東カレ番外編:或る捜索の顛末。


はじめにお断り。ちょっとしたストーキング告白です。だらだら長いわりにめざましい発見はなにもない。ただ,自分が空回りしていたことを含めて楽しかったので,備忘録として。とはいえ,改めて書き起こしてみるときもいな,自分。すみません(と,どこにともなく)。


東日本インカレで印象に残った選手がいた。関東1部の選手。昨年度までは専らリリーフサーバーとしての出場で,今年の春季リーグからMBとしてレギュラーで出場するようになった。


今年の春リーグは,いつも以上に自分の腰が据わらないまま過ぎてしまった。今季からのレギュラーであることも,個人成績のブロック部門で上位に入ったことも,知識として把握してはいたが,そのプレーを見たかと問われれば否に近かった。


そして東カレである。


すごかった,としか言いようがない。ほんとに。


おおよそわたしはMBへの関心が低い。たいていサイドアタッカーを見ているし,打ちたがりのセッターが好きだ。そういった経緯もあって,見えていても見ていないことが多いのがMBというポジション(の選手)である。話が逸れるが,春季リーグと東日本インカレの両方でブロック賞を獲得した順大の廣瀬でさえも,ほとんど記憶にひっかかっていない。尤も順大は嵌るとあほみたいにキルブロックを量産し始めるから,キルブロックが出ても「はいはいブロックブロック」ぐらいに流してしまっていて,ひとつひとつの印象が薄くなっているのかもしれない。その中心に廣瀬がいるのなら,ブロック賞でも不思議はない。


本筋に戻ろう。東日本インカレの個人賞発表の時に,「ああ,それでもブロック賞は廣瀬なんだ」と思ったんだ。


それだけ,おいしい場面での印象に残るブロック得点が多かった。廣瀬が,じゃないよ。本筋に戻っている。


ブロックの良さは,必ずしもキルブロックの本数だけでは語れない。また,MBのお仕事はセンターブロックだけでもない。その点に於いて,他チームと比較したとき特別MB陣が目立つチームとは言えないと思う。東カレでは2人ともそれぞれ良いプレーが見られたし,もしかすると,だからこそのあの結果という気もしてくるんだが。


しかしキルブロックの本数とかワンタッチの回数とかブロック枚数の揃い方とか,そんなことはどうでもいい。前衛で相手のエースと対峙してブロックにかける。それはキルブロックのこともあれば,ワンタッチで勢いを殺して後ろで上げることもある。他の選手がどれだけ決めようが,試合全体に占める本数自体は多くなかろうが,セット後半のここぞという場面で「エースを止めた」「エースが止められた」ことで生じるブレイクポイントとコート上のネットを挟んだ双方にわきあがる気運は,言葉では表しづらいし,きっと数字でも表しづらい。ましてそれが試合中に何度も繰り返されれば尚更だ。


前置きが長くなった。


そんなこんなで,東日本インカレではまったのよ,という話を知人(友人と呼ぶには畏れ多い)にしたのがつい先日のこと。ブロックが素敵だったしそのあとのガッツポーズも笑顔も素敵だった。サーブも良かった。さらに言えば,彼が中心となっているであろう今年の広報活動も有り難い。そしたら,かのチームを長年応援している彼女から返ってきたのが「ずっとセンターだったのかが今最大の疑問」。前はサイドだった気がするの,と。去年の秋から試合前のアップでクイックを打っていて,それで「あれ?」と思ったと。


なんですって。


如何せん昨年度まではピンサ以外で出ている試合はほとんどない。言われてみればセンターの控え筆頭としてレギュラーに何かがあったときに出ていたような記憶もないけれど,そんなにがっつり見ていたわけじゃない。ピンサさえも「見えているけれど見ていない」エリアに入っていたぐらいで,ましてアップとか知らんし。


それでもどこかで1度ぐらいは見ているだろうと,定期戦の類の小さな大会を探した。自分の過去のエントリやらよそさまの記事やら写真やら。


でも全部空振り。試合は見ていてもスタメンを書いていないだとか。


今のご時世,そんなに知りたければ直接本人に訊けよ,という御説ごもっともではあるのだけれど,本丸を攻めるような案件でもないし気概もない。ただただ堀の外をぐるぐるとあてどなくさまよう。いよいよ自室の書棚の隅っこを漁り,一昨年の春のぽえむ帳に手をかける。某定期戦,わたしにしては珍しくそこそこ叮嚀な筆跡でメモを取っていた。選手交代も書いていた。


が,ピンサ以外で出ている試合は拾えていなかった。


詰んだ,と思ったね。


結論から言えば,試合出場実績を追うのはそこで断念し,方向転換してパンフレット記載のポジションを確認した。最初からパンフレットを見ればよかったんだと気づいたのは,たかだか昨秋のパンフでさえもポジションがサイドだったのを見た時。随分と間が抜けている。でもまあ,誤記とか誤植とかパンフと実戦との相違とかあるからね。できれば試合の記録を探したかったんだよね。と,負け惜しみ。


高校時代には全国大会の出場経験もある。高校には不案内なので当時のことは知らないのだけれど,どうやらサイドアタッカーでエースだったらしいとフジテレビのサイトで知った。


大学入学以降の歴代パンフのポジションはずっと「サイド」か「レフト」。「ピンチサーバー」が加わっていることもある。去年のインカレパンフはただ「ピンチサーバー」だった。


東カレで魅せたあのブロック,生粋のセンター育ちだと思っていた。去年の秋頃からだなんて,想像もしていなかった。


センターとサイドでどう違うのとかどうも違わないんじゃないのとか,わかんないけど。わかんないけど,しばらく試合がない今になって,俄に興味を覚えている。次に見られるのは秋だろうか。秋に見られるだろうか。夏を越して,積み上げて,そして迎える最後の秋を全うしてほしいと思う。そして,今度こそ心してその姿をこの目で見るんだ。