埼玉東レ交流戦

@川越


2年ぶりに行ってきた。当日券売り場で埼玉の推し選手を言えば当日券を前売り価格で買えるという謎システムにのっかり,700円。マッチデープログラムが300円。スタンドアリーナともに同一価格の自由席だったとおもうが,スタンドの端っこのほうで観ていた。なぜなら大遅刻していたので。


試合は3セット固定だったのかな。埼玉が2−1で勝った。第2セットの途中で着いたので,何をしに行ったのかよくわからない感じにはなった。駅からバスで向かったのだが40分以上かかり,財布にものを言わせるべきだったと少し後悔した。


試合後のバレーボール体験(?)が楽しかった。こういうのって通常は,地元の小学生チームがあらかじめ決められていて,短いバレーボール教室をやる(東日本インカレのときみたいな)仕立が一般的だと思うのだけれど,今年は,言うなれば単なるコート開放だった。


選手たちが各自ボールを出して,人々がぐるぐる順番にレシーブしていく感じ。埼玉の選手は「古いユニフォームを着る」ルールだったようで,埼玉の旧デザインのユニフォームの選手もいれば,大学時代のユニフォームの選手もいれば。大学時代のユニフォーム楽しい。


埼玉だけでなく東レの選手もやってくれて,中には円陣パスをしているグループもあったし,梅野と小学生男子とは,足でパスをしていた。


自分はそんな催しがあると知らずにスリッパ履きだったが,ほかの観客も似たようなものだったので,混じってきた。東レ側コートにいたので,せっせと各選手の列をめぐり,半分ぐらいの選手のボールは受けたと思う。みな相手をみて手加減してくれるのだが,中には容赦ない選手もいて,個性が出ていて面白かった。


一通りボールを使った時間が終わった後,埼玉の選手は長机を並べてサイン会。東レの選手はチームの集合時間までそのままてきとうにファン対応をしてくれた。つまり即席のゆるい「写真撮影会(その前後の短いおしゃべりと差し入れも可)」と化し,わたしも場の雰囲気に便乗して,とある選手待機列の後ろに並び,大変珍しいことにツーショットを撮らせていただく暴挙に出た。緊張していたのでおしゃべりなどできるはずもなく,でも,いいの。


2年前の熊谷はとにかく暑かったが,川越は涼しかった。冷房のありがたみをひしひしと感じる。

2910点(3割負担)

ばれーのはなしじゃないです。婦人科方面のはなし。


自分の身体のことなので,自分だけで決めれば良いことではあるものの,あまりにプライベートすぎてこういうところに書くことではないように思えて書かないでいたのですが,執筆環境も整ったし,たまには。15年前ならためらわなかった。年齢を重ねるにつれ頑固で偏屈で臆病になる。


悪い話でも怖い話でもないです。


昨日(月曜日)のNHKの朝の情報番組「あさイチ」で「生理の新常識」という特集をやっていて,なんともタイムリーだと思ったものでした。


過多月経の治療で,ミレーナ入れ(てみ)ました。ごくごく最近。バイエル製薬が出している子宮内黄体ホルモン放出システムというもの。見出しの2910点はその点数です。これに再診料やら抗生剤やらが加わり,保険適用3割負担で当日の支払額は10550円。事前説明で15000円でおつりが来るぐらいと聞いていた通り,件の「あさイチ」でも費用は1万円前後と言っていたので,だいたいそんなかんじなんだと思う。あらかじめわかってはいたけれど3000点を超えると支払明細書がけっこうなインパクト。去年の11月に受けた子宮内膜ポリープ掻爬手術の手術費用(の当日払った分)よりも高かった。


ありがたいことに身体はかなり頑丈なほうで,これまでの人生で大怪我を負うこともなく大病を患うこともなく,病院ともほとんど縁が無い生活を送っている。入院経験もいまだになく,手術も昨秋のそれがおそらく人生初だった。


その節は,初めての全身麻酔含めて自分にはオオゴトでそれなりに大騒ぎしたけれど,世の中とくに病院にお世話になる人はもっと大変な人のほうが圧倒的に多い中で5分かそこらのかんたんな手術にことさら大変だったと言うのは心苦しく,それで,黙って(ないけど)いたわけです。


今,書いてるけど。


事の起こりは何年か前(5年か6年ぐらい経つかしら),胃痛を覚えて内科だか消化器科だかを受診して血液検査と経鼻内視鏡検査を受けた折,胃は綺麗だけど貧血がひどいよ,と言われ,3か月ぐらい鉄剤を飲んだ。


一度数値が良くなったあとはひどく悪化することはないものの,2年ぐらい経つと健康診断で標準値をわずかに下回ってひっかかる。鉄剤なので気軽に処方してもらって2週間ぐらい飲んで復活。


そんなこんなで去年の夏と秋の間ぐらいのころ,疲れやすくなっていたので貧血を疑い,いつものパターンで鉄剤を貰ってもいたちごっこなわけで,ふと思い立って,婦人科に行ってみた。


たまに行く婦人科は担当医が決まっている方式ではないうえたまにしか行かないのでいつも出たとこ勝負。前回かかったときのドクターにけんもほろろに扱われたので(理由はわかる。Drは悪くない)びくびくして門をたたいたら,その日のDrがとても良い人だった。受付時間ぎりぎりに飛び込むめんどくさい客の「なんか貧血っぽいんですそんでどうも生理重いほうっぽいのでそのせいかもと思って……」とかなんとかもごもごよくわからない訴えを聞いてくれ,子宮内膜が一般的な厚みよりもかなり厚いことがわかり(「そりゃ重いわ」と言われた。つらさをわかってくれたことに涙が出たものだ),そんなこんなで子宮内膜ポリープが見つかったので,まずはポリープを取りましょう,という話になったのが去年の秋。


話が長いな。


ポリープ取ってもまだしんどかったら器質性過多月経と言って……と,そこでミレーナをすすめられた。


大人になると学校で教えてくれるわけでもないので,自分から能動的に情報を取りに行かないと知識がアップデートされない。まして,病院に縁が無い生活を送っていればなおさら。保険適用されるようになったのが2014年からという新しい薬のことをわたしは知らなかった。


ポリープを取ったら出血量は激減した。当社比で激減。それでも,まだ,うんざりするのに十分。術後1か月ぐらいの検診で「この先どーしましょうね」という話をしつつ,Drから説明を聞いても販売元のホームページやら口コミやら見ても,わかるようなわからんようなで不安が拭えず保留していたのだけれど,そうこうしているうちにまた貧血気味になり瞼ぺろんとめくったらへんな色だわ,びびって術後6か月後検診かたがた受診したらDrに「顔黄色い」言われるわ。血液検査の結果は標準値内下限ギリぐらいで,例によって(検査結果を聞きにいったときのDrは件の泣けたDrとも手術及びその後お世話になっているDrとも別の人で,いろいろ面白かったけれどそれはさておき)「別に悪いことないけど一応薬出しとく?飲む?」ぐらいの,いや,もうぜんぶがめんどくさいわ。


と言う流れでここに至る。


自分としてはけっこう迷ってけっこう大きな決断をしたつもりでいたのに,実態がめちゃめちゃカジュアルでびっくりした。「じゃあ,今ちょうど在庫あるから取り置きしとくから,こんどの生理が始まったら電話して,日程決めましょう」という。事前の検査とか処置とかないし,手術のときのような同意書もないし,持ち物の確認やら説明やらやらもないし,麻酔もかけないし,「少し休んでもらうので早めに来てください」程度。


カジュアル。


そのかわり,まあまあ痛かったです。そして,合うかどうかは神のみぞ知る。ここで経過観察(経過報告)をする予定ではないけれど,なんかあったら書くかもしれません。


うまくいかなくてもお金が返ってくるわけじゃないので,生活が楽になるといいなあと,そればかり。

デスクライトがやってきた

続「電話機を買い換えた話」。


リビングの壁沿いに机を設えている。机と言っても,抽斗2つに天板を渡したもの。3年前の引っ越しで「りびんぐだいにんぐるーむ」なるものができるにあたり,某大手家具屋にちょっぴりホテルライクな感じでとオーダーしてアレンジしてもらった。需要はあるようで,ちゃんとそういう家具ユニットがあった。


奥行45cm程度であまり大きくはないが,小型のノートパソコンでちょこちょこ書き物をするには十分。ただ,照明を背中に壁を向いて座ることになるので,暗かった。ノートパソコンのバックライトがあるので実務上は大した問題にならないのだけれど,参照資料の閲覧には不便だし,何より,どうも,雰囲気が出ない。


なので,デスク用のスタンドライトが欲しいと思っていたのだけれど,良いなと思うものはべらぼうに高かったり,手頃な値段でこれと思うものがなかったり,いずれにしても急ぐものでも必需品でもないのでおおむね忘れていたりして,後回しになっていた。先月机の一画を占めていたFAX兼用機を撤去して少し広くなったのを機に,ようやく,空いたスペースにデスクライトを置くぞ,という機運になった。


今年の誕生日はお泊まりをしなかったので,誕生日プレゼントになるのかな。夫がいくつか見繕って,部屋のほかの家具の雰囲気にも合うウォルナットのシンプルなデスクライトを見つけてくれた。


まあ,これが,ただの木の棒を組み合わせただけのLEDライトのくせにけっこうなお値段で,誕生日プレゼントにしちゃ高額なんだけど,引っ越したころに目をつけていた北欧方面のデスクライトよりはリーズナブル(比べてはいけないやつ)。世の中,高いものがおしゃれとは限らないけれどおしゃれなものは総じて高い。


通販で買って先週家に届いていたので,今日,設置してもらった。部屋全体の光量を落としても手元が明るい。間接照明風に使うと,ぐっと雰囲気が良くなった。


これですっかり疎かになっている執筆が捗る,か,どうかはわからない。ただ,向かいたくなる机の雰囲気はないよりあったほうが良い。あとは壁に長押か棚をつけてごちゃごちゃしがちな机の小物を待避させたい。これも3年来の野望だが,いまだに壁の石膏ボードに小さな穴を開ける勇気が出ない。


