ハプニング(1)


29日王宮周辺観光中抜け単独行動におけるトゥクトゥク運ちゃんとの間抜けなやりとり。トゥクトゥクの運ちゃんの多くは地図が読めない(地図中にタイ語の表記がなかったからかもしれないが,道を地図で理解していないようだ)。わたしは英語もタイ語もできない。なかなか大変。


ワット・スタットからワット・ポーに行こうとしたわたし,運転手に固有名詞だけ告げると彼はそれを了解してトゥクトゥクっとある寺院の横まで運んでくれた。しかし着いたところが正面入り口でなかったために,わたしはそこがワット・ポーだと分からない。運ちゃんは「着いた」とか「ここがそうだ」とか彼なりに英語で説明してくれるがわたしがそれを理解しない。で,わたしは地図を見せてワット・ポーを指し「わたしはここに行きたいの」とアピールしてみると,彼は全く見当違いの国立博物館あたりを指して「ここに大きな仏像がある」という。いやはや(彼は地図上そこがワット・ポーだと思っていたらしい)。


で,そのワット・ポーに行く前に行ったワット・スタットは,ガイドブックには必ず載っている割に観光客の姿は殆ど見えず,境内もせまけりゃ建物の数も少ない,いわば「その辺に数多あるお寺の一つ」といった風情。入り口を入って右手奥に拝観料(20B)を払う窓口があるのだが,入り口から少し離れており気づきにくい。はじめはそのまま黙って通り過ぎたのだが誰にも呼び止められなかった。気がついて引き返してお金を払ったわたしは生真面目。回廊をずらっと仏像が並んでいるのだが,それらは常に修復作業がなされている。昼時でやる気のないおっちゃんやおばちゃん達の手によって。回廊の一部分では合奏の練習をする一団もいる。本堂の前ではおばちゃんとおじちゃんが椅子に座って世間話に花を咲かせ,少年僧達がお昼のおつとめに何かを運んでいた。まったりとたゆたう,そこに住んで生活している人たちのための時間と空間。


それ自体はハプニングではないのだが,回廊を歩いていると小学生ぐらいの学校帰りっぽい少年の一群の内の一人に声を掛けられる。何語かもわからないので鳩が豆鉄砲な顔をしていると,他の子たちが「こいつわかんないみたいだからいこうぜ」と少年を促す。そのころになってようやくおそらく「何人?」と聞かれているのだろうと理解し一応「いーぷん(日本人)」と愛想悪く答えておいた。きいてきた少年はたいそうかわいかったが。寺を出るときも出口にたむろっていて,彼は自分の名前を名乗りフィリピン人だと言うので「嘘付け」と日本語で突っ込んでおいた。こぎれいな格好をして学校帰りか昼休みのようでいて「きれいね」などとアヤシイ日本語を使う。日本人相手に日頃なにをしているのかわからないが,わたしに対するそれ以上のアクションはなし。かわいいから許す。


さらに余談だが,人少なな本堂は,ワット・プラケオのそれがいささか観光客で溢れてどたばたしているのに対して,ただぼーっとすることができた。扇風機の風を受けてぼーっとしながら,ご本尊の前に山と飾られたお花が全部黄色いバラであることに気づいたり,Buddhismはrelisionではないんだな,などとわけのわからん思索にはまりかけたりもした。


バンコクでの滞在先サマセットは快適ではあったが,鍵にまつわるハプニングが連発。セーフティーボックスが開かなくなってフロントのスタッフを呼んでみたり,ベッドルームのドアが開かなくなってフロントのスタッフを呼んでみたり。セーフティーボックスは,6桁の暗証番号がどうしても合わず,何度か試す内に本格的にロックされてしまった。数字を間違えたとは考えにくいが錠を開ける依頼書に署名をさせられる大事に。後者は,もらっているのは部屋全体をあけるカードキーだけで,ベッドルームなどを室外から開ける鍵はもらっていなかった。ベッドルームのドアは,鍵をセットしてそのままパタンと締めればロックされるが,ふつうはしないわな。それも2人同時に。どちらも原因は未だに不明。


2回目の鍵を開けてもらうのを依頼したときの電話でわたしが話したのが,前述の「The door in the room cannot open. Please help me.」。酔っぱらいの午前2時にしては上等だろうと鼻高々ぐらいのつもりだったのだけれど,どうやら全然さっぱり義務教育レベルでだめだめだったらしく,それに全く気づいていない辺りが“タイ語よりも英語が先だ”と指摘される由縁である。


南国の旅行と腹痛は切っても切り離せない仲ではあるが,今回もやはりホアヒンで翌日の朝お腹を壊した。なんてことのない(日本にいてもたまに遭遇する)軽い下痢症状だったのだが,長時間の移動が予定されていたことが不安で,病院にかかった。フロントで薬もらおうと思ったら断られて医者に行けと言われ。処方されたのは抗生物質と腹痛薬とイオン飲料の粉末で,タイではその辺の薬局で買える最もポピュラーなシロモノだった。その辺の薬局で薬買ってもいいかとおもったんだけど,ね。如何せん移動がね。やれやれ。


4時も回ったというのにそんなに眠くない。時差ぼけというより昼間ずっと機中を寝て過ごしていたからではないかと思われる。外は風が強い。(4:23)