母親至上主義


新システムの開発と運営などは考えず既存システムを活用する方策。ある時点を境に,それ以降結婚する者は新しい戸籍を夫婦で一つ作るのではなくそれぞれに一つずつ合計二つつくり互いに婚姻の事実と相手の名前が記載される,夫婦はそれぞれのもとの氏をそのまま名乗る。結婚して相手の名字を名乗るのが幸せ(はぁと)という人の気持ちは戸籍上は考慮しない。離婚その他はそれぞれひたすら書き換えていく。子が生まれたら自動的に母親の戸籍に入る。子の記載事項には父の名も載る。当然子は母親の氏を名乗る。その氏は一生変わらない。父親が誰かはこのご時世なかなか判明しづらいこともあるけれど産んだ人が誰かはわかるから(借り腹とか代理出産とかは父母どちらの籍に入るかの問題とは関係ないので)一律母親の戸籍に入るのが楽。子は成人して所定の手続きを経るかもしくは結婚した場合に母親の戸籍から抜けて新しい戸籍が作られる。以後繰り返し。


家族の概念と父親優先主義をぶちこわすいい案ですね(自画自賛)。


これは単に系図上だけの問題なので,基本的には母親が保護者となるが,両親が離婚した場合や母親が亡くなった場合に父が引き取ることも可能。その場合の扱いは,今も両親が離婚したときに似たような問題は起きているのだろうから,現状に準じる。


とかなんとか言えるのは自分が女だからだろうなー。「アンタの子じゃないわ,アタシの子よ」みたいな。


それでなんとなく思い出してまだ確かめてはいないのだけれど,わたしが今子どもを産んだらそれはわたしの子になる。そりゃあんたが産んだなら当然だろうという意味じゃなくて,わたしが筆頭者になっている戸籍に入る。(なので,わたしが離婚後300日だか以内に再婚して子どもを産んでも,離婚前の戸籍の筆頭者=わたしの戸籍に入るのでかなまるの籍には入らない,と思うんだけど,再婚したときにわたしが再婚相手の籍に(相手が初婚の場合は相手を筆頭者として新しくつくった戸籍に)入っていた場合は一体その子はどういう扱いになるんだろう。まったくもって不明であるが,そのような事態に直面することはほぼ100%ないので考えても無駄)。


さて,例えば報道などで「□□区に住む会社員○○○○さんの長男△△ちゃん」とか出るときの「○○さん」は問答無用で父親なのか戸籍の筆頭者なのか住民票の世帯主なのかさあどれだ? PTAの名簿の保護者欄に記載されている名前は自己申告なのか住民票の(ryなのか戸籍の(ryなのかさあどれだ? お役所からの予防接種やら学校入れやこらやらの通知の名前は戸籍の(ryなのか住民票の(ryなのかさあどれだ? 学校の書類で保護者の名前を書く機会は多々あるが,その際うちの子は慣習に合わせて父の名を書くべきか戸籍に準じて母の名を書くべきかさあどっち?


わたしの父の名はやや女性っぽいので,小学校を卒業した後は(小学校までは同居家族の名は周知されている)学校の書類などで保護者の名前を見た友人に「おかあさん?」と聞かれたことも何度かあった。母らしき人の名前を見て思わず疑問が口をついて出るのは,それだけあの欄は男性の名前が入っているのが当然と認識されているからだろう。父の場合は女性疑惑ではなく珍名さんに対する興味本位の可能性も高いのだが,父母どっちの名前も同じぐらいの割合で書かれていて可能性が五分五分であれば,「おかあさん?」ではなく「おとうさん? それともおかあさん?」のように聞くだろう。


聞かれたからどうということはない,そこで説明するのも話の種になるので別段不快ではない。しかしネタになると喜べる子ならいいが,毎回説明する羽目になるのをうんざりする子しれない。何かというと,もしあれらの保護者の名前が戸籍の筆頭者名でなくてはならずわたしの子が今後そういったケースに毎回遭遇することになるのであれば,それは親の都合で悪いことをしたなあという(産まれてもいない今から気が早すぎるが)ちょっと申し訳ない気持ちがあるということ。友達のおうちの家族構成やら生活習慣やらに興味関心やら疑問質問やらを持つ年頃というのはある。それに対して,よそのおうちのことをあれこれ細かく詮索してはいけません,といった大人社会の暗黙ルールを押しつけるのもどうかと思うが,いちいちやりとりが発生するのかと思うとわずらわしいし,まして,大人でもよくわかんない戸籍のしくみについて子どもがうまく説明できるとも思えない。


なんでもいいのであれば父たる人の名を書いておこう(父たる人はおもしろがってわたしの名を書かせようとするだろうが)。そして,その方式によるものなのかどうなのか,子どもの名簿の保護者欄やらPTA名簿やらは,実際に動くのはどこもたいていが母親であったにもかかわらず,父親の名だけが並んでいた子ども時代。実際に動いている人の名前がわからないのは不便じゃないのかね,と子ども心に思っていたが,大人はたいてい名字だけでことが足りるらしい。狭い地域ゆえ同姓も多いのだがそこは家業やら地区名やらでどうにかなるもので。