ぼんやりとした「なんかすてきなお部屋」が整わないうちに年が経ち,傷とか埃とか経年劣化とか,物も増えるし,自分も片付けや掃除をさぼるようになっていて,どうしても入居当時のきれいさは失われていくのだけれど,こうやって少しずつ手を加える楽しみがあるのも,それはそれで。

東日本大学選手権・5日目(3位決定戦・決勝戦)

北海きたえーる


前日に10時第1試合開始のアナウンス。


第1試合として男女3位決定戦を同時に行い,3位表彰→特設コート設営→女子決勝戦→男子決勝戦→表彰式・閉会式の順。


関東主管(東京開催)のときは男子3決→女子3決→女子決勝→男子決勝だったとばかり思っていたが,2017年以降この方式が続いているようだ。各チームの帰路を考えればやむを得まい。今年は表彰式・閉会式が1645ごろからだった。観客にとっては焦る必要はないけどゆっくりする時間はないぐらいだったので,最後までいたチームやスタッフはそれなりに時間を気にすることになったのではないかしらん。


そういえば,決勝戦は北海道学連(?)がyoutubeライブ配信をしていたようなのだが,あまり事前に周知されていなかったようなのが残念。

女子3位決定戦 筑波大学3-1東北福祉大学(25-20 23-25 25-22 25-22)

男子3位決定戦 中央大学3-1明治大学(26-24 29-27 15-25 26-24)


明治:2鎌田 23安井 9池田 1小松 15三輪 13上林 L14瀧田/21鳴尾


中央:16伊藤 15鍬田 4水野 1牧山 23佐藤 8平井 L13土岐


中大,セッター牧山,OP伊藤。のうえでの,S4スタート。前日伊藤セッターはS1スタートだったのに,紛らわしい。


その伊藤が弾けた。中野とは違うタイプのOPで,力強いサーブと,高さとスピードと強さのあるスパイクで,圧倒した。でも,受ける印象はごりごりパワフルヒッターではなく,どことなく朴訥なのか飄々なのかクールでクレバーなのか天然なのかわからない,ちょっとふしぎな感じ。


そして初スタメンだったのかなー。わからないけど,1年生の佐藤(from市立船橋)が,すっごく良かった。特に序盤。次第にスタミナが切れてきたのか明治が対策してきたのかサーブやスパイクの精度が下ってはいったが,ポジション5を勤め上げた。背番号23ってだけでわくわくするのに,そのわくわくがさらに増す活躍だった。第1セット最後の2本連続のサービスエースは圧巻だった。


中大のサーブは博打要素が高く(つまりミス率が高く),それが準決勝対青学戦の敗因の一つでもあったが,3位決定戦ではサーブが武器となり試合を制した。第1セットは佐藤の2連続,第2セットは水野。最後はいずれもサービスエースだった。セットの途中も,サーブで崩し,明治おスパイク精度を下げさせて繋いだボールを,伊藤なり鍬田なりが決める。春リーグとは異なるスタメンで,選手層の厚さを感じさせた試合でもあった。東日本インカレは,春リーグとは違う布陣や選手が見られるのが楽しみの一つであるが,中大の,とくに伊藤と佐藤は強く印象に残った。


試合前に,山岸がいない状況でもスタメンじゃないって気持ちの上でどうなんだろうなんて話をしていたのだが,3位決定戦は牧山がスタメンだった。途中(おそらく大差で落とした第3セット。途中で全員スイッチがオフになった)バックアタックへのトスが短いのか前なのかで踏んだりふかしたりが続いたこともあったが立て直したし,終始高さのある攻撃ができていて,ちくしょう強いじゃねーか,と唸った。


敗れた明治は,4セット中3セットデュースというタフな試合のデュース3つを全部取り切れなかった。試合への入りが悪かったなりに第1セット17-21から追い上げ,23-23からブレイクして先に24-23としたが,サイドアウト後の佐藤のサーブにやられた。2本とも小松と鳴尾の間を狙い,2本目は飛びついたけれど弾き飛ばされた。


第2セットも序盤ビハインドで17点で追いつき20点で逆転したが,チャンスにミスを連発し自滅に近い落とし方をした。池田のサーブで22-20と2点差をつけて中大タイムアウトのあと,なんかミス(メモに全く読めない殴り書きがあり,なにやら怒りを感じたらしいことしか伝わらない)。24-23で松本ピンサが効いて自コートに返ってきたボール,つまり決めれば取れるところでダブコン。そして,25-24でもディグが高く上がったブレイクチャンスで,お見合いで落とした。


うわー,書き出してみると酷いなー。そんで鍬田サーブまで回って中大がブレイクしてアドバンテージ,27-28から水野のノータッチエース。だった。


第4セットも以下同文で,やはり後半に明治が追い上げてもつれてデュース,平井サーブで崩して最後は鍬田が決めた。ここはミスで落としたという感じではないので,後味は悪くないものの,とはいえ追いついて一度は23-22と一瞬リードも取った。フルセットいけるかも,の期待をしただけに,悔やまれる。


終盤の粘りの良さを覚えていられれば良いのものを,取れそうだったものを落とした風に記憶がすり替わって残っちゃうからしんどい。


杞憂ならば良いのだけれど,心配になるね。いろいろと。でもいろいろやるなら夏のうちで,夏にいろいろあっても冬に結実するなら,何もなくて実を結ばないより良いと思う。よ(所詮外野の気楽さ)


今大会ピンサで出た千葉のサーブがとっても良かった。トスで横回転をかけて左打ちのスパイクサーブがコートの外に曲がっていく。ちっこいので,まわりがわちゃわちゃいじる。すごくかわいい。しかし,唯一困ったことには神園と見間違える。どう見てもぜんぜん似ていないのに,いつも間違える。なぜ。たぶん美香保の旗係も見間違えた(27のパンツ穿くのはあんまりだ)。

f:id:cana:20190630105506j:plain
中央大ー明治大

女子決勝戦 青山学院大学3-0順天堂大学(25-22 25-6 25-23)


青学がぐいぐいと。第2セットは順大がはまってしまってびっくりする点差になってしまった。全体的には青学強いな,だったけど,順大が追いついて盛り上がったり。


順大のアップゾーンがかわいかった。得点すると,男子でお馴染みの「ちゃちゃちゃっ ヤー!」っぽいのを振り付き決めポーズ付きでみんなでするの。

男子決勝戦 青山学院大学1-3筑波大学(25-23 23-25 17-25 20-25)


筑波:13吉田 14坂下 8小澤 25西川 27垂水 20阿部 L12山口


青学:8望月 6中道 9中西 13小田島 18山田 1渡辺 L14長田


筑波大は準決勝と同じ,吉田・西川MB対角で小澤がOPに入るフロントオーダー。


第1セットを青学が取ったが,第2セットからはさすがの筑波。


第1セットの筑波は,レセプションが返っていないわけでもないのにMBのスパイク打数がほんとうに少なかった。西川も吉田もアタック得点1*1。西川は打数も1本か2本かという少なさだった。


青学のブロックが必ず2枚つき,ワンタッチボールを拾う。長田の守備力は抜群に高い。競った展開を,25-23で青学が取った。


しかし,第2セット以降,筑波は高さを出したスパイクを,青学のブロックの上から打ち込むようにかえていった。タッチアウトを狙っても青学は拾う。でも,青学,ブロックは良いチームだけれど,絶対的な高さは,さほどでもない。


大会ベストスコアラーを取った垂水のとんでもない高さよ。サイド主体と言っても,坂下小澤垂水の3人ともバックから打てる(助走に入る)。それらの時間差に惑わされることなくちくちくとブロックはがんばっていたが,高いところから余裕を持って打ち下ろすスパイクは容赦なかった。


筑波が第2セットを取ってタイスコアとし,第3セットにはMBの2人へのトスも上がるようになる。とくに試合後半に進むにつれて西川の打数が増えた。そして青学のブロックも1枚に。西川はスパイク賞を取り,(三輪の個人賞のチャンスがああああ)。


得点をあげた選手として垂水と西川の2人がとても目立った決勝戦だった。「1年生がのびのびやってるけど,のびのびやれてるのは上級生のおかげだよね」という状況は,まさに2年前2017年の秋,当時1年生の村山・宮浦がスタメンになって早稲田の連覇が始まったときに感じたことだった。1年生2人を活躍させてベストスコアラーとスパイク賞の個人賞を取らせ,優勝した筑波は秋以降どうだろう。ますます強くなる予感しかない。そして,その村山・宮浦と松井監督をユニバ代表で欠き,おそらく不本意極まりない結果になった早稲田との火花が早くも楽しみである。


f:id:cana:20190630162837j:plain
これに続く高橋結人と山口拓海の抱擁も胸が熱くなるものだった。


2位の青学,第3セット以降は要所で筑波との地力の差を感じる展開にはなったが,見せ場は見せ場としてあり,とても面白い試合だった。チームの中心は東京がめっちゃ強かった時代の駿台+東亜OBだが,こちらも1年生の山田亜藍(from:高川学園)が力強く安定して計算できるアタッカーで,なるほど1部昇格の鍵は亜藍だったのかな,とも。旋風を巻き起こしたおかげで,秋リーグにビギナーズラックは使えない。長きに渡る「2部の門番」に終止符を打って1部に乗り込んでしまったからには,それでもやるしかない。やるしかないのよ。表彰式後にささっと私服に着替えていた青学めんずのスタンスはむしろ好き。入れ替え戦に勝てない1部にはなかなか勝てないって勝手に思い込んでいたけれど,コロンブスの卵は立った。

