東西インカレの決勝戦をちょこっとだけ見てきた@つくばカピオ


久しぶりに気に入りの選手を見て幸せ気分に浸る。寝坊してなお,はるか茨城県まで足をのばしたのも,もちろん試合が見たいだとかチームが好きだとかはあるものの,突き詰めればたった一人のためかもしれない。


今となってはどこが好きなのかよくわからない。プレーが好きなのか顔が好きなのかコートの中での佇まいが好きなのか。全部かもしれないし,既にそのどれでもないような気もするし。一度「この人のこと好き」とレッテルを貼ってしまうと,なかなか剥がれない,そういう性格。


特定の選手個人に対する痛いミーハーファンの道を突き進んでいる。行き着く先はあまり宜しくない方向であろうことはわかっているのだが,でももうしばらくはそれもひっくるめて楽しんでいたいから今すぐに止める気はそんなにない。


そんなこんなで,試合終了後,中学生か高校生ぐらいの若いお嬢さんたちからのサイン要求に応えている様子を柱の陰からぢっと眺めながら,物思いにふけっていた。クールに見える試合中の雰囲気とは違って意外と気さくな感じなんだな,とか。あの子達にとっては年上のかっこいいお兄さんなんだろうな,とか。まだ少年の面影の残る19歳の横顔と体育会の大学生らしい受け答え。


想像とは違うそんな一面も見られて嬉しいだの,もっといろいろ知りたいだのまで行ってしまうのは本意ではない。ユニフォーム着てコートに立ってるところだけでいいというスタンスは崩したくない。


なのになかなかその場を立ち去りがたくて入り口付近でもごもごしていたところ,先週お会いした方々に声を掛けていただいて,ようやく,後ろ髪を振り切ることができた。


試合中,背中を見ながらいろんなことを考えてしまう。


いつまで見られるかわからないという思いが常にある。いつまでコンスタントに試合に出ていられるかはわからない。去年の彼自身がそうであったように,来年も再来年も確実に新しい1年生が入ってくる。在学生の中でだって競争がある。そして,今のカテゴリで今のチームで選手として出られるのはどんなに長くても4年。その先どうなるのかなんて,わたしにはわからない。だから,わけのわからない焦燥感に駆られて,ちょっと無茶をしてしまう。春季リーグに全週通ったり,福岡に飛んだり,つくばエクスプレスに乗ったり。


試合後に,今の4年生がいない来年のあのチームの話を少しだけした。去年5月から公式戦で負けていないチーム。8月8日に8冠を達成したチーム。次に彼らを破るのはどのチームだろう。今シーズン中に10冠を阻止するチームは出るだろうか。今日の第2セットに10冠阻止の可能性が見えた気がした。見えた気がしたけれど終わってみれば8冠。もう大学チームに敵なんていないんじゃないかと思わせる盤石の結果。


でも,来年,八子が抜けたあとの構成を今は具体的に想像できない。平均身長も高いとはいえないメンバーで簡単にはいかないだろう中で,それでもどうにかしてしまうのか,他のチームによりチャンスが巡ってくるのか。その中に彼がいるのか,いないのか。


そしてさらにその先を,見続けることはできるのだろうか。


たまに,思う。将来ウチのチームに来てくれるといいのにな,と。「ウチのチーム」は今はないのに,ついそういう発想をしてしまう。


たとえあったとしても,入る可能性は高くない。確率の問題だけで言えば,応援しているチームがありながら同カテゴリの他のチームに行ってしまう確率の方が高かった。それはそれでめちゃくちゃがっかりするし,その後もずっと複雑な気持ちだったろうなと,想像してもどうしようもないことを思う。


それに比べたら辛くないかもしれないけれど,でも,好きなチームに入ってくれる可能性が0という現状もまた,夢も希望もなくて,やっぱりちょっと寂しい。どのみち好きなチームには行かないのだ。ないから。あと2年経っても。よそのチームにしか行けないのだ。ないから。


もし気軽に見られる範囲で選手を続けたときにどういう反応をするか,自分でも想像がつかない。追いかけてしまったら,わたしはミーハーの階段をさらに一つ登ることになるだろう。


そんなことを考えるのは再来年になってからでいい。来年のことだって,この秋のことだってわからない。叶うものならば,あと2年と数か月の間は,スパイクの決定率を上げろだのラリー中の二段トスを打ち切れだのと高望みを叫びながら青地のユニフォームに白で抜かれた背番号の数字が年々着実に小さくなっていくのを見守りたい。