雨仕度


帰りにすれ違った人が,やたら骨の多い傘をさしていた。


骨の多い傘は形が綺麗。12本か,できれば16本の傘が欲しい。でも,つい先日も1本電車の中に忘れてしまった。傘はなかなか自分のもとに居着いてくれない流れ者。なので,あまりはりこまない方がいい。近頃はもっぱら都度500円程度の傘を買ってしのいでいるが,実用にはなんら不自由ない。日傘もできればもう一本テイストの違うものがあるといいんだけど,麻素材なんかの洒落たものは立派なお値段の上に実用性にやや欠けるので,そこまで思い切れずにいる。


7月に入ってようやく梅雨らしくなってきた。ラニーニャで猛暑になると言われていたけれど,これまでのところは概ね過ごしやすい日が続いている。梅雨があけてからかな。会社で暑中見舞いを書いていて気になったんだが,梅雨がさっぱり明けなくてちっとも暑中見舞いの雰囲気がしなかったのは,去年のことだっけ?


誕生日プレゼントに友人からもらった組紐(端に天然石の飾りがついていてとても洒落ている)のいい結び方はないかとネットをうろうろしていたら,久しぶりに着物の通販サイトを何軒か見ることになった。携帯用ポーチのついたナイロンの二部式雨コートが3千円台で出ていて,軽くて手軽でよさそうと思った。しかし見た目は一部式(?)の方がすっきりしている。「七緒」か何かに載っていた雨コートのお仕立ても素敵だったけれど,布のコート地になるから嵩も重さも出そう。


雨用の下駄(時雨とビニルの爪革)は何年か前に買ったけれど,履く機会がない。下駄以外の雨仕度が何一つ整っていない。コートもないし,化繊の着物もない。それなりに相応しい見た目の傘も欲しい。だからたとえ雨が降ったとしても履くに至らない。そもそも雨の中を着物で出かけなければならない事態はまず滅多に起きないので,必要でない以上なかなか揃えられないのは仕方ない。さりながら備えあれば憂いなしとは先日の歌舞伎座でも思った(一瞬だけぱらついた)もので,夏場は特にそばえが多い。ちょっと考えてみよう。市販の一部式コートだと丈が合わないだろうから,既製品でまかなうならやはり二部式しかないだろうか。


夏の着物は素材の種類が多くて楽しい。暑くならないからそんな悠長なことが言える。今年の気候なら6月の単もさもありなんと思ったものだ(時折ものすごく暑い日もあったけれど)。昔(っていつ?)はやっぱり今よりは涼しかったんだろう。