個人賞

  • ベストスコアラー賞:筑波大#27垂水優芽/筑波大#5川上雛奈
  • スパイク賞:筑波大#25西川馨太郎/東北福祉#5並木芙由
  • ブロック賞:中央大#8平井海成/青山学院#12山中宏予
  • サーブ賞:筑波大#8小澤宙輝/筑波大#13高間来瞳
  • セッター賞:青山学院#8望月祐/青山学院#18花澤佳奈
  • レシーブ賞:筑波大#14坂下純也/青山学院#5宮下聖果
  • リベロ賞:青山学院#14長田康矢/青山学院#8立石優華
  • 敢闘選手賞:青山学院#1渡辺周馬/順天堂#9野嶋華鈴
  • 最優秀選手:筑波大#12山口拓海/青山学院#5宮下聖果

男子最終結


優勝:筑波大学(8年ぶり8回目)


準優勝:青山学院大学


第3位:中央大学


第4位:明治大学


ベスト8:日本体育大学日本大学専修大学東京学芸大学


男子筑波の東日本インカレ優勝は2011年以来の8年ぶり,全日本インカレを入れても2012以来の7年ぶり。タイトルは2016年春リーグ以来。


準優勝の青学は春終了時点では2部1位。第1シード第2シードが揃ってベスト8圏外という波乱の大会となった。

最終日雑感


北海道学連のみなさま運営お疲れ様でした&ありがとうございました。鹿と北海道シルエットがデザインされたスタッフポロシャツ,かっこよかったです。


広い広いきたえーるの観客席に,表彰式まで残っている観客の数は少なかった。東日本インカレの表彰式はいつもそんな感じで,セレモニーの華々しさよりも「ああ,これで終わりだなあ」という最終日の寂しさが色濃い。


ただ,今年は,閑散とした中にも,穏やかで明るい雰囲気が漂っていた。優勝した2チームはもちろん,準優勝の2チームが,それぞれ,ちゃんと(という言い方は変だけど)喜べていたように見えたから。


トーナメントの表彰式は2位のチームにとっては負けた直後に表彰されることになる。銀メダルをかけられる表情に悔しさや不納得がにじみ出る。でも,今年は,自分の思い込みかもしれないが,少し,雰囲気が違った。


青学男子の準優勝は公式Twitterによると創部史上最高成績だったそうだ。これまでの最高位,確認してはいないが,自分が見て記憶にある範囲では東日本インカレのベスト8だろうか*2。直近は一昨年2017年,準々決勝で筑波にストレート負けだった。*3


女子準優勝の順天堂はこの春リーグは2位とのことで,けしてダークホースではなかっただろうが,男女同一会場開催の東日本インカレ/全日本インカレのベスト4では初めて名前を聞いた。フライト等の都合か,表彰式には8人しかいなかった。


準優勝,悔しくないと言ったら嘘だろう。でも,シーズン前半の大会で好成績を残せたことの喜びと後半への希望が開けた,そんな表彰式だった。


閉会式後順番にオフィシャルの集合写真を撮っていたのだが,青学は,ちょうど主将が後ろでテレビ(かな?)取材を受けている間に撮影されてしまった。あれはない。ない。許すまじ某テレビ。主将本人以外誰も気づかなかったのか,それとも,チームは気づいていたものの時間がなくてよしとしたのか。後者に違いないとむりくり自分をなだめる。


f:id:cana:20190630165055j:plain
青学男子,表彰式の前。自由だ笑


諸々終わり撤収が始まったフロアの隅で,筑波男子が学生19人だけで円陣を組んで「桐の葉」を斉唱した。金メダルを首から提げ,がっしりと両の肩を組む。「醒めて立て男子ぞ我等」,高等師範学校から続く歌詞は現代の価値観と必ずしも合うものではないけれど,その誇らしい光景はとても眩しかった。


「波乱」と総括してしまいそうにはなるが,男子は終わってみれば関東が8強総取りだった。ここ数年,関東1部内の実力差はさほど大きくない(リーグ戦の前半終わって全勝/全敗が少ない)し1部2部の入れ替わりも頻繁だが,他3学連との差は広がっているように見える。


わたしがぼちぼちだいがくばれーなるものを見始めたころは,関東も東北もほぼ一強で,そのかわり,と言うべきではないが,インカレでベスト8に入ることもあった。今年の東日本インカレで見た3チーム(東海札幌,東北学院,仙台大)は,組合せの妙もあったとはいえ,関東1部を倒して上位に食い込むイメージがわきづらかった。もちろん,絶対はないけど。


学連内で拮抗せずに1チーム独占になるのは絶対違う(望ましくない)と思っている。関東に集まりすぎなのかどうかはわからない。自分は関東に住んでいて関東を贔屓しているので,良い選手を関東で見たいし,関東最強でいてほしい。ただ,去年の全日本インカレの福山平成大のような,嬉しいんだか悔しいんだか,いや,めっっちゃ悔しかったわ。という,学連同士のぶつかり合いの楽しさをもっと見られるともっと楽しいのになあとは,とくに東日本インカレにおいて感じるところではある。


「西日本5学連」は今年も「without関東学連」で開催されるのかな。東西対抗をやらなくなったから,関東選抜でチームを組むことがなくなった。関東の選手たちが関東としてまとまって戦うところも,観てみたいんだけどなあ。どうせ9学連にとって関東は邪魔者なんだろうとか関東はチーム側もそんなつもりはなさそう,なんて,ひねくれてしまう。年代別代表はコンセプトが違うのでまたぜんぜん別の話。


札幌は,気候も良く食べ物も美味しく,町中も公共交通機関も便利だけどごちゃごちゃはしていなくて,過ごしやすかった。札幌から梅雨まっただ中の蒸し暑い東京に帰ってきて,楽しみだった旅行と大会が終わってしまって,次は何を楽しみに日々を過ごせばいいのだろう。今大会では第1シードも第2シードも,見られなかった。そんなつもりじゃなかったからトーナメントの最初の方は他を見ようとしてしまう。彼らを次に見る機会が秋リーグと思うと気が遠くなる。でも,秋は早く来て欲しくはない。秋が来たら冬が来て冬が来たら終わってしまうから。

*1:自分調べで見直してもいないのでものすごく不正確。以下同。

*2:同じくTwitterアカウントによると,少なくとも東日本インカレの最高位はベスト8らしい。全カレはわからん。

*3:この日は濃い1日だったようだ。 http://cana.hatenablog.jp/entry/20170624/p1

東日本大学選手権・4日目(準決勝)

北海きたえーる


現在17時20分。晩ごはんの前にいちどホテルに戻ってきました。熱いうちに熱い物を。でも,30分もないので,順次書き足します中。


準決勝は11時半第1試合開始。女子がAコート,男子がCコートで各2試合。明日3位決定戦があるので今日いるチームは明日もいる。特設コート×4試合のほうが嬉しいんだけど。アナウンスとか呼び込みとか欲しいんだけど。

青山学院大学3-1中央大学(25-20 21-25 25-23 25-21)


青学:8望月 6中道 9中西 13小田島 18山田 1渡辺 L14長田


中大:16伊藤 15鍬田 8平井 11中野 2富田 4水野 L13土岐


セッター伊藤の挑戦。土曜日になったら人が増えるなんてことはなかった。


オーソドックスな組み立てになるのは仕方が無い。梅本がユニバ代表のため不在,というのも相まって,MBの打数は少なめだった。コンビバレーではなくていねいにトスを上げて,アタッカーの力量で勝負する,そういうスタイルを選択したものと思う。


たまに謎采配はあった。OPの中野が下がるときにリリーフサーバーで牧山を入れ,ワンブロで都築。牧山サーバーはまだわかる。中野は気持ち良いサーブを打つが,気持ち良くアウトにすることも多いので。でも,伊藤はこの試合中もブロックポイントが多く,前衛で穴になる身長でもなく,交代枠を2つ使ってしまう理由は,ちょっとわからなかった。


伊藤のセッターを良いとか悪いとか論じるのはなんか違う(けして悪いとか駄目とか言いたいわけではない)。とはいえ,バックアタックのアタックライン踏み越しや,被りぎみで打ったスパイクのスパイクアウトといった中大のエラーが青学を助けていたのも否めない。それらのスパイクフォルトの原因をトス帰するのは乱暴すぎるしそんなつもりもないけれど。少なくないサーブミスも,ワンプレーでブレイクできる機会を逃してしまうし,どうしても気持ちがずっこけがちになるし。


富田だしな。って,そんな富田が好きなんだけどさ。


ちゃんと観るのは初めてだった青学。MBの渡辺周馬は「ポジション渡辺」気味の選手で,安心感も安定感もある。対角の中西も渡辺に比べると目立たないが,良い左打ちのMB。


サイドは,大会中いろいろ出たり出なかったりだったようだが,今日は中道・山田の対角で小田島がOPだった。1年生の山田亜藍とリベロの長田が高川だったか。高川対決観たかった……じゃなくて。


レセプションの入り方やブロック・スパイクの入り方は,テンプレート通りではなく,状況に応じて色んな選手がいろんなポジションに入る。コートの中でそれを判断し指示を出していたのは中道のようだった。


上背もないし,アタック決定率のアベレージでも中大より下回っていそう(わからんけど)だけれど,素早い状況把握とその対応,そして望月の安定したトスとで試合を物にした。月並みすぎる表現だが,「全員バレー」。


春高のスター勢揃いという顔ぶれに印象操作されているのかもしれないが,高校っぽいな,という感覚は受けた。


試合展開としては,セットカウント1-1で迎えた第3セット,終盤までもつれ,どちらかというと中大がリードしていたのを,20点過ぎてから青学が追いつき,逆転で取った。これが大きかった。そのときの青学コートの喜びかた。第4セットもやはり終盤まで競っていたが,第3セットと同じく,中西のサーブのローテーションでブレイクを重ねて逆転した。


去年の冬の福山平成大学もそうだけど,トーナメントは短期決戦で勝ち上がれる夢がある。きっと筑波のアナリスト勢が丸裸にしてきただろうけど,さらにその上をいけると楽しいと思う。

明治大学2-3筑波大学(22-25 25-21 21-25 30-28 11-15)


