東日本インカレ3日目・準々決勝,準決勝(のうちの準決勝)


続きですよ。

[A3]準決勝:慶應義塾大学2-3専修大学(16-25 25-23 20-25 25-14 13-15)


慶應:12上田 8丸谷 28黒田 6稲田 1柳田 3野口 L16野瀬


→専修:6藤中 7高橋 1山本 13冨田 8小林 12川波 L22平原


B2ファイナルセットまさに佳境というところで一足先に始まった準決勝第1試合。ということで,第1セットは見ていない。スタメンはうろ覚えで書いている。たぶん合ってる。


すごい試合だった。すごい試合すぎて,あてられて,文字にならない。


柳田が凄まじかった。前日優勝候補筆頭と目されていた中央大学を8がけで撃破した慶應。その試合を見ていた人からは,柳田が凄かったということと,とても良い試合だったということを聞いた。


この試合が始まる前では中大戦を見られなかったことを残念に思っていたが,この準決勝で,自分でも「すごい柳田」を目撃するに至った。


酷く乱暴な言い方をすれば,やなぎ1人にかかっているチームだった。それは春のリーグで受けた印象から,そう大きくは変わらなかった。そしてそれこそが今の慶應の限界であり,克服すべき課題だろう。


勝戦に駒を進められなかった結果が全てかもしれんが,逆にいえば,春と同じ「やなぎ1人にかかっている(という側面を否定しきれない)」チームが,その1人に何かが降臨することによって,ここまでの力を発揮できるんだと。全ての御託をねじ伏せるぐらいすごかった。場を支配するエースが実在することを知った。


俺カウントのやなぎの得点。得点者を見逃したり見間違えたりしているラリーもたくさんあるので実際にはこれより少し多いと思う。第2セット12点,第3セット9点,第4セット6点,第5セット5点。


もちろん,やなぎ1人だけで点を取ったわけではない。第4セット最後のリリーフサーバ池田による4連続ブレイクみたいな場面もあった(専修のスパイクミス,という感じではあったが)。


だけど,なんだろう。得点以上の,打数以上の,たとえば触ったら切れそうな研ぎ澄まされた殺気を感じた。わーわー騒ぐタイプじゃないから,余計に。


それが,第5セット,最初のレセプションアタックを決めたときに,床を叩いた。そんなの,滅多に見せない。滅多に見せない姿だから,みぞおちを打たれた。


やなぎのことばかり書いているけれど,けしてやなぎ独壇場だったわけじゃない。おもしろい試合だった。専修にフォーカスすれば,たとえば,冨田と小森,とか。山本のブロックとスパイクとか*1。見方を変えれば,別の姿がいくつも浮かび上がってくる。


そうなんだけど。


2日で4試合。4試合目でもまだあのパフォーマンスを見せる柳田は,サイボーグか悪魔に魂を売ったかはたまた観客から生気を吸い上げているのかと,冗談でも言わないとやってられないぐらいすごかった。


第5セット,13-15のスコアの内,専修のブレイクポイントは3点,慶應は池田のノータッチエースによる1点。そのほんの僅かな差だけで勝敗が決まったのだなあと,得点の推移を見て改めて思っている。


9-10から小林のキルブロックで専修がリードを2点に広げた。11-12で回ってきたやなぎのサーブがミスった。野口が上田を使って切れば,山本は高橋を使う。12-14。その次のやなぎのレセプションアタックがブロックされ,あわや試合終了の場面,リバウンドボールを繋いで丸谷が決める。13-14。必死に取った1点でもまだ遠く,最後は藤中が1本できれいに決めた。


第5セットの15点なんて,あっという間だ。


サイボーグ柳田を堪能させられた試合ではあったけれど,それでも慶應は柳田という1人の抜きんでたプレーヤだけのチームではないと思っている。春のリーグは8位だった。それでベスト4なんだから,チームとしての上積みは確実にあるはず。だから,秋を楽しみにしたい。もちろんやなぎ自身がさらに化けるのだって大歓迎だし。

[A4]準決勝:日本体育大学3-0順天堂大学(25-23 25-17 25-13)


日体:24原 2田尻 19伊澤 31矢貫 13緒方 12橋本 L23山本


→順大:12浅野 25濱道 1柳田 10堤 5廣瀬 11渡邉 L20松崎


興奮が冷めてふと気づけば館内の冷房に凍えるわたしの体。直前の試合にいろいろ吸い取られてぐったりしてこともあり,疲労と寒さで一時意識が遠のいていた。


日体大が手堅く強い。順大のブロックもよく出てはいたのだけれど,穴のない日体コートにスパイクでは手を焼いていた。


あと,田尻がねー。半分寝ていたわたしの横面をはたいたのが田尻のサービスエースだった。この試合だけで何本決めてたんだろう。


ということで日体大2セットupからの第3セット。順大浅野サーブで始まり,ブロックにとんだ廣瀬(このセットから濱道と対角を入れ替わっていた)がネットに触れて,日体に1点が入る。そこでサーバー田尻。


ぼっこぼこ。レシーバーぶっ飛ばす系のサービスエースを取るえげつなさで6-0まで行った。


順大はMBの2人の決定率は良いかわりに,サイドアタッカーのスパイクがなかなか1本で決まらない。その後田尻が前衛に上がって(緒方サーブのとき),ダイレクトで返ってきたボールをガチスパイク決めるわ,1枚ブロックを仕留めるわ。それで13-3となり順大が2度目のタイムアウトを取ったころには,大勢は決していたように思う。


勝戦のカードは日体大専修大となった。田尻と山本のセッター対決はあの2010年度の春高勝戦鎮西vs東亜学園の再現となり,胸を躍らせながら帰路についた。

*1:セッターですよ