団菊祭五月大歌舞伎(夜の部)


まとまった記事を書こうと思い思い先延ばしにして,そのうち先延ばしにしたことさえも忘れるのです。


すると,わずか1か月経たないうちに,その日何をしていたかを全く思い出せなくなるのです。


なので,せめて思い出のよすがとしてのタイトルだけでも。


もともとは終日休みにして昼の部・夜の部を通して観るつもりだったけれど,仕事のやりくりがつかなくて出勤。昼の部もがんばれば最後の幕(魚屋宗五郎)だけ幕見で観られると足掻いてみたもののそれも叶わず,結局夜の部のみ。


坂東彦三郎家の一家四人揃っての襲名&初舞台なのだ。2月頃の発表から,心待ちにしていたのだ。ほんとに,ちゃんとおめかししてちゃんと前の方で観たかった。


あ,でも,席は直前の戻り分なので,いわゆる「とちり」でした。

寿曽我対面


観たことあるつもりでいたけど,筋書きの上演記録にそれらしい公演がなかった。ハテ。


曽我五郎に亀三郎改め彦三郎,十郎が時蔵。小林朝比奈が彦三郎改め楽善。亀寿改め亀蔵は俣野。大磯の虎に萬次郎。


工藤祐経菊五郎


豪華だな。なんだっけ,剣菱呑助だっけ,が,松緑で,言祝ぎ台詞だった。


花道から権十郎に手を引かれて出てくる新亀三郎がめちゃめちゃかわいい。そのあと座ってるときに(そういう段取りなのかよくわからないんだけど)身体の向きがちがっていて,それを権十郎が直すのもかわいい。


劇中口上なので,お芝居の切りはちょと不思議な感じになったけれど,「なんかよくわかんないけどおめでたいかんじ」の狂言で,おめでたい感じでよかった。


緞帳も襲名記念で,鶴が飛んでいて,素敵。

伽羅先代萩


菊之助の政岡が観たかった。


が,2幕三場かな,なかなかの長編。


御殿と床下と大詰(だっけ,筋書き見ずに書いてる)で雰囲気ががらっとかわるのは面白い。御殿は女たちの物語で,床下からあとは男たちの物語,と,これは筋書だったかで解説されていた。


そうそう,かねて,義太夫狂言での義太夫にかぶせてくるイヤホンガイドを微妙に思っていたので,イヤホンガイドではなく字幕ガイドを借りてみた。保証金なしで利用料が1000円だったか1300円だったか。イヤホンガイドより少し高い。詩章や台詞が文字でわかるのはいいんだけども,解説総量はイヤホンガイドよりも少ないのが難。たとえば,イヤホンガイドなら脇役の配役も言ってくれるけどそれはないし,イヤホンガイドならたいがいある衣装やこしらえの解説も(あんまり)ない。そのうえ隣の席でも見えるのではというけちくさい気持ちにもなる。


久しぶりに見た海老蔵の仁木弾正は妖気が漂っていて,怖かった。これはこれで良い弾正。

弥生花浅草祭


亀寿改め亀蔵と,松緑との二人踊。三曲(?)四曲(?)をそれぞれ別の役に早変わりしつつ,二人で四役ずつ。そのうち「善玉」と「悪玉」が踊る「三社祭」は見たことがあったかもなかったかも。


松緑も亀寿も好きだけど,所作事そのものが楽しみ方がわかりづらく,今回のセットリスト(違)においては,おまけか口直しのデザートの軽い扱いでいたわけですが,予定外に,これにはまってしまった。(そして翌週歌舞伎座に日参することになる)。


三社祭」楽しい,「石橋」の獅子の精のヤクの頭ぶんぶんも鮮やか。


何にはまったかって,通人と野暮大尽ですよ。亀蔵の通人がかわいすぎた。あかん。あれはあかん。


40分があっという間で,動きがコミカルで楽しくて,後で劇評を(おもにTwitterでしかも偏っていると思われる中で)見てみたところ,弥生花浅草祭が軒並みおおむね好評価。松緑が踊れるのはもちろんのこと,亀蔵がここまで踊れるとは思わなかったの声多数。


まったくだよ。


後日談で,3月の「俳優祭」で二人で踊ってるののテレビ放送を(再放送を録画で)見たんですがやっぱり楽しそうで,お二人仲よさそうでけっこうですね,ということで,この先もこの二人でたくさん踊ってくれるといいなあと思ったものでした。