履物を…

買いはしていない。
国立劇場、午後から雨予報で雲行きも怪しかったので、洋服で行った。時間もぎりぎりだったし、履物に迷ったので。
雨が降るなら時雨下駄かなあ、と、先日間に合わせで買って見よう見まねでゴム紐を交換していた爪掛の紐をひっぱったら、ほどけた。たぶん結び方が間違っているのだろう。それを直す時間はなかった(調べる方法もない。捨てちゃった)。そこで心が折れた。小雨ならカレンブロッソでも行けるかと三和土に置くまではしたが、もし本降りになって鼻緒に水が染みて、万一白い鼻緒にシミが残ったらいやだし、足袋が濡れるのも嫌だし、本降りになるかどうかなんてわからないし……と、悩む気持ちがしんどかった。
行ってみたら着物姿の人が思いのほか大勢いらしていて、目の保養うはうはだったけれど、みなさんどうやって帰ったんだろう。劇場バスはまだ復活していない。タクシーかな。劇場の裏を回って伝統芸能情報館に寄ったので、他の人たちの帰りの様子がわからず。場内では雨草履の人見なかったんだけど、履き替えで持ってきていたのかしら。だとしたら大荷物だ。

というわけで、終演後半蔵門線から三越前で銀座線に乗り換えて浅草まで足をのばして、和装履物屋さんで時雨下駄の鼻緒と爪掛を新調してきた。経年劣化でぼろぼろになって、と店のおかみさんらしき人に話したら、見るなり「ほとんど履いていないのに」と気の毒がられた。ええ、そうなの。
完成品の時雨下駄は洒落たやつがいくつかあったけれど、鼻緒と爪掛単品は在庫の種類があまりなくて、だけど、20年前に買ったときのお店がまだあるかわからないし(あれも浅草だったんだけど、店の名前忘れた。平日のみの営業だから行きづらかった)、それこそ、そんなに履くものじゃないから、備えあれば憂いなし優先で選んだ。選択肢が限られているのには慣れている地方民。かなり無難な感じにはなったけど、まあまあかわいくできた。よかった。挿げ替え込みで8200円ぐらい。
またほとんど履かないまま劣化してしまうかもしれないけれど、そんで、今日ぐらいの雨で時雨下駄の人をみかけなかったわけで、あんまり浮きたくないし。女性用のおしゃれな長靴が当たり前になる前の雨の日の靴問題と同じで、悩みは尽きない。が、ひとつ半年越しの懸案事項が解決して、充実の休日。
それにしても浅草、着いたらもう暗かったんだけど、若者もりもりの観光地になっていた。すごい。何年ぶりに行ったかわからないぐらい久しぶりだった。浅草歌舞伎にも行きたいなあ。