分ごろに,到着する船にあわせて迎えに来ていた投宿先の送迎車に乗り込み,一路,島の東南に位置する宿へ。開業1周年のリゾート「星のや竹富島」に泊まります。


つづきはその4。


って,出し渋ってるとたぶん書かないからそのまま続けちゃいますが。


すごかったです。星のやさん。ブランドサイトとか見てください。


例の,島の半径のちょうど真ん中(ちょっと外より)を走っている,広い舗装道路あたりからきゅっと外向きに曲がったら,しばらくひたすら何もない道を進む。自転車のしばらくでなく自動車のしばらくなのでけっこうな距離。鬱蒼とした(背丈は低い)森をくぐり抜けたところに突然開ける視界。竹富の伝統的な家屋が連なった,まるでひとつの集落みたいなリゾート。車を降りてレセプションで名前を告げると,すぐに自分達のコテージ(というか家)に案内される。


「今からここはお客様の家です」


漆喰でかためた赤瓦の上には1戸ずつポーズや表情が違うシーサー。白い砂。ブーゲンビリアにハイビスカス。風よけの木。珊瑚石の石垣の塀。塀の中には魔除けの,なんだっけ,まである。右側は神様の通り道だから左側を通ってください。


シーサー


左側を


一戸一戸はこぢんまりとしている。客室(家ですが)のタイプは幾つかあり,我々が泊まったのは,琉球畳を敷いたタイプ。縁側にあたる2間×4間のスペースが畳敷きになっている。南(敷地入り口)に面した側は広々と開け放てる引き込み式の全面ガラスサッシ。円卓に座椅子。鏡台,サイドボード。突き当たりの壁際には広いデイベッド。テレビはない。


障子で仕切られた奥の居室部分は,洗面台とホーローのバスタブ,トイレ,ウォークスルーのクローゼット。クローゼットに冷蔵庫があった。クローゼットを通り抜けてツインのベッドルーム。ベッド低め。床から一段上がったところに布団を敷いている,ぐらいの感じ。天井も低めなのは,その方が落ち着くからと敢えて低く設計しているのだとか。


晩ご飯の時間まで,デイベッドで部屋からの風景とタイムラインを見ながらだらだら過ごした。かなまるが寝室でガン寝してたので。部屋に冷房はあるけれど,窓を開け放って外の空気を入れる。ほんのり暑いぐらいだけれど不快ではない。


ごろごろ


ゆったりとした風と時間が流れる。庭にも2人がけの小さなダイニングテーブルと椅子がしつらえてあった。暑くない時期なら庭での朝ご飯や晩ご飯も楽しそうだった。


中庭


17時半から,ダイニングがある建物のフリースペースへ。1周年記念イベントで無料配布されていたハーブ泡盛の水割りを飲みながら,民謡の演奏を聞く。食前酒に顔を赤くして,ダイニングへ。晩ご飯。


ラウンジでもごろごろ


日の入りが19時半ごろで,おそらくは島の反対側まで夕焼けを観に行っていたのだろう。ほかのお客さんはほとんどいなかった。


星のや竹富島が温泉旅館と違うのは,ごはん付きの料金ではないところ。その点はホテルっぽいとは言える。とはいえ,外で食べるには集落から距離がありすぎるし,道中はとても夜に自転車や徒歩で通れる道ではない。選択肢はダイニングでの創作フレンチのコースか,インルームダイニング(要するにルームサービスですな)の二択。インルームダイニングのメニューのほうが豊富という(もちろんルームサービスなのでそれなりの品揃え)。


ともあれ,ごはん,おいしかったです。ほんとに。メインを食べ終えて,次はデザートというところで,バースデーケーキが出てきた。宿からのサービスというミモザとともに。


我が夫ながら,こういうところはほんとうに偉いと思う。ケーキはあとで部屋に運んでくれるというのでお願いして,コースのデザートを食べ,プチフールと一緒にコーヒーを飲んでまったり。お代わりをききに来てくれる。


8時半ぐらいまでまったりして,外に出たら,頭上にはまばゆいぐらいの星空が広がっていた。


宵闇


プールサイドのデッキでしばし星座観察。さそり座が,すごくかわいかった。星がたくさんありすぎて,逆に星座を読みづらいぐらいだったのだけれど,さそり座はほんとうにきれいにわかりやすくて,一目で気に入った。


当たり前といえば当たり前なのだけれど,北極星の位置が低い。それから,南の低い位置,地平すれすれには南十字星が(全部ではないけれど)見えるらしい。


敷地内の見晴台まで,食後の散歩がてら南十字星を観に行った。少し雲が出てきたのと,海上灯台か漁船のあかりが点滅していてなかなかみづらかったのだけれど,4つのうちの2つは見られた。


部屋に戻り,ケーキを持ってきてもらった。コーヒーを入れて,ケーキを食べる。フルーツたっぷりでクリームが軽くて,晩ご飯を食べてからそんなに時間が経っていないのに,ぺろっと平らげてしまった。


9時台とか10時台とか。普段ならまだ活動している時間だけれど,外は暗く,辺りは静かだ。おなかいっぱいで,ミモザで酔っ払ってもいて,しばし畳の心地よさにごろごろしながらうとうとした後,寝室に引き上げて早々に休んだ。羽毛布団がまた軽くて肌触りがよくてね。


こんどこそその4に。といってもあとは帰るだけですよと。