明治:2鎌田 23安井 9池田 1小松 15三輪 13上林 L14瀧田/21鳴尾


筑波:20阿部 13吉田 14坂下 8小澤 25西川 27垂水 L12山口


最後は,体力だった,と,思う。いつもそう。主義として断乎として練習量とか言いたくないんだけど。でも,明治はおそらく体力の限界を超えていた。


明治は比較的トーナメントにはくじ運も含めて強いほうで,リーグ成績にかかわらずベスト4に入ることは多い。それなのに決勝戦が果てしなく遠い。2013年の優勝以来,東日本全カレいずれも,決勝戦から遠ざかっている。


いつもそう。バナナでも投げ入れたかった。いや,ここは羊羹と言うべきか。知り合いに試合前にはご飯が食べられない(食べないほうがいい)って人もいるしそれもわかるけど,こういうダブルヘッダありの連戦の大会での試合中の補食というか筋肉疲労の軽減って,どうすればいいんでしょうねえ。


ということを,準決勝敗退の度に書いてるような気がするのよねえ。


筑波はエバデダンが今大会ベンチアウトということに関係しているのか,それとも“MB1”*1等に挑戦でもしているのか,かなり変則的な布陣。この大会でいくつかバリエーションを試している様子だった。


準決勝第2試合,決戦の火蓋が切り落とされ,筑波のスターティング6は,吉田がMBに入り西川と対角を組む。小澤がOP。坂下・垂水のアウトサイド。の,フロントオーダー。リベロは両MBの後衛に入っていた。


観る者を混乱させるのみならずやる側も混乱する。自チームサーブのとき(つまり目玉通りに並ばないといけないとき)に一二度,坂下が小澤に「そっちじゃなくてそっち」と指示をしていた。


筑波は第1セットを取って,第2セットで大きく布陣を変えてきた。西川→阿部→小澤→坂下→吉田→垂水のサーブローテ。バックオーダー,小澤・垂水対角,坂下がMBで吉田がOP。


理解が及ばない。そして,それこそ(青学じゃないけれど),ポジション通りのセオリー固定の動きをするわけもない。前衛でのブロックシフト(誰がまんなかで跳ぶか),そのあとのスパイクの位置(誰がどこから打つか),レセプションの陣形(誰が取るか),そしてリベロの出入り(基本的に西川と小澤の後衛で,小澤のところは2ローテぶんだったか,吉田の後衛にも入っていたか)。当然「坂下がセンターだからセンターブロック」ってことでもないし,西川もサイドから打てるし,ローテーションはぐるぐる回るし試合はどんどん進む。把握しきれない。


把握しきれないうちに筑波がセットを落とし,第3セット以降は第1セットのかたちで固定された。しかし,第1セットのかたちでも変則であることに変わりはない。見ている側としては,ものすごく興味深くて面白かったけれど,そこだけ観ているわけもなく,関心の主眼は勝敗の行方で,ボールの動きから人の動きから得点経過からと観るべきところが多すぎて,本当に疲れた。


プレーするほうは頭だけでなく身体もフル回転で,明治は第4セットにはとっくに限界が来ていた。サイドアウト率の低い展開で,18-15と後半に3点差ついたときには3-1で終わるだろうという見立てもあった。


そこから明治がリリーフサーバーの千葉のサーブで崩して一気に追いつき,長いデュースの末フルセットにもつれ込んだ。セット終盤デュースになってからの明治の粘りは舌を巻かんばかりであったが,正味の部分では筑波のミスに因るところが大きく,5セット目に良い形で入れたのは筑波のほうだった。


明治がスタミナ切れで肩で息をし足が動かなくなっているときにも,筑波の運動量は落ちていなかったが,要所でスパイクアウトが連続して出てしまうのが,筑波の弱点と思う。なんとなく。一方の明治は池田が調子がよく,とくに崩すサーブが効いていた。攻撃は,困ったときのMB頼み傾向は変わらないのだが,安井三輪が良く決めていた。後半には繋ぎがうまくいかない感じになっていたが,それでもボールを繋いでリバウンドを取ってとハードに動こうとしていた。


面白い試合だった。すごく面白い試合だった。最終セットは気力で稼働している感じが否めなかったが,面白かった。タフな試合を筑波が制した。筑波の複雑極まりない選手起用をやり遂げ,戦い抜いたことも含め感嘆しかない。だいたい「かっこいい」しか言ってなかった。小澤もそうだし,西川もだし,そして,なんといっても垂水。垂水くんほんとにめちゃめちゃかっこよかった。


第5セットになってもまだ坂下に「そっちじゃなくてこっち」されてる小澤がおかしかった。大丈夫か。


筑波大も,シルバーコレクターになっていて,優勝からはしばらく遠ざかっている。青学との対戦,地力も選手層も筑波に分がある。ひとつタイトルを取って,今年後半に弾みをつけたい。

小学生バレーボール教室


試合後に,小学生チーム4チームぐらいのバレーボール教室をしていた。進行はたぶん道内の小学生組織(団体?)の指導者さんで,手慣れた仕切り。見本というか相手というかお手伝い係として,早稲田男子から3人と東海大女子から5人。


パスなどの基礎練の後,コートで大学生含めだいたい6:6ぐらいに分かれて10分ミニゲーム。女子は小学生用の低いネットだったけど,男子は243でやっていた。小学生男子は皆かがまずにネットの下をくぐれるサイズで,お手伝いメンズと並ぶとミニチュアサイズ。それでも,コートに入るとみんな楽しそうに銘々思い切りジャンプして白帯に触れようとしていて,微笑ましいやらかわいいやら。何がすごいって,自分と同じかそれよりも低い身長なのに白帯に届く選手が何人かいたこと。自分はどんなにがんばってもネット中段。そして,サーブ,前に出て打っていいよと言われていたけれどみんなエンドラインから打ち,そして相手コートに届く選手が何人もいた。さすが男子。


スパイクはだいたいネットにかけていた(のでほぼ試合の体は為していなかった)が,奥のチームは途中からセッターをレイモンドせんせいが担当することでトスが安定し,弓なりながらもネットをこえるスパイクも何本か出て,とにかく男子かわいい。つぎの北海道開催だとまだ早いかもしれないが,そのくらいのころには春高とかインターハイとかでこのコートで243のネットの上から打ってると考えると,趣深いものだった。


40分ぐらいのイベントは,試合観戦後のぐったりした気力の恢復にちょうど良く,きたえーるを引き上げた。明日は最終日。

*1:何年か前の女子代表のコンセプトワード

東日本大学選手権・3日目(3回戦・準々決勝)

北ガスアリーナ札幌46,北海きたえーる


東北学連からベスト16に残ったのが2チーム。東北学院はきのうちょっと観られたので,仙台大を観に第1試合は北ガスアリーナ札幌46へ。


タクシーに乗って「北ガスアリーナ」と言っても最初は通じなかった。「中央体育館ね」と言われて今度はこっちがあたふた。「あ,いえ,きたえーるじゃなくて……」「うんうん」。この4月にオープンしたばかりのぴかぴかの体育館。札幌市の中央体育館の場所が移転したうえで新築なり,ネーミングライツ北ガスアリーナ札幌46。ということのようだ。来季よりVリーグに参加するSafilva北海道のホームともきいた。名前の「46」は文字通り「北4東6」にあるから。場所は覚えやすいぞ。一帯は札幌駅東側の再開発地帯で,サッポロファクトリー(?)からペデストリアンデッキで繋がっている。


つまみ見していたので,出場選手は途中のセットだったりかなり適当。

3回戦:中央大学3-0仙台大学(25-21 25-19 25-16)


中央大:16伊藤 15鍬田 8平井 11中野 2富田 4水野 L13土岐


仙台大:18大関 6阪口 11岩崎 17千坂 1高橋 5十文字 L4飯田


長きに渡る堀籠政権が終わった仙台大。堀籠は餅っぽくないセッターだったが,今度のセッターはほんのり餅風味があった。見覚えがあるのはキャプテンの高橋と,十文字と,阪口,ぐらいかな,とか。阪口は北海道出身とのことで,阪口応援モードで観ていた。レシーバーに入っていた19鈴木がじょうずだった。


中大は,「え? (ごしごし)……え?」みたいなスタメン。いや,単にセッター伊藤に驚いただけなんだけど。スターティング6にセッターらしき選手がいなくて,中野と対角が伊藤で,え? ってなってたら,伊藤がセッターだった。第2セットの途中まで。


山岸はベンチにもいなくて,途中から出たのは牧山。第2セット後のセット間に伊藤がぴょんぴょんするから,第3セットはセッター伊藤に戻るかと思いきや今度はOP伊藤でセッターは牧山だった。


去年の東日本インカレ(もしくは全日本インカレ)でも,なんか,こんな感じじゃなかったっけ。中大なんなの面白い。大型セッター過ぎて隣の水野よりも大きかった。


夜にその話をしたら「平日だから授業があったんじゃない?」と言われた。実際のところはさておき,なるほど非競技スポーツ系専攻の場合そういう可能性もあるのか,と気づく。


仙台大もわりと大きい(ごつい)ほうだと思うのだけれど,中大がでかい。牧山も大きいし。仙台大は楽しげなチームで,コート内で選手がいちゃこらしていて,体育館は明るいし選手は楽しそうだし,北海道までやっぱり総出で来ててすごいなって思ったけど,そうは言っても試合のほうは,中大つええな,という感じにはなってしまった。


試合終了後ほどなくして,早稲田-青学戦が青学のストレート勝利と知る。しばらく呆然と駒澤-日大のアップを眺め,いかんいかんと頭を打ち振るって,きたえーるへ移動した。

3回戦:日本体育大学3-1順天堂大学(25-18 20-25 25-18 25-20)


日体大:26藤巻 13西村 鬼木(19山本) 9藤原 11高橋 28川口 L16小川


順天堂:11森垣 20松下 3森田 19岡本 24亀山(14鳥原) 2中村 L22高橋


きのう美香保でちら観していた2チームの対戦。着いたのは2セット目が始まったところだった。きたえーるのサブアリーナは観覧エリアがなく,フロアの両エンドに一列ずつパイプ椅子がこしらえられていた。Vリーグ規定なら柵の内側なんじゃないかぐらいの至近距離(そんなわけはないだろうけど)。フロアの入り口が1か所で,手前コートの女子のアップゾーンのすぐ後ろという,なかなか勇気の要る環境だった。前回もきたえーるサブで観たのだがそのときの記憶は一切なくて,こんなだったかなあ,と思いつつ。


