「鳩」続き


料理を構成する各パーツや鳩肉の使用部位について訊けばよかったんだけどね,なんとなく。きっとカウンターの向こうの料理人さんはわたし達の会話を小耳に挟みながら「口を挟みたい」「訂正したい」感いっぱいだったろう。


味の付いたミンチでくるまれキャベツでくるまれさらに塩分の多い生ハムが巻かれてオーブンで焼かれている為,色んな味が渾然一体となっていて「これが鳩の味」ってのはわからんのよ。完全にバラして食べるのもアレじゃん(キャベツがうまく切れなくてどうしてもバラけはするんだけど)。


だいいち,途中まではどこが鳩かわからなかったぐらいだ。メニューに鳩とあるからには巻物の芯になっているかたまり肉が鳩だろうと推測されるものの,最初わたしはその肉を口にして「フォアグラっぽい」とかとぼけたことを言うてましたから。周りのミンチも豚かどうかわからない。鳩ミンチかもしれない。鶏ミンチかもしれない。もういい。そんな舌でいい。料理はうまかったよ。そして中央の肉の火の通り具合(絶妙なる半生ピンク,焼き過ぎず生過ぎず)をして,料理人の技術っつぅのはね,と感心するのだよ。