類語辞典
詞藻のためのシソーラス
おとといのエントリが,そりゃあもう気恥ずかしくて仕方ない。夜中に頭に血が上った状態でラブレターを書いてはいけませんの典型。
中身がないという致命的な問題はさておいて,そのほかになにが恥ずかしいのか考えてみると,ようするに臆面もなく「好き」とかなんとか書いちゃったのが恥ずかしい。多少なりとも表現が違えば,こっぱずかしさもいくらかは和らいでいたかもしれない。
たとえば,特定の選手やチームにつける枕一つとってみても。
気になる,目につく,目を引く,印象的な,印象深い,インパクトの強い
気に掛けている,注目している
心惹かれる,魅力的な,魅惑的な
気に入りの,好みの,贔屓の
好きな,惚れている,愛している
応援している
評価している,良い,巧い,巧みな
一押しの
かっこいい,素敵な,イケてる,イケメンの
注目の,話題の,噂の
腐れ縁の
観点が異なる表現間では矛盾・対立する概念も含まれているけれども,主観−客観,感情的−分析的,もろもろひっくるめて,概ねつけられそうな枕を思いつく限り列挙してみた。こうしてみると「今大会注目の○○選手」に「注目」しているのがいったい誰なのかが俄然気になってくる。
それはさておき。
大差ないようなほんの数文字に対して,書く側はえらく気をつかっていたりする。表現によっては受け取る印象も大きく異なる場合もある。受け取られ方を意識して印象操作を試みることもあれば,受け取られ方は二の次にして自分の気持ちにぴったりくる表現にこだわることもある。
枕の選び方には主観が入る。究極的には最も主観的でないのは一切冠をつけないことだろう。しかし,それではなぜその選手やチームに言及しているかが伝わりづらい。枕はその固有名詞を知らない人に端的に為人やチームカラーを伝える役割も果たすだろう。
枕もなければ落ちもない話でした。