「もうちょっと,なんとか,さあ」などと歯がゆくなりながら観ていた。これだけ近いとスタンドからは観られない(聞こえない)あれこれが見えたり聞こえたりして興味深い。


日体大の仲本と西がエンドラインセンターでスタッフをやっていて,「B(パス)でいいぞー」とか言ってる。


逆に近すぎてどっちがどうとかわからないぐらいだったけど,日体大が1枚でキルブロックを決めることが多かった印象で,やきもきはやきもき。途中で亀山を下げて鳥原を入れて,そこか? いや,でも,そこしかないのか,などと言っていた。


順大の小野とショーンがいない理由も聞いて,そうか,そりゃ仕方ないな,と。仕方ないは「出られないのは仕方ない」の意味です。

準々決勝:筑波大学3-0東京学芸大学


筑波:11高橋 13吉田 27垂水 25西川 20阿部 14坂下 L12山口


学芸:28荒井 20村田 16小松 19小野 17村岡 1内田 L2瀬戸山


昼ご飯食べがてら,メインアリーナの様子を30分少々。こちらは1セットにも満たないぐらいしか観ていないのだが,筑波ストレート勝ちときいた。


前日東海大を下した学芸ちゃんに対して「それなら分かってるだろうな,おい」という気持ちもなかったとは言わないので,観てないなりに残念。


でも,月並みだけど,秋楽しみです。内田と瀬戸山がコートにいるのも,なんとなく安心するしうれしいし。


MBの村田は,初めて見た,かな。左打だった。左打MBスキーとしては気になる存在。でも荒木田(左打)も好き。


筑波は,小澤が(ベンチ入りはしてるけど)出てなくて,小澤のところ(ポジション5)が垂水。MB高橋瑞穂の対角が西川で,19春高勝戦的においしい。垂水・坂下の組合せは春リーグでも緊急避難的に観たけれど,垂水は小澤とはまたタイプが違うと思うので,今日の試合を見た感じでは坂下の役割が違う感じがするのが面白かった。


さて,でも,いないわけじゃないわけで。

準々決勝:青山学院大学3-1専修大学


青学:8望月 6中道 9中西 13小田島 18山田 1渡辺 L14長田


専修:14久保下 16中村啓*1 3谷 10久保 9東 1柏田 L20大林


2部みのある緑対決。第1セット,トランジションアタックが久保に上がるのに久保がタイミング合わなくてパスで返す,というのが2回ぐらいあって,おいおい大丈夫かよ,とおもっていた。とはいえ青学も中盤のリードを追いつかれたり第2セットは逆転されたりと,早稲田ぶっ潰してのし上がってきました,というほどの勢いは(すっごく遠くから観る分には)感じない。ただ,変な言い方だけど「普通に強い」チームだった。MBが良いし,よく拾う。専修もMBは良いと思ってるんだけどそれ以上。ワンチによくかけていた。ちゃんと自分たちの得意な形にして自分たちがやりたい試合運びができてるのかな,という感じ。


ストレート決着するなら観ていようか,しかしもつれる方がおもしろいか,などと外野の気ままさだったが,第3セットは専修が調子を上げて長くなりそうな気配が漂い始め,サブの準々決勝の進行も気になるのでサブに戻った。

準々決勝:明治大学3-1日本体育大学(23-25 25-17 25-17 25-22)


日体大:26藤巻 13西村 29鬼木(19山本) 9藤原 11高橋 28川口 L12市川/16小川


明治大:13上林 2鎌田 23安井 9池田 1小松 15三輪 L21鳴尾/14瀧田


女子の筑波嘉悦というなにやら恐ろしそうというかサブでやるのがもったいなすぎる試合をくぐり抜けて男子コートにたどり着いたのは,第1セットを日体大が取って第2セット,の,途中ぐらいだった。


第1セットは観ていないのでなんとも言えないのだが第2セット以降の明治はめちゃめちゃ生き生きしていた。自分は好意的に明治のことを見ているので楽しそうで微笑ましいと感じるけれど,そうじゃなかったらすんごいむかつきそう。


一方の日体大は状況を打開しようと懸命で,胸を打たれる。


1年生セッターくんは良い意味で目立たない良いセッターだった。先輩たちが構って,頭ぽんして,めっちゃ緊張してるのはびしびし伝わってきたけど,その目はきらきらしてた。


途中から山本くんが入ってファーストタッチが1枚ブロック。アップゾーンから「しょうやー(ひゅぅひゅぅ)」みたいになってて,本人もすっごい笑ってて。


西村も高橋も巧いのがすごい分かって。


距離の近さは絶対正義。いや,ほんとに。


長く試合を観ていたいからフルセットになればいいのにと外野のお気楽さで思っていたけれど,そうはならなかった。4年生抜きで戦った日体大はまた秋に二回りぐらい強くなって戻ってくると思う。


そして,じぶんちのホームかのようにくつろいでいた明治ちゃんたちは,明日が初めてのきたえーるメインでの試合になる。ぜんぜん雰囲気が違うだだっぴろい中に放り込まれるのはちょっと気がかりだが,壁によじ登って遊んだりスクリーンで調子こいたりしてておくれ。

*1:最初は19藤中だったかもしれないが背番号が観づらい専修緑。

東日本大学選手権・2日目

@札幌市美香保体育館

2012年以来の北海道開催。美香保を訪れるのも7年ぶり。今年は1日目にグループ戦が行われ,38チームが決勝トーナメントに進んだ。2日目の今日はトーナメント1回戦(があるチームは少ない)・2回戦。今日を終えて,残っているのは16チーム。


グループ戦は3セットマッチ。4チーム1グループが基本で,1勝すればトーナメント進出,負けたチーム同士で敗者復活という方式。3チームのグループは総当たりで上位2チームが進出だったようす。トーナメントの割り当ては再抽選ではなく,グループと勝ち抜け順位によってあらかじめ枠が決まっていた。グループ1位と2位は,厳密には順位ではなく,グループ内の上2つでの勝者が1位,下2つでの勝者が2位,敗者復活で勝ったチームが3位。ここ,テストに出ます。嘘です。


東日本インカレでは実施されないことも多いグループ戦は楽しそうだったが,3日連続して休む思い切りがなかった。そして,前日移動ではなく今朝の移動。あまりに早い便もしんどいので9時半千歳着予定。トーナメント戦は5セットマッチだが,10時開始の第1試合を観るのは望み薄な計算だった。


1日目と2日目は男子が5会場に分散。市内にそこそこの規模の体育館が数多くあるのは羨ましいが,1コートあたり2試合乃至3試合しか行われない。ほんとはそんなにのんびり移動している場合ではなかった。要項や大会日程は早めに確認しておこう。


さらに,飛行機が出発時点で20分遅れ,飛行中にさらに10分遅れ,空港の駐機場に着いたのが10時。とほほ。急ぎ足で快速エアポートに乗り,まずは札幌駅を目指す。


選択肢は,きたえーる(メイン2,サブ1),北ガスアリーナ(1),美香保(3),白石区(1)。ハシゴもできなくはないが覚悟が必要。


悩まないわけはないが,最終的には,札幌校舎をメインターゲットに据えて美香保に決める。腹を括るしかない。第1試合も急げば少しは観られそうな流れで,公共交通の便が悪い立地なので,札幌駅からタクシーを利用した。1300円程度。


何時に着いたか忘れたが,Jコートは第2試合のアップ中,KコートとLコートが第4セット途中だった。


学連の試合結果のページ : http://volleyball-u.jp/tournament/eic/2147

J1 専修大学3-0福島大学


着いたときにはすでにかげもなく。

K1 東海大学札幌校舎3-1桜美林大学


地元ゆえ,スタンドではお身内が盛り上がっていた。最後,24-19からローテーションの確認が入り,ローテーションミスで23-20に戻る。中断は長かったが,東海が押し切った。

L1 国際武道大学1-3立教大学


関東2部同士の対戦,第4セットは接戦のままセット終盤。フルセットになるかも,という雰囲気だったが,最後ばたばたっと立教が得点して試合終了となった。最後はサービスエースじゃなかったかな。


立教のセッターは,この春の日立明定期戦で観てちょっと気になっていたのでフムフムと思ったが,自分がいたところからコートまでが遠くてあまり観られなかった。


武大・立教で立教が勝つ時代か,という

J2 東北学院大学3-0東京農業大学(27-25 25-22 25-8)


東北学院:17鷲尾 2高城 14鈴木(12菊池) 13小林 3高橋直 1高橋怜 L5浅野


東京農大:7掬川 3鳥本 2鈴木 9笠岡 4大川 1東 L8根岸


スタンドに農大応援の親御さんらしき一群。同年配の男子も混じっている。不思議に思っていたが,3鳥本が北海道出身だそうで,それつながりだったようだ。第1セット,農大ビハインドから追いつきデュースになった場面はものすごく盛り上がっていた。


その後は東北学院が盤石に試合を進め,第3セットには大差がついた。鳥本本人もスタンドの皆様もたいへん愉快で,東日本インカレならではの楽しさがあった。


Jコート(トーナメント表の左上の内側)は2試合で終了。明日はきたえーるメイン。

K2 中央学院大学3-2平成国際大学


平国:29南谷 18関場 33北島 42谷地 3五十嵐 31山崎 L25野ヶ山


中院:31小倉 20梅村 40山口 35余 29田中 10石黒 L14新開


こちらも関東2部同士の対戦。関東でやれ案件。久しぶりに中央学院を観たが,すごく中院だった。背番号が大きい選手がたくさん出ていることとか,ぐわー・どっかーん,みたいな感じとか。29田中(サイド)が,とりわけ目立つというほどではないのだが地味によく動き,時折バックアタックやブロードっぽい移動攻撃も見せ,誰か(現ヴェルディの澤)を彷彿とさせた。


