そんなわけで「最後まで書かんと気持ち悪い」だけが理由の続き。


4について。以前ちらっと書いたのだが,その昔フジテレビ系列で放映され映画化もされた「ショムニ」というドラマに出てくる,人事課の社員,部長だか課長だかのような上には腰をかがめて揉み手をしながらおべんちゃらを使い,下(庶務二課)には横柄な口をきく,すこぶるデフォルメされたキャラだったのだが,その分印象は強烈だった。


今回の大河ドラマが始まるにあたって1冊だけ新選組の本(岩波新書新選組」)を購入して武田観柳斎なる人物の存在を知り,一方でドラマのキャストの特徴(舞台俳優さんが多いんだそうだ)を知ったとき,「ショムニ」のその俳優さんが存命であったならきっと武田観柳斎は彼だったに違いない,と,なんでかしらんがそう思ってしまった。


その後,彼の命日にid:sensimillaさんが小島鹿之助の名を挙げて「飄々として育ちのよさそうな、若い者思いの庄屋さんが見られたかもしれないな」と書いていらっしゃるのを読んで伊藤俊人氏の演じる小島鹿之助のイメージがやけにくっきりと脳裏に浮かんだからには,伊藤俊人氏に観柳斎的イメージがあったのではなく,ただひたすら,ショムニのそのキャラと武田観柳斎のキャラが被っていたということなのだろうが。(わたしは彼について実質「ショムニ」のその役しか知らないのでどうしても一体化しがちではあるのだが)。


そして武田観柳斎の登場から退場までを見た今,伊藤氏云々ではなく,「ショムニ」の彼を思い出して,「やっぱり観柳斎と似てるよな」と改めて感じた。といっても曖昧な記憶力しか持ち合わせていないわたしのこと,キャラの心情や行動の奥深いところまで見通してそう感じているのではなく,単に上っ面が似ていたというだけなんだけど。細かいところを言えばいろいろ違う部分もあるだろう。


そうそう,これはもちろん,実際に今回のドラマで観柳斎を演じた俳優さんが気に入らないとか伊藤氏の方が良かったという意味ではないので,あしからず。八嶋氏演じるメガネノオカッパ,小男っぷりが良かったですよ。単に,彼が存命であったなら何かの役で出ただろう,観柳斎だったかもしれないなというだけのことだ。


その5について。ちょっぴり涙腺が刺激され気味だったくせにアレだが,観柳斎の最期の場面は,あとあと考えると防ぎようがあった(というか少し不自然にも見える流れだった)ので,些かご都合主義のように感じられ無念さが残るのだった。


つまり。


a:大石鍬次郎達はどうやって観柳斎が屯所を出るのに気づいて彼に続いて屯所を抜け出し後を付けることができたのだろう。それも,同じように鍬次郎の後をつけた沖田と鉢合わせずに。観柳斎をつけている沖田をつけて歩いたのだろうか。


b:深夜とはいえ(観柳斎が弱いとはいえ)少しは騒ぎになっただろうに,近隣住人や警察機構,帰り際の沖田などが騒ぎに気づかなかったのは何故だろう。沖田に関しては,鍬次郎達が観柳斎と沖田のやりとりも見ているのであれば,沖田が去るのを見届けた後で実行に移すことはできるのだが,そもそもそんなに長いインターバルがあるのが不自然なんだよな。


観柳斎は黙って屯所を抜け出して墓参りをしている。彼の置かれている立場上,夜中に黙って抜け出している(屯所に姿がない)のが発覚したら,執行猶予中に罪を犯したようなもので,にっちもさっちもいかなくなるだろう。それに,真夜中の墓場なんてあまり長居したい場所じゃない。そんなに長い時間その場にいたとは考えにくいんだけど。


c:大石達は下手人とばれずに済んでいるのだろうか。これはbで「誰にも見つからない」がクリアできればその時点で一応成立はするが。しかし観柳斎の死が他殺なのは明らかなのに,彼らは届け出もしなければ独自の下手人調査もしないようだった。ということは,薄々なのか証拠があがっている(あげたとしたら沖田しか考えられないが)かはともかく,観柳斎を殺したのが隊士だということが分かっているのだろう。分かっているのだけれど,「この辺でやめにしたい」局長が,闇に葬ることにしたのだろう。


しかしそれはどうだろう。内部粛正の嵐がいいこととは言わないから「この辺でおしまい」には賛成するが,大石達の行為は,現代の日本人の感覚では(刑法には詳しくないので間違っているかもしれないけれど)執行猶予付で懲役刑は免れないものである為,「脱走したら即切腹」だとかの(現代日本人の目には)ばかげた法度の行使を中止することと同列に扱うのはおかしいと感じるんですが……武士は斬り捨て御免ですかそうですか(そうだっけ?)。


まあ,ねー。お初さん一刀両断の斎藤さんなんてお咎めどころかお褒めの言葉だったからなあ。そういう感覚はわからんよね(そしてわかるように描いてもいない)。


うん。でも,「やめにしたい」だけの理由で武田観柳斎の死を彼の無念ごとまとめて蓋してしまう近藤局長は,口で言うほどには観柳斎をかわいく思ってはいなかったし,土方に言われるまでもなく観柳斎がリンチで殺されたのは彼の自業自得だと思っているっていうことなんではないかと。一応目を掛けていたかもしれない幹部隊士を下っ端(鍬次郎下っ端?)に殺された怒りはないのかと。怒りや無念を押し殺してでも今後の組織運営の為に涙を呑んだんだったらそいつぁたいへんだねりっぱだね。はぁ。


などと,釈然としない気持ち。


そもそも,やう゛ぁい立場なのに,夜中にこっそり抜け出して墓参りなんて論外だよ。いないのばれたらどうなると思ってんだ。「墓参りなんて自分のキャラに合わない」なんて言ってる場合じゃないんだよメガネノオカッパさんよ。


基本的に,あの人達,みんな,優先順位間違ってんだよなぁ。


6については詳細はありません。