昨日書き忘れたのだけど,一昨日(昨日未明)「ねじの回転」を読み終えた。

折しも今日は2月26日。昭和11年の2月26日は大雪だったそうな。今日は,雲は出ていたけれど概ね晴れ。風が冷たく気温はあまり上がっていない印象(摂氏13度ぐらいまでは上がったかもしれんが)。


五・一五事件二・二六事件っていっしょくたにしがちだけど,五・一五事件は1932年で二・二六事件は1936年で,けっこう間開いてるのねー,知らなかった(え”?)。と,これぐらいの知識しか持ち合わせていなかったものだから,「ねじの回転」を読んでみて,中学校歴史教科書レベルの認識(つまり「二・二六事件をきっかけに軍部の政治への発言権が強まった」)がどうしてそういうことになるのかわからなくなってしまった。というのも,事件が起きたころの組織はがたがたで,クーデタ直後の陸軍上層部は無能を極めていたと,彼のフィクション小説では描いている。事件を引き起こした(クーデタを決起した)陸軍皇統派の青年将校らは紆余曲折ののち(?)逆賊扱いされ,リーダー格の人達は一審制の裁判ともいえない裁判にかけられてあっさりと処刑されている。これだけ取ってみると陸軍の駄目なところが露呈しているようにしか見えないのに,どうしてこれが「ファシズムの台頭」の項目で扱われるのかしらん。


そう思って高校レベルのをみてみたけれど,高校レベルでも載っているのは事件の概要程度で(暗殺された主要人物の固有名詞が出てくるぐらいだ),事件と軍部の台頭との関連については,なんかうにゃうにゃっとは書いているんだがピンとくる説明はされていなかった。事件の背景に陸軍内部の派閥抗争があったそうなので,この事件を契機に皇統派を一掃できたこと組織としてのまとまりができて力が強くなったんですか? あぁ,全然違ってそう。近・現代史に詳しい人,よろしくー。とほほ。


歴史の教科書や用語集って,端的に説明されすぎていて,読んでもその意味するところは理解しづらい(取り敢えず呪文のように暗記してれば中学高校時代のテスト対策としては事足りるけどね)。とくに,このぐらいの時代の出来事については,軍隊がない振りをしている国に生まれ育っているわたしには「これは,常識なんですか?」と聞きたくなる軍隊用語がたくさん出てくる。そもそも「将校」がナニモノなのかがわたしにはわからん。それなのに,あっさりと「陸軍の青年将校らが引き起こした事件」とだけ書かれていると,「将校」なんていうミリタリィな単語も常識の範疇で,知らないわたしがいかんのかという気になってくる。


ほかにも,たとえばクーデタを起こした兵士達に原隊への復帰(この辺の用語も難しいね)を呼びかけたビラ「下士官兵に告グ」の「下士官」がわからん。「士官」と「下士官」の違いもわからんし,「将校」と「下士官」の相違も不明。この辺の類語として「兵卒」は,じゃぁなんだ? こういう用語の説明は為されないんだよなぁ。「歴史用語」ではないからかしら。


軍隊用語とは別に,階級なるものの概念と無縁に暮らしているので,職掌と階級がひとりの人間にそれぞれあることが感覚として掴みにくい,というのもある(これは,現代でも階級のある職業に近しい人ならわかるんだろうけど)。階級で言えば,○将と○佐と○尉の偉い順は常識の範疇に含まれるのでしょうか(陸軍と海軍の相違とか)。軍隊がない振りをしていると同時に貴族もいない振りをしているこの国で,公・侯・伯・子・男の順を知っていることは常識の範疇でしょうか(どっちにしろ,覚えていたところで何のメリットもない)。准将と少将のどっちが偉いのかもわからん(日本に准将ってあったっけ?)。少尉の下はいきなり一等兵? 


無知っぷりをさらけ出してどうしようというのか。こういうのは広辞苑とか百科事典とかぐーぐる事典とかで自発的に調べなくてはいかんのよね。うんうん。山○出版社もそこまで懇切丁寧にしている(誌面の)余裕は無いよね。はい。現代史はともかく,ちょっと古い時代か或いはこの世の何処かではない世の中を扱った小説では頻繁に登場する呼称なので,ミリタリィマニアでなくてもこれぐらいはおさえておくべきなんだろうなぁ,と思いながらも,全然わからないまま今に至るのでしたよ。(00:19)