平成国際は去年も見たような気がする。ユニフォームが変わって違和感があるな,と感じた,という記憶だけがうっすら(墨田あたりで)。3部に落ちて2部に復帰だったか。顔ぶれもかなり変わっていた。


同一リーグで馴染みがあるゆえかそれゆえなのか,どちらのチームも,楽しそうというかのびのびというか生き生きというか意地が見えるというか,よくわからんが,熱い試合だった。


最終セットはじわじわ中院。


ただしこのころ,遠いきたえーるの展開が気になって気もそぞろになっていた。

L2 産業能率大学0-3順天堂大学(20-25 10-25 20-25)


産能大:8新谷 12渡辺 1井澤 3音川 4佐藤大 7武田 L2佐藤海


順天堂:11森垣 24亀山 3森田 19岡本 20松下 2中村 L22高橋


ざっと見る限り,小野もショーンもベンチにいなかった(見えてないだけかもしれない。パンフに名前はあった)。


関東でや……れないかんじのカードなので順大は途中から1年生の26金澤が出てた。

K3 明治大学3-0東海大学札幌校舎(25-15 25-21 25-19)


明治大:2鎌田 23安井 9池田 1小松 15三輪 13上林 L14瀧田/21鳴尾


札東海:13今野 1阿部 7田辺 12鈴木 2高橋(20工藤) 9丹羽 L10伊庭


教育実習等で4年生が抜けがちなこの大会。加えて,今年はユニバーシアード大会の会期が早く,ユニバ代表は合宿中で不参可。よって春の顔ぶれや成績を前提とした予想は難しい。


という中で,明治は,春のスタメンでガチガチに固めてきた。全員いる。体育の先生になる学部じゃないからな。


東海(以下札幌校舎の意)も,あまり引きがよろしくない。おもに会場的な意味で。春は得点率差で北翔をかわして1位だったと聞くが,きのうのグループ戦は,青学にストレート負け,山形大との敗者復活戦フルセット勝ちで3位通過,抜けた先にいるのが,明治。7年前の北海道開催時は駒澤に勝って中大に負けた。駒(当時2部)に勝ったのは快挙と沸いたが,会場がきたえーるサブ。今回は美香保。


明治との対戦は2017東日本インカレ以来で,ということは当時のメンバも双方何人かはいるのだろうが,観ていたほうはそんなことはすっかり忘れていた。東海は戸田・柳町が卒業し,阿部がキャプテン。阿部も藤村も4年生で,長きにわたる阿部藤村政権も今年で最後のようである。セッターもかわった,かな。田辺と阿部とリベロの伊庭ぐらいしかわかる選手がいなかった。


新チームということもあり,フルメンバーの明治相手にはちょっとしんどいかな,という印象を受けた。くやしい。桜美林戦ではたいへん熱気のあった観客席のスタンドも,桜美林戦に比べると少し静かだったように見えた。こういう試合をどう応援するかというのは,難しいのかもしれない。コートの中は,それなりに目標を持ってできると思うのだけれど。


第1セットの立ち上がりは明治もぐだぐだしていて,例によって例の如くな感じだしMBもあまり使えていなかった。でも東海もサーブミスやらなにやらでお付き合い。伊庭が強打をディグする場面も多くラリーが続いて盛り上がったが,リードを奪うには至らない。そうしてセット半ばに入り,明治上林サーブのローテーションで,明治が7連続得点ぐらいして,そこで,全体的に東海がついていけなくなった感じはあった。第2セットから工藤を入れて仕切り直し,東海の形はかなり良くなったように見えたが,明治のアップが終了してしまったので……。大差がつくほどではないものの,ラリーが続いても最後はブロックの上を通る高さからたたき付けられる。明治けっこう粘れる子たちなので,粘り勝ちしづらい。あと,ブロックいやがってアウトになっちゃうとか。


近くにいた若い男子勢は,三輪のプレーに唸っていた。個人的には,池田ちゃんがまあまあ良かった。


とはいえ,これでは明日はしんどいんじゃないかね,という気持ちで観てもいたのだが。


明治は第2セット後半ちまっとメンバーチェンジ。中盤に鎌田にかえて古坂が入った。そのあと池田→米山。でも次のセットスタートではメンバーを戻していた。


第3セット12-8から明治池田のサーブが続く。その間東海が2回タイムアウトを使い切り,2度目のタイムアウト(16-8)あけに,SRの二枚替えで鈴木と米山が入った。ほどなくして,小松にかえて松本。MBのピンサもあってわちゃわちゃしていたせいで,安井が前衛に上がってくるときに6枠使い切って戻れないのではないか疑惑がわいた。


ただ,きたえーるの経過が気になって,そして結果がしんどくて,途中から目の前の試合がおろそかになっていた。


L3 日本体育大学3-0立教大学


日体大:26藤巻 13西村 29鬼木 9藤原 11高橋 28川口 L16小川


立教大:11星倉 5本澤 12矢野 19濱野 1羽田 13井原 L9中嶌


あまり観てない。セッター1年生26番。西村がキャプテンマーク。パンフの登録上は仲本がキャプテンだけど,いなかった。河東も道井もいなかった。とおもう。春にだいたいOPやってた高橋がサイドで,藤原がOP。西村負傷離脱後寄りの感じ。


西村のキャプテンマークは急造だったようだが,まあ,似合うよね。そして,足ぐるぐる松葉杖姿だった流山から2か月,躍動する姿が観られてよかった。パイプがすごい格好良かった。

よその会場というか


明治-東海札幌の試合終了後,整列,が終わるや否や,明治の誰か(見当はついている)がけっこうでっかい声で言った。「え,東海負けたの? 学芸にさんいち?」


ええ,そうなんです。そうだったんです。あちらが始まったころから,ずっとのぼせてるような胃が痛いような,なんだか身体の具合がおかしかった(それはきっと睡眠時間4時間のせい)。


春リーグ1敗で2位,第2シードの東海大(平塚のほう)が,木曜日に負けた。その情報は驚きを持って美香保体育館を伝わった。次第にスタンドにもざわざわと広がっていく。「東海,負けたんだって」。


相手は東京学芸。学芸がグループ戦3位通過だった。学芸はグループ戦初戦の相手が日体大,そこに負けた時点で「3位」になってしまう。同グループの2位(扱い)は亜細亜だった。


そりゃ確かに学芸は春11位だったけど,内容と結果がリンクしていない感じもあったし,後半は4年生も試合に出るようになっていた。一方の東海大は,確かに勝ってはいたのだが,学芸とは裏返しの意味で,試合内容や試合運びは必ずしも盤石には見えなかった。


だから,「東海が負けた」のはたしかにものすごくショックなのだが,このカードならありうると思っていた。あとで頼まれて近々の対戦成績を調べたところ,17年も18年も春リーグは学芸が勝っていた。その前の勝利は14年まで遡ったが,学芸にとってはけして東海大は相性が悪い相手ではないし,東海大にとって学芸は双方の平均的な順位のわりにはあまり相性がよくない。


今回そこがそういうカードになった。のはわかっていて,それでも,と,美香保に行くことにした。分身の術は使えない。関東はいつでも観られる,ということにしたのだ。とはいえ,次は秋リーグかよ,という……まだ信じられない。自分で観ていないのでよけいに。


試合を観ていた人によると,学芸うぇーい,だったそうだ。悪い意味での譲り合いの結果でなくて学芸がうぇーいだったのなら何よりだ。そうだよ思い出してきたよ。このカードってそういう展開じゃないか,いつも。


ていうか,日体に勝っとけよ(いろんな方面に八つ当たり)。相手が日体大だったら東海大が勝てたとかそんなつもりでは断じてない。しかし,だれそれがいないの話はしても意味が無いしあまりしたくないし相手が相手だからの今日の日体だったかもしれないけど,仲本いない河東いない道井いないセッターは1年生,西もいない(MBはいつもの1年コンビから第3セット山本)。OP藤原,サイドが西村高橋,リベロは小川通し。


やってみなきゃわかんないけど,でもさああああああああああああ,いや,やめよう。

電話機を買い換えた話

うちに来たことのある人は知っているが,我が家の固定電話の端末(つまり電話機)は,長らく,長辺30cmほどの家庭用FAX(電話機能あり)だった。最大A4サイズ対応モノクロインクリボン式の普通紙FAXである。2000年に東京に越してきたときに買ったものだから*1,かれこれ20年選手になる。前世紀の遺物。


買った当時は,まだ,「いえでん」という言葉もなかったような気がする。携帯電話は一通り普及し,一人暮らしを始める若者が固定電話を契約しないケースが珍しくなくなりかけていたが,まだまだ,電話と言えば固定電話を指すもので,固定電話は「あって当たり前」だった,と記憶している。


それに,自分はすでに電話回線を持っていた。遡ることわずか4年か5年かそこらだが,自分が大学進学を機に一人暮らしを始めた頃は,まだ,独居にあたって固定電話を引くケースがほぼ100%だった(どうでもいいけど,契約したときはまだまだ新規回線が高かった)。携帯電話は持っている学生のほうが圧倒的に少なかった。「携帯だけ」という選択肢の学生も,いるにはいた。が,ものすごく珍しかった。大学の4年のうちにPHSが爆発的に普及し,速やかに携帯電話に移行していった。


家庭用FAXがすごく普及していた時代でもあった。まだ,インターネットとEメール(死語ですな)はさほど身近でなく,家庭レベルでは常時接続でもなかった。ゆえに文字や絵の情報を送るにはFAXしかなかった。イタ電ならぬイタFAX,してましたねえ。懐かしいな。記憶にないが,学生時代は感熱紙FAXを使っていたと推測される。感熱紙のくるくるが嫌だった。だから,普通紙FAXに拘って,今のを買ったはずなので。


