シミのついた着物を持って悉皆屋さんを訪ねてきた。
府中にある宇田屋さんというお店。ネットで調べて。おばちゃんに「遠くからわざわざ」と言われてしまった。途中まで通勤コースだし府中駅からお店までも近かったのであまり遠い感覚は無いんだけど,その手のこと(染み抜きとか丸洗いとか)って,もっとご近所のお店に頼むのが普通なのかな。クリーニング屋に行くのにわざわざ電車に乗って行っているようなもんですもんね。
タウンページで探せば近くのお店も分かったかもしれんが,それも面倒だったので,つい。
でも,府中駅前から大國魂神社に続くけやき並木の雰囲気,好きなんだよね。伊勢丹もあるし(寄らなかったけど),住むにはいいとこだな,と思う。家賃相場高そうだけど。
悉皆屋さんというのは長らくその意味が分かっていなかったんだけど,文字通り着物よろず相談屋さんのことらしい。お手入れ関係のとりまとめ仕事。訊ねたお店は良い感じに庶民的で雑然として昔から地元でやってる感じで敷居は低くておばちゃんの対応は(一見さんの小娘なのに)友好的で,わたしはにこにこ。
家から送られてきた白い着物を見せたところ,木綿じゃなくてウールだろう(ウールと木綿の交織らしい)と。30年前についたシミは,勿論やってみないとわからんけど,おばちゃんは「落ちそうな気がする」と言ってくれて,とりあえずお任せするのであった。落ちるといいんだけどねぇ。
ついでに,去年古着屋で買ったこれも年季の入ったシミのついた一越縮緬の小紋も見てもらう。「これは落ちないかもねー」と。でも,生地自体の状態はいいから,一度ほどいて洗ってから上前と下前を入れ替えて仕立て直せば見違えるように綺麗になると言われた。それでお願いしようとしたのだけれど,おばちゃんが,それだと高くなるから(4万円ぐらいかかる)とりあえず丸洗い(ほどかずにそのまま洗う)をしてみましょう,と提案してくれた。落ちなさそうだったらほどく段取りにしてもらった。
5千円で買ったものだから,メンテにお金がかかるのは覚悟の上。シミのついたまま何度か着たけど,やっぱり気分悪い。「シミがついてるんだよねー」と気にしながら着ているのは味噌が付いた感じだし,せっかく気に入って買ったし柄もいいのに,そのままにしておくのは着物にも申し訳ない気がするさ(綺麗になればぴかぴか小紋だ)。ほどいて染め直しか? と覚悟していたぐらいなので,パーツを取り替えて縫い直せばいいと言われて目から鱗。さすがプロだ。
おばあちゃんのお下がりにしろ古着屋で買った着物にしろ,タダでもらったり安く買いたたいたりしているけれど,それを新品で誂えようと思ったらびっくりするぐらいお金がかかるし,そもそも実家からもらっているような庶民着物は今では作られていなくて手に入らなかったりする。安く手にはいることは有り難いと思うし,最初に高いお金を払って手にした人の気持ちを考えると,ぞんざいにはできないな,と思うんですよ。
衣類に関してはかなりずさん(洗濯もあんまりしないしクリーニングも持っていかないし,セーターは毎年虫に食われている)なわたくしなので,思うだけで行動はなかなか伴わないかもしれませんが。
さて。下が透けるぐらいの薄手で色も白かった着物が,ウールとなれば真夏は着られず。どうしたものか。(22:24)