買い換えるときにFAX機能をつけるかどうかで少し悩んだのを覚えている。電話だけなら小さいのが出ていたが,FAX機能をつけると紙のぶんしっかり場所を取る。ADSLになっていたかどうか忘れたが,少なくともてれほとかそういう時代ではなくなっていたはずで,友人とのやりとりはメール(パソコンのだよ)が中心になっていた。


だけど,ないのもちょっと,と思ったのだ。なんでか忘れたけど。なんだかんだで,当時はFAXの用途はそこそこあった。何かへの応募や申し込み,注文。ある機能をなくすのは勇気が要る。それにパソコンはあるけどプリンタは持ってこなかったので,プリンタとしても必要だと考えたような記憶がある。


結局,あまり使わないだろう予想のほうがあたって,用紙は最初に買った一束が半分も減っていないしプリント機能も使った記憶が無い。用紙の使途でいちばん多いのは間違いFAXの受信かもしれない。それでも,頻度は少ないながらも,「あってよかった」「あると便利」と思ったことは,1度や2度ではなかったはずだ。とくに初期は。


とはいえ,年を減るごとに,ほんとうに全く,ぜんぜん,使わなくなってきた。FAX機能はもちろん,固定電話そのものも。今でも,それらしい書類に記載する自宅電話番号は固定電話のものにしているのだが,買い物(取り寄せとか)などで連絡先を求められたときは携帯電話の番号を書くことのほうがふつうになった(以前は携帯の番号をあまりあちこちに書きたくなかった。)。だから,留守電にたまに入っているのは自動応答の世論調査か無言の「つー,つー,つー」のみである。


固定電話の継続自体が不要という考えもあろうが,公に近い書類はすべて固定電話の番号なので,なくすのは難儀である。まさに,FAX使わなさそうだけどFAX機を買ったのと同じメンタルである。そして,使わないから古くても不便もないわけで,3年前の引っ越し時,明らかに新居に不釣り合いな古い端末を,そのまんま持ってきた。引っ越しでほかに買うものが多々あるなかで,優先度が著しく低いものを買い換えるのが億劫だったのだ。


それこそうちに来たことのある人は知っているだろう。家具一式新調してそこそここざっぱりしたインテリアのリビングに鎮座する,15年以上を経てなんとも言えない風合いに変色した前世紀デザインの家庭用FAX機。そこだけ異質に目立つ。しかもでかい。


まあそのうち,と放置していつしか3年。こざっぱりしていたリビングも次第にがちゃついてきた。「新居」感が低減するにつれ,つい物を置きたくなってしまう性分が,家をきれいに保ちたい気持ちを上回る。卓上カレンダー,ノベルティの小さなグッズ,観戦の勢いで買ってしまう背番号グッズ,サイン入りカラーボール,頂き物のトレカ,ショップカードがわりのはがき,バースデーカード,ぬいぐるみ,観葉植物,写真……


机上に平面展開しているので格好がつかない。壁に棚(無印良品の箱っぽいやつか,長押っぽいやつか,棚か,今でも考えてはいる)をつけたい気持ちはあるものの,地震が怖いし,穴をあける抵抗もある。


という不平を度々繰り返していたので,聞き飽きたと思われる。そりゃうんざりもするだろう。出張でこちらに来ていた夫が言った。「このFAXをどけて小さい電話だけにしたら少しはすっきりするんじゃない?」。この土曜日のことである。


FAX一台なくしたぐらいですっきりするかどうかはともかく,FAXが美観を損ねているのは間違いない。もう潮時だろう。通販サイトでいくつか端末を見て,現物を見ないと気が済まないとわたしが主張するので,日曜日夫の仕事終わりに一緒に大型家電量販店に行って,新しい電話を買った。充電用の台座約8cm四方,本体幅約5cm高さ約20cm。ストレートタイプの携帯電話とその充電器,ぐらいのコンパクトさである。でんわのでんわ部分(キャッチというかそういうの)は別になっているので,別のところに隠し置いた。


机がめちゃめちゃ広くなった。


古いFAXをどうしたのか訊いたら,納戸に入れたそうな。30cmを微妙にこえているので,不燃で回収してもらえず粗大ゴミになる。日曜日はぶっ通しで働いてかなり疲れたと言っていたのに,設置までしてくれて,ほんとうにありがたい。から,これ以上の贅沢は言わない。でもずっと納戸にあったら,きっとわたしは文句を言うんだろうな。身勝手だな。自分で出せばいいのにな。


要するに惚気なんだけど,そんなわけで,机が広くなったので空いたスペースを利用して小洒落たデスクライトを設置して,今よりもう少しでもパソコンと仲良い生活を送りたい。


4年目。いやしかしほんとに,ディスプレイの方法もどうにかしないと。

*1:という前提で書き始めたのだが,自信がなくなってきた。

FIVBバレーボールネーションズリーグ男子東京大会

6/8,6/9 @武蔵野の森総合スポーツセンター


前身の「ワールドリーグ(WL)」時代を含めても,この男子大会の生観戦は今回が初めてでした。


女子は,8年ぐらい前に代々木第一体育館で当時のワールドグランプリ(WGP)を観た記憶がかすかにある。照明が明るくて視界が白くて眩しかった。そしてオランダのオレンジ色だった。そんなおぼろげすぎる記憶。8年ぐらい前というのは「ずいぶん前で覚えていない」程度の意味で,東日本大震災のその年だった,ということではない。けど,女子のWGPを観に行くってそういう,なにか,いつもと違うことがあった年じゃないかとも。


ともあれ。男子のネーションズリーグ(以下VNL)は2週目。1週目はテレビのダイジェストでちらっとだけ観ただけ,金曜日は仕事でぜんぜんだったので,なんの事前準備もなく予習もなく,飛田給に乗り込んだ。もたもたしていたので,ちょうど第1試合のアルゼンチン対イランのホイッスルが鳴ったころに,会場に到着した。第1試合は1510試合開始。


プレーが始まってもスタンドは暗く,コートだけが明るく照らされている。そして色とりどりの光線が時折行き交う。試合前の演出のようなそれが試合中も続く。1ラリー(ボールデッド)ごとに,新旧とりまぜた音楽が流れ,DJが時折煽る。音楽も光の演出もサーブのホイッスルが鳴っても止まない(ボールに触るころには止む)。


しばらく,4階の隅からのその光景に身体が慣れなかった。目がうるさい。耳もうるさい。まったく落ち着かなくて試合が頭に入ってこない。第1セットが終わったところで3階のスタンド指定席エリアに移動したところ(第1試合はアリーナ/スタンドのエリア内自由席だった)自席もそこそこの光量があるおかげか距離の近さゆえか,ようやく,ほんの少しだけ,息ができた。でも試合が終わるまでずっと上の空だった気がする。


国際大会だから場内アナウンスもMCも,英語→日本語の順。DJはオーストラリア人(たしか)と日本人のコンビ。第2試合の試合前のMC挨拶の様子では,場内演出も主催のFIVBによるもののようだった。たしかにVリーグともJVA主管の国内大会とも違っていたし,今まで観たことのある国際大会(つまり,オリンピック予選)とも趣が異なっていた。これはこれで,国や大陸をまたいだ,FIVBによる大きな興行なのだと感じた。(そうはいっても,場内の表示や掲示,物販等は日本独自のもののようだった。それに,手荷物検査もボディチェックもない)。


自分自身はこの大会との縁はたいへん薄い。ワールドカップをきっかけにバレーボールを観るようになったわりにすぐに興味の対象がVリーグにうつってしまい,代表戦への関心が持続しなかった。代表カレンダーでは6月からシーズンインだが,わたしにとっては黒鷲旗が終わると次の冬まで長いオフシーズン(プロ野球シーズンの本格化)である。今みたいにインターネットで公式にライブ配信される時代でもなく,情報を得たり観たりする手段も興味のある人に限られていた。WL終盤には公式チャンネルで動画が観られるようになり,ようやく,タイミングがあったときにリーグ終盤の上位国同士の対戦などをちょろちょろ観るというスタイルになっていた。


公式の動画配信はVNLになって有料化した。2000円ぐらいでライブで全試合観られるので状況は良くなってるんだろうけど,手続の一手間が障壁になって,今のところポチれていない。


だいたい日本の深夜に試合が行われるので,興味関心を持って大会を追うことが難しいのが正直なところ。それに如何せん日本が弱いので,「弱いって辛い」な話ばかり漏れ聞こえてくる。WL末期には来季は出られなさそうとか救済措置でやっぱり出られるようになったとか,他のチームが別の理由で落ちたために繰り上がって出られるようになったとか,参加チームが増えたかわりに2部(3部?)制にになって,日本はトップクラスのチームとは対戦機会が無いとか,毎年そんな感じだった。よくわかんないけど。


そして,日本のホームの試合も,たいていどこか遠い大きな体育館で開催され,1試合だけ(?)なのにチケット代は国際大会価格でべらぼうにお高い(らしい)という,自分にとっては身近に感じられないものだった。


というのが例年のならい。今年は場所が飛田給,日程も週末。俄に現実味を帯びてきたところに,参集するのはアルゼンチンにイランにブラジルとなかなか魅力的な顔ぶれ。それでもまだ自分ごととは思っていなかったのだけれど,大変ありがたいことに,一緒にどうでしょうとお誘いをいただいた。この上なくありがたいことである。


例年この週末はデートなので,お誘いをいただいた旨のうかがいを立てたところ,どうぞ行って楽しんでおいで,と快く送り出してくれた。


序盤に書いたようにしばらく慣れなくて落ちつかなかったし,帰宅直後は目と耳が疲れて(腰も疲れて)かなりぐったりしていたのだが,2日目(大会3日目)の日曜日には演出にも慣れて,大会を大いに楽しめた。


土曜日の日本戦ではメンバーを落としていた(という書き方が適当かわからないが,自分が名前を知っている選手が軒並みベンチでコート内は「若手」主体だった)ブラジルが,日曜のアルゼンチン戦では,わたしでさえ知ってる選手がもりもり出てきて楽しかったし,フルセットになったのもよろしかった。途中ブラジルがちょとだれてるのかな,という感じも受けたのだが,アルゼンチンはアルゼンチンでコンテ様がコンテ様だったし。


アルゼンチンはメンバーが大きく替わっている印象を受けた。たぶん単純に何年も観ていないだけだろうが。ブラジルもブルーノが登録外だったので,セッターが若い。若いし185cmと低いけれど,うまかった。それに比べると,「イランのセッターってマルーフしか知らないっていうぐらいずっとマルーフ」なマルーフがいたイランは「いつめん」感はあった。それでも日曜の日本戦ではOPにガフールではなくヤリを起用し,前日最後にちょと足をひねってたっぽかった(記憶違いかもしれない)ムーサビ(シャツネーム的にはセイエド)も出場せず。


日本を応援していないかというとそうでもないし,日本代表にも日本国内チーム所属でない選手がいるのでその選手を観られる貴重な機会でもあるのだけれども,でもまあ,ブラジル楽しかったね,うまかったね,というね……それを観に行ってるようなものなので,その点ではたいへん満足。スタンドの遠いところからだったけど,レアルもルカレッリもほんとにかっこよかった。日本戦で出てたOPもかっこよかった。イランも,ガエミたんはアップゾーンでフリーダムなやんちゃベテランになってたけど,サイドで出てた7番の選手(人の名前を覚えられなくなってしまった)がたいへん素敵だったので楽しい。


だれも利き手と逆の手で打ったりしないしダブルコンタクトが頻発したりもしない。とかいう冗談はさておき。単純に,スゴイ人たちのスゴイプレーを観てスゴイスゴイって言いながら楽しむ,という,スポーツ観戦のほんわりライトな,でも,ほんわりとコアな部分を改めて感じた2日間だった。近隣住民招待券のおかげなのかなんなのか客入りも上々で客層もいろいろで,ほどほどに演出にのってほどほどに騒いで。勝てるわけないと思ってるので気楽でもあり。そこは「オリンピック出場がかかった負けられない戦い」みたいなんと違う,VNLの良さかな,とは。いや,あんまり負けてると良くないのかもしれないのですがそのへんはわからん。


ブラジルにもイランにもストレート負けで,得点も同じぐらいだったのだけれど,内容はブラジル戦のほうが良かったかな。イラン戦はどうもぴりっとしなかった。ひとつひとつみればいいところもあったけれど,プレーもベンチワークも今ひとつ。ブロックがねー……マルーフがうまいのか,そうなのか。身長(だけ)じゃないよねー……


大昔(5年ぐらい前)に「石川が守備よりのサイドができるぐらいになったら強くなるかな」と言っていたんだけど,ポジション2で出てたのを観ても,どうもしっくりと来ている感じはなかったような。さて……

團菊祭五月大歌舞伎(幕見)

歌舞伎座


五月恒例の團菊祭。今年は,尾上丑之助の初舞台。そのほかも若い(幼い)役者が出演し,自分と同世代が活躍する。新元号新時代の息吹を感じるものだった。


目下いちばんの贔屓役者(?)である坂東亀三郎は昼の部,初舞台の丑之助は夜の部。この日に行くのは決めていたが,さて困ったどうしよう,なんて迷ってチケットを買いあぐねてもたもたしていたら,数日前の時点で昼の部が売り切れてしまっていた。この日にしか行けないのに。


たまたま出張で来ていた夫が昼前から仕事だったので,朝一緒に家を出ればさほど遅くない時間に東銀座に着ける。出たとこ勝負で幕見に賭けることにした。


10時15分ごろに着いたかな。けっこうな行列で,一幕目の対面と二幕目の勧進帳まではすでに立見。いちばんの目当ての三幕目「め組の喧嘩」はまだ席があった。混むだろう勧進帳だけパスする予定だったのだが,二幕目を飛ばして1と3を同時に買うことはできない(一幕目が終わったあとでいったん外に出て買い直さねばならない)と言われたので,昼の部三幕通しで買うことに。


歌舞伎座の幕見は熟練のスタッフさんたちが見事な腕前で裁いていく。独特の方式に最初は戸惑うものの,係員の指示に身を任せればスムーズにことが運ぶし,存外悪いものではない。金はないが並ぶ時間はある,全演目観る(時間/金銭/興味関心の)余裕はない,劇場の雰囲気は要らない(諦める)が芝居は観たい,という層にはうってつけである。あと,前売り買いそびれた勢にも。四階席の天井桟敷売店もない(1階売店の利用も不可)が,筋書(およびオペラグラス)の販売と,イヤホンガイドと字幕ガイドと飲み物の自販機とトイレはある。イヤホンガイドは500円で下より安い。一幕分と考えると安くないのだが,一台で昼/夜の間は通して使える。


チケットは基本的に一幕ずつ,各幕の30分ぐらい前から販売するのだが,続けて観る場合に限り,昼/夜の中であれば,自分が観る最初の幕のときにまとめて買うことができる。そして,続けて観る場合は幕間の退出不要(係員が場内でチケットチェックを行う)。ということで,「対面」のみで帰るお客さんの空席に収まることができた。上手の端っこではあったが立見とは比べるべくもない。席を確保しチケットチェックを終えたあとで地下のセブンイレブンまでダッシュ。朝から何も食べてなかった。そのため,せっかくイヤホンガイドを借りたのに,幕間の丑之助インタビューは聴けなかった。


もっとも「勧進帳」のあとで中央付近に移動したら,うっかり一列目に座ってしまってえらく観づらかったのだが。幕見の一列目は手すりが邪魔。二列目に座るべし。覚えた。


昼の部が終わって劇場を出たところでそのまま夜の部の幕見チケット待機列に並び,数時間前に会ったばかりの凄腕係員に「あ,こいつさっきもいたな」という顔をされつつ,夜の部二幕目の「絵本牛若丸」を観た。都合四幕。夜は新宿で夫と外食の予定を入れていたのでそこまで。


だって,初舞台は役者人生1度きりだもの。大きくなったときに「初舞台観た」って言いたいから頑張った。


結局舞台写真は買ってない(買うのはなかなかたいへん)が,筋書きに入ってたからいいや。

寿曽我対面


工藤祐経松緑 曽我十郎:梅枝 曽我五郎:萬太郎 大磯の虎:尾上右近 化粧坂少将:米吉 小林朝比奈:歌昇


観たことがあるのかないのかよくわからないのが「寿曽我対面」だけど,一昨年の團菊祭(坂東ご一家襲名&亀三郎初舞台)の劇中口上狂言なので観ていないはずがない。記憶にない(酷い)


若い人メインのフレッシュな顔ぶれ。梅枝・萬太郎の兄弟で兄弟がメタ的な楽しみだけじゃなくて素敵だった。この兄弟コンビ,もっと増えるといいねえ。


そして,米吉さんはいつみても女の子にしか見えない。好き。

勧進帳


富樫:松緑 弁慶:海老蔵 義経菊之助


太刀持の音若の玉太郎が,若々しくて凜々しくて,とっても素敵だった。19歳だそうだ。


こうして配役を並べてみると,平成の三之助だったのだなあ。令和最初の公演に。丑之助は初舞台を踏み,左近ちゃんはまさに声変わりの最中。これで来年(?)には海老蔵の長男が新之助

め組の喧嘩


明治23年が初演だそうなので,だいぶ新しい。舞台はお江戸,文化2年というから19世紀初頭に(化政文化期ですわね)実際にあった鳶と力士の喧嘩が素材。だそうな。


音羽屋お得意の世話物。粋と鯔背と。


200年以上経った今となっては例によって「すまん,理解できん」という理屈で人々が動いているし,仮に同時代人だったとしてもやっぱりちょっと理解に苦しむというか別の世界で生きてるだろうなーなんて思ってしまうのですが。


そのあたりはあまり深く考えずともよく,大詰の派手な立廻りがこの作品の醍醐味だろう。大勢の鳶が屋根に梯子をかけて軽々と駆け上り(たまにしくじるとそれはそれでおもしろい),跳び下り,たっぷり肉襦袢の力士はなにやら振り回す。わーわーいいぞいいぞ。


辰五郎は菊五郎。よめさんのお仲は時蔵さん。劇団印の鉄板コンビ。若いいけめんがわちゃわちゃ出てきて,目の保養。


亀三郎は辰五郎の倅の又八役。彦三郎の文次に肩車してもらって,あれこれ言ってる様が実にかわいらしい。そのあと,辰五郎とお仲が長々とややこしい大人の話し合いをしている間,BGVのごとく人形で一人遊びをし,時折両親に絡む。


すっごい大変なお役じゃないか。台詞もぼちぼち多いし,台詞以外の芝居(平たく言うと遊んでるだけだが)時間がとにかく長い。居る間の話の流れや両親の台詞を全部覚えてないとならないし,おもちゃも多くないのでずっと遊んでるのも大変そうだ(無邪気に無心に遊んでいればいいのか,親に放置されてちょいと退屈そうなぐらいが正解なのかも難しい)。そしていわゆる子別れのシーンで頑是無い感じが涙を誘ったりせねばならぬ。お芝居をするようになったのだなあとしんみりする。


立廻りでは左近と片岡亀蔵のターンがとても素敵だった。左近ちゃんかっこいいかわいい。少年から青年にうつろうお年頃がたまらない。

(夜の部)絵本太平記


菊之助が丑之助を名乗って初舞台を踏んだときに書き下ろされたものらしい。内容は少し変えてるのかな,たぶん変えてるんだろう。両祖父がほんとに終始にやにやにこにこしっぱなし。中の人がはみ出してる。ほかの役者たちも,みなお祝いムード。劇中口上あり。


じゅふたんこと新丑之助がそりゃもうかわいくて,お行儀良くて立廻りも立派で(神の見えざる手により軽々と跳んで肩の上に乗ったりする),ああかわいかったね,と。


帰りに階段をおりていたら,近くを歩いていたやや年配の三人連れが「いいものを観たね」と言い合っていた。ほんとうに。


ここがスタート。それに立ち会ってその様子を観られる